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カニカマでフルコース

日本一の宿として有名な、
能登の老舗旅館、加賀屋
同じく能登半島を本拠とする
水産加工のスギヨと組んで、
「世界初」となるカニカマの
フルコース
を提供したという
ニュースを見た。

加賀屋の姉妹旅館・「あえの風」の
左近一彦料理長が、スギヨがこの春
発売開始した高級カニカマ「極」
惚れ込み、イベントを提案したのだ
という。

準備した50席は、カニカマファンで
満席となった。
参加者に好評を博したことを受け、
今後加賀屋でカニカマを料理に使う
ことも検討していくらしい。

何を隠そう、加賀屋はこれまで
カニカマを料理に供した経験が
一度もなかった
そうなのだ。

日本一の名を欲しいままにしてきた
高級旅館である。
カニのフェイクたるカニカマは
自分たちにふさわしくない
という
のは頷ける話。

そもそも、本物の美味しいカニが
たくさん水揚げされる土地柄、
カニカマよりも本物をたらふく
食べたい
と皆思うだろう。

ところで、このスギヨという会社、
カニカマを「発明」した元祖
あるらしい。
彼らの商品開発秘話が、サイトに
詳しく載っており、非常に興味深く
読ませてもらった。

なんと、元々はカニの代替品を開発
していたのではなく、人工クラゲ
開発していた。

試行錯誤を続けるも、なかなか思う
通りの人工クラゲが作れない。
そんな折、失敗作を刻んで食べて
みたところ、カニの食感にそっくり

だと気付いた。

元々かまぼこ製造が本業、
かまぼこを材料に取り入れることで、
人工クラゲから人口カニ肉の開発へと
舵を切った
そうだ。

試食してみたものは、見事にカニの
味を再現していたということで、
「世界初」となるカニ風味かまぼこ
「かにあし」
を発売。

築地の卸に持ち込んでみたところ、
どこも「売れるわけない」と相手に
されない中、一社だけが面白いと
言ってくれて、何とか世に出ること
に成功。

いざ消費者の目に触れた途端、
爆発的なヒット
へとまっしぐら。
増産に次ぐ増産で、流通業者同士
奪い合い
になるほどの時期もあった
様子である。

この開発秘話、正にドラッカーの
言う「予期せぬ成功」の一事例と
して極めて面白い。

人工クラゲの失敗作から、たまたま
人工カニ肉に近い味が生まれたのを
見逃さずに、見事に成功へと導いた
点が、慧眼だったと言える。

そのまま人工クラゲにこだわって、
カニへと「ピボット」しなかったら、
カニカマというイノベーション
起こらなかった。

その後も、更なるイノベーションを
成し遂げている点がまた、スギヨと
いう会社の非凡さを物語る。

どんどん食味の向上を果たして、
第二世代、第三世代、第四世代と
開発を重ねていったのだ。

そして、この第四世代というのが、
2004年発売の最高級品「香り箱」で、
「本物を超えた」との声も出る程に
品質の高いカニカマらしい。

今春出た「極」は、この「香り箱」
よりも更に美味しくなっているの
だろうから、フルコースの食材と
して十分に相応しい貫禄、実力

持っているということなのだろう。

是非とも一度、早々に
試してみなければなるまい。


己に磨きをかけるための投資に回させていただき、よりよい記事を創作し続けるべく精進致します。