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夕方の鐘

鐘がなるまで遊んだ事。
前世の記憶のように遠く懐かしく感じる。
遊びの中の意地悪を、
意地悪の中遊びを、
耐えていた。
当たり前の様に。
鐘がなるまで。
鐘がなったら帰るんだ。
そう心の中で唱えながら。
鐘は希望だった。
そんな過去が前世の記憶みたいに
ふと思い出した。
そんな今コーヒー屋さんで
コーヒーを飲みながら
帰りの鐘を聴いている。
鐘が鳴り終わったら
席を立とう。
家に帰る時間。
あの頃みたいに誰も待ってやしない。
暖かいご飯も出てこない。
暗くなる前に帰るのよ。
その声は今も心の中で、
優しく聴こえる。

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