恋愛小説

趣味で書いている妄想。

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死と生の境界線

気がつけば、ビルの屋上に佇んでいた。 小さな沢山の車が行き交う道路を真下を見下ろすと、思わず足がすくんだ。 死ぬ勇気なんてないくせに。 ———————————  死と生の境界線 突然切り出された、別れ話。 それはあまりにも軽率過ぎる言葉だった。 「なんつーか、重いんだよね」 ショックとか、そういうのを通り越して、冷静に受け止めている自分がいた。 私は彼の言葉の重さを真剣に受け止める気もせず、まるで他人事のように 「いいよ」 と、一言で返した。 向こうに気持

    • 愛しい君へ

      「……てめ、なに人んちで勝手にくつろいでんだよ」 季節は真夏。家に帰ると、これでもかと寒いくらいにエアコンをガンガンに掛け、アイス片手に俺お気に入りのソファに足を伸ばしては、まるで自分ちかのようにDVDを観ている沙也の姿があった。 「あ、悠。おかえりー」 「……さっみ」 なんだよ、これ。テーブルの上に置いてあるエアコンのリモコンを取って見たら、設定温度は16度。即座に、設定温度を一気に温度を上げた。 「……ちょっと。なに観てんの」 「んー?AV。あったからさ」 「……

      • 好きな人に振り向いて欲しいだけ

        彼は、モテる人だ。 ルックスも良いし、誰とでも打ち解けられるし、普段から「俺モテるからな」と自分で言ったりしている。 もちろん冗談なのは分かっているけれど、他の女の子と仲良さそうに話しているのを見ると、どうしても嫉妬してしまう。 現に、こうして彼が他の女の子に笑顔を向けている姿を目の当たりにすると、心がざわつく。 腹の底から黒いモヤモヤが湧き起こってくるような感覚。 あぁ、嫌だ。こんな感情になってしまう自分。 彼氏の翔流は、男女問わず人気で誰とでも仲が良い。 だ

        • 伝えられない想い

          「洸ー」 洸の部屋に入る時、いつもノックをしないで扉を開けてしまうのは私の悪い癖。目の前に広がった光景は、裸で抱き合っている男と女の姿だった。 「……失礼しましたー」 まるで何事もなかったように扉を閉めた。 「ちょっ。おい、……葉月!」 閉めた扉の向こうからは、洸の叫ぶ声が聞こえた。 「……またかよ、」 部屋を出て、小さく呟いた。 洸の女関係なんて今に始まったことではないし、いまさら驚いたりなんてしないけれど。こんなやつが幼馴染みだなんて、考えただけでも嫌気がさ

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