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ずぼら旅日記(霞ヶ浦編)②

8時起床。カーテンの隙間から朝日がさしこむ。天気は快晴だ。気温も昨日にくらべると高い。絶好のサイクリング日和。シャワーを浴びる。お湯の温度が安定せず、急に熱湯になったり冷水になったりするので、ひとりで朝から大騒ぎしていた。9時過ぎにチェックアウト。

ホテルから駅までの道。風俗街を通る。ひっそりと静まり返っている。かつての活気を思わせる店の派手な外観とは対照的な雰囲気で、どことなく無常感をおぼえる。

駅ビルのパン屋で朝食。大好物のきなこ揚げパンとカツサンド、コーヒー。店というか駅ビル全体がオープンでオシャレな雰囲気。駅周辺のキラキラ感と街中の寂れ感のギャップが大きい。ちょっと変わった町だ。

10時過ぎにサイクルショップへ行き、シティサイクルをレンタル。店長らしい男性が対応してくれたのだが、愛想は無くテキパキと注意事項を説明するだけだった。うーん。別に気にすることではないのだけど、普通の接客ってこんなもんなのかなと思うなど。10時半過ぎに出発。

駅から20分ほどで霞ヶ浦総合公園に到着。広々とした静かな湖畔の公園。風車やネイチャーセンター(自然観察園)がある。三連休のわりに人はそこまで多くない。日光があたたかくて気持ちよい。もはや一日ここで過ごしたい気分。

風車とネイチャーセンター(自然観察園)。風車があるとすぐにオランダ風といってしまうのだが、実際どの国を参考にして設計しているのだろうか。
風車展望台の眺め。白雲が湖面にたいして水平に浮かび、空いっぱいに広がる様子はとても趣深い。
ネイチャーセンター(自然観察園)。霞ヶ浦の水生生物・植物だけでなく、熱帯魚などの世界の魚も展示されている。
「サカサナマズ」というナマズの一種。仰向けに泳ぐ珍しい魚。常道をいかず、抵抗してさかさまになって泳ぐ姿勢は人生の模範とすべき、とおもって撮影。
2階の本棚。『ファーブル昆虫記』が並んでいる。昆虫は実はとても苦手なのだが、それを生涯をかけて研究し続けるファーブルは好きだった。
「寒蝉(ツクツクボウシ)」と読むとは…!知らなかった。なにげに「竜蝨(ゲンゴロウ)」もかっこいい漢字している。
芝生の広場に咲いていた桜。素敵。

1時間ほど滞在し、大須賀津農村公園の展望台を目指す。特に理由はない。ただ、時間と体力を考えたらそのあたりが関の山だろうなと思った。霞ヶ浦の淵に沿ったサイクリングロードをひたはしる。

途中、疲れて休憩していると、地元のおばあちゃんが話しかけてきた。目がきれいで、上品な方だなと思った。話しているうちにだんだん楽しくなって、そのまま20分ほど立ち話をした。おばあちゃんは農村での暮らしや家族の話を、自分は東京での暮らしや地元の両親の話など、率直にいろいろと話した。

印象的だったのは「家族のことを大切に思いつつも、縛られずに自分の好きなことをやった方がいい」というおばあちゃんの言葉だった。嫁いでから数十年、家庭のために尽くしてきたからこそ出てきた言葉なのだろうか。自分はいま好きなことをやれているのだろうか。現状を振り返る良いきっかけをいただいた。旅先の出会いはいいものだ。一期一会。それもまた旅の醍醐味。どうか元気でいてほしい。

荒涼とした田畑が広がる。
一本道ってなんか怖い。これあといつまで続くんだろ?という不安に駆られる。
アオサギらしき大型の鳥類。生で初めて見たかもしれないし、そうでないかもしれない。

そこからまたしばらく走った。13時半。目的地に到着。釣り人がちらほらといて、まさに漁村という感じ。展望台に登って霞ヶ浦を一望する。先ほどのおばあちゃんとの会話を思い出しつつ、この村に住む人はどんな気持ちで日々生活しているのだろうかなどと考えていた。15分ほど滞在して、折り返す。

展望台からの眺め。漁村。
上も下も青一色で美しい。

普段運動しないので、後半は体がしんどかった。尾骶骨は痛い、太ももは軋む。後半は風景を楽しむ余裕などまったくなく、はやく駅にたどり着きたい一心で国道沿いをひたはしる。

前半でエネルギーを消耗してしまい、かなり空腹。飲食店は見当たらなかったがセブンはあったので、メロンパンとチキンを買ってエネルギー補填。またしばらく走る。終盤になってようやくラーメン屋を発見した。店に入り味噌ラーメンを注文。しばし休憩。臀部の痛みに耐えつつ駅までラストスパート。

味噌ラーメン。野菜の絶妙な焦げが味噌にとても良く合っていて美味い。760円。

15時過ぎに駅に到着。ヘトヘトでもうどこも観光する余裕がなかったので、自転車はそのままショップに返却した。朝と同じ男性で、朝と同じあっさりとした対応だった。

近くのタリーズで一休み。近くに温泉でもあれば入ろうかなと思ったが、探す気力もなかったので17時頃帰りの電車に乗って帰ることにした。

常磐線の車窓から。旅の終わりはやはり切ない気持ち。

まとめ。霞ヶ浦は琵琶湖に次いで大きな湖である。そこへ都心から2時間弱でいけるというのは意外な気がした。今回は自然、特に水の近くに行きたい気持ちがあったので、都心からのアクセスが良く、気軽に行ける霞ヶ浦にした。

実際に訪れてみて、いろいろも思うところはあるものの、サイクリング中に出会ったおばあちゃんとの立ち話や、ラーメン屋のお母さんの良い接客が、モノクロな一人旅に彩りを与えてくれたと感じている。次はどんな人たちに会えるかな。

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