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危機をしなやかに切り抜ける

段田男という演歌歌手がいた。
いたという記憶しかないが、
その「ダンダダン」という音の響きで、
今でも明確に名前を記憶している。

なので、「肉汁餃子のダンダダン」
あれよあれよと店舗を増やして都内に
目立つようになってきた折も、
一発で名前を覚えることになった。
枕詞に「肉汁餃子」とあるのも、
シズル感たっぷりなネーミング
なかなかお見事だと感じた次第。

などと褒めておきながら、実はつい最近
まで店舗に入ったことがなかった。
元々「餃子酒場」ということで、
居酒屋的な立ち位置のお店である。
ここ2年のコロナ禍で、お店を訪問する
ような機会がそもそもなく、それ以前は
私の行動範囲にたまたまお店が存在して
いなかったというところ。
つい数日前、ご縁あって初訪問することに
なったのである。

行ってみて、なかなか興味深いお店だと
思ったこともあり、簡単に調べてみた。
創業は2001年8月、そんなに古いのか!
と驚いた。
株式会社NATTY SWANKYの
代表取締役社長の井石裕二氏と
取締役副社長の田中竜也氏のお二人が
創立者である。

運営会社は、株式会社ダンダダン。
この運営会社は後から作られたようで、
元の会社であるNATTY SWANKYを
ホールディングカンパニー化した様子。
恐らく今後、他業態、他ブランドへ広げる
ための布石
なのだろう。

こちらのページを見ると、メディアにも
かなり引っ張りだこの様子がうかがわれる。
私が普段あまりTVなどを見ないため、
イマイチピンとこないのだが、かなり
「イケてる」チェーンということになるの
だろう。

餃子に絞っているとはいえ、れっきとした
居酒屋チェーンである。
このコロナ禍で影響を受けないはずがない。
それでも、2020年6月期は黒字を守ったそうだ。
その秘密を探るという趣旨の記事を発見。

詳しくは記事に譲るが、要は
違約金を払ってでも新規出店を中止
酒場メインから餃子メインにピボット
ということだ。

前者は、賢明な経営判断だった。
先が見えない中で、自分の首を絞め
かねない投資は控えるのが王道。

実際、コロナ禍は2年続いており、
その影響もあってか、2021年6月期は
赤字転落している。
もし2020年の初期段階で出店を止めて
いなかったら、赤字幅はもっと拡大を
していた可能性が高い。

後者についても、見事な判断と言える。
創業のきっかけが、おいしい餃子を
食べながら飲める場所を作りたい、
というものだったところから、
店名もずっと「餃子酒場」ということで
経営されてきた。
しかし、コロナを機に、自分たちの
提供価値を見直した。
そして、実はおいしい餃子をアルコール
抜きで楽しんでもらう機会を逸していた
のではないか
、そのような気付きを
得たのである。

ランチで食べてもらう。
ファミリーにレストラン感覚で使ってもらう。
テイクアウトで、おうちで食べてもらう。
そういった新たな価値を前面に出して、
業績を底支え
しているのだ。

まだまだ外食産業には厳しい環境が
続いているが、止まない雨はない。
未曽有の危機を、賢明な経営判断で
しなやかに切り抜けるダンダダンの
今後の成長に、是非注目したい。

己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。