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「TURF分析」を、餃子を用いて説明してみた

「TURF分析」というリサーチ手法がある。
Total Unduplicated Reach and Frequency
この言葉の頭文字を取ったものだ。

Total 総合的な
Unduplicated ダブりがない
Reach リーチ(到達/間口)
Frequency フリークエンシー(頻度/奥行)

ある商品ラインナップを販売する際に、
どのような組み合わせにすると、
最も多くの消費者に届くか
を分析する
手法である。

例えば、写真に使った餃子を例に
説明を試みよう。
仮に、冷凍餃子を取り扱うメーカー
この分析を行うとする。
ノーマルな餃子に加えて、
どんな種類を加えると、トータルで
最も多くのお客様に購入いただくことが
できるか
を調べるのがTURFなのだ。

・「しょうが餃子」
・「にんにく餃子」
・「しそ餃子」
・「低カロリー餃子」
・「ジャンボ餃子」

これらのようなバリエーションが
提供可能なのだが、売場の状況を
考えると、ノーマルな餃子にあと
2つ加えるのが限界
だとする。
そのとき、どの2つの組み合わせに
すると、最も「間口」や「奥行」が
広がるか
、そこを調査によって
明らかにするのである。

これら5つの種類の餃子を、
単純に人気ランキングで並べたら、
例えば
1.にんにく
2.しょうが
3.ジャンボ
4.しそ
5.低カロリー
という順番になったとしよう。

これを受けて、ノーマルの餃子に
人気上位順から「にんにく」と
「しょうが」を追加するのが正解か
というと、必ずしもそうとは限らない。
なぜなら、ノーマル餃子と、人気の
2種の餃子は、購入者がダブりやすい
かもしれない
からだ。

にんにくとしょうがの場合は、
トータルで7割の人にリーチできる。
これに対して、ジャンボと低カロリーを
加えた場合だと、トータルで8割の人に
リーチ
が可能。
そんなことになるかもしれないのである。

ジャンボと低カロリーの方がリーチが
広がったとしても、この組み合わせだと
トータル90万個の販売が見込まれ、
逆に、にんにくとしょうがの場合なら
トータルで100万個売れそうだ、
そんな事態も考えられる。
これは、前者の方がフリークエンシーが
高い、要はリピート率が高い場合に
起こり得るケース
である。

このような悩ましいリサーチ結果が
出ることは滅多にないだろうが、
皆無とも言い切れない。

リーチの広がりを重視するのか、
フリークエンシーの要素を加えて
トータルでの売上が最大になることを
重視
するのか。
どの指標により高いプライオリティを
置くのか、事前に決めてから調査に
臨むのが好ましい
だろう。

リサーチ会社大手のマクロミルのサイトに、
図付きの解説があって分かりやすいので、
一応ご参考までに。


【こぼれ話】
某社の担当と、このTURF分析について
相談をしたところ、どうも「間口」や
「リーチ」の話しかしない。
「TURF」の本来の意味から、当然に
「奥行」「フリークエンシー」の話も
出て来るものと期待していたのに、
「TURFはリーチ最大化を目指すための
リサーチ」という態度を崩さない。

釈迦に説法と思いつつ、TURFの言葉の
意味を改めて説明すると、
「TURF=リーチ最大化」という言葉が
呪文のように頭の中で固定化されていた
ようで、改めて「フリークエンシー」も
考慮した提案内容に致します!
という返事を最後にもらえたので、
ようやく少しだけ安心した次第。

プロであっても、時折は言葉の本来の
定義に立ち戻ることが重要
だという
「他山の石」の事例である。


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