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亀井くんクライバーンレビュー集

亀井聖矢さんの、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールでの演奏について、英語で発信されたレビューを訳しました。
元記事は、The Cliburn公式Twitterアカウントがリツイートしたもので、全て署名記事です。

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・大見出しの下に、媒体のリンクを貼りました。

随時更新します。(バナーは公式演奏動画のスクショです)

Onstage NTX, by Wayne Lee Gay

・6/2 Preliminary Recital 3:

日本の #亀井聖矢 は、コンクール上位進出に向け大いにアピールする演奏でこのセッションのトリを務めた。オープニングの彼のハフ/ファンファーレトッカータは、この日最もアグレッシブな演奏。
次に、指運び、半音階の練習曲ショパン/イ短調エチュードを演奏。そして、素晴らしかったベルク/ソナタ。この作品は、20世紀モダニズム誕生において極めて重要な作品。

この日最も人気だった作曲家リスト。3セッションで大作4曲が演奏され、亀井もその一人だが、彼のノルマの回想は大きく印象に残った。この作品はベッリーニのオペラの旋律がモチーフとなった名作で、リストが気に入っていたフィギュレーションで飾られている。コンクールピースのリストとは一線を画しながら、亀井は聴衆を掴んで離さず、ヴィルトーゾの旅で感動を与えた。壮大なドラマを届けた彼の演奏は、この日、最も記憶に残る演奏の一つだった。

・6/5 Quarter-Final Recital 2:

見事なバッハ/半音階的幻想曲とフーガのパッセージワーク。21歳(!)の #亀井聖矢 が日曜午後の準々決勝セッショントップで登場。亀井は、18世紀のハープシコードのためのバッハの作品を、現代のグランドピアノ用の滑らかなロマン派の傑作として21世紀に息づかせた。非常に軽い熟達したペダルで、オープニングパッセージを光のオーラで包む。その後も全般的に繊細な技術を見せていたが、フーガは少しだけペダルが多かったか、それが無ければ威厳がさらに出た。
亀井が次に選んだのは、もちろん意図されたものではないが現在の状況と偶然符合した、リストのマゼッパ。中世宇国の英雄を題材としたユーゴーの詩が元になっており、運動を起こして露支配を倒した人物。リストがそこに詰め込んだ3つの脅威:広い跳躍、長くて速いオクターブパッセージ、速いアルペジオ。亀井はその全てを見事に弾き切った。
(バッハへのアプローチから)本質的にオールロマンのプログラム最後は、ラフマニノフ/ソナタⅡ1931年版。壮大な複数楽章のこの作品には、感情面での成熟と構造に対する大局観が求められるが、亀井はこの挑戦に応えていた。

・6/8 Semifinal Recital 1:

日本の亀井聖矢が、古典の演奏力を発揮するために選んだのは、ベートーヴェンの『ワルトシュタイン』ソナタ。あの有名な冒頭の主題は、高揚していたのか少し早めだったが、終始、彼のクリーンで軽快なタッチが作品を支配し、最終楽章の冒頭のクレッシェンドをゆっくり作っていた箇所は、特に素晴らしかった。
この後、難曲として有名な作品が続く。リストの『ラ・カンパネラ』エチュードでは、高速で鳴る小さな鐘の音を描くために、波形スケール上にきらきらとトリル(亀井の演奏、極上の粒揃いだった)を弾くという、信じられないほどの軽快さとスピードが要求される。
次に演奏されるラヴェルの『夜のガスパール』は、不気味な詩的イメージに基づく3つの音の画からなる作品:獲物を誘惑し溺れさせる魅惑的な海の妖精、絞首台に吊るされた死体、そして邪悪な鬼。亀井は最初の『オンディーヌ』では、素早く流れるアルペジオを、2曲目の『絞首台』ではB♭オクターブの反復で、絶えずかすかに聞こえる音を創り出せることを見せた。『スカルボ』では、ラヴェルが仕掛けた技術的な挑戦のデパートに挑み、見事これを克服した。
最後にバラキレフの『イスラメイ』で締めくくった。この作品は『スカルボ』と並ぶ数少ない難曲のひとつ。ここでの亀井の演奏は、時折、スピードがクラリティに勝っていた。

・6/11 Semifinal Concert 5 (Mozart):

Onstage NTX モーツァルトのレビューが出ました: 日本人ピアニスト #亀井聖矢 20歳も、モーツァルト/ピアノ協奏曲第19番ヘ長調に対して、繊細なアプローチを選んだ。 まず、軍隊調だが軽快なリズムで遊び心溢れる冒頭主題を、オーケストラが導入する。その主題をピアノは、流れるアルペジオのパッセージを弾いて初めて取り上げる。この入りは、楽章全体を通じて感じられたオーケストラとの穏やかなコントラストを象徴していた(亀井の独自のカデンツァも含む)。 緩徐楽章でも、再び亀井は、オーケストラのイントロを生かし、囁くようなソロの入りでコントラストを創っていた。
終楽章もこの形が続き、全体が魅力的に洗練された演奏となっていた。



Gramophone UK, by Jed Distler

・6/4 Cliburn Blog No.2 Preliminary:

初日最後に登場したのは、日本の20歳、亀井聖矢。彼は、ハフの作品に、より勢いのある陽気な解釈を与えていた。ショパン/エチュード10-2イ短調では、伝統に則り、内声が前面に出され、ベルク/ソナタでは、より大きなスケールで、亀井が持つポリフォニーに対する鋭い洞察力が発揮されていた。 
リスト/ノルマの回想では、亀井はその素晴らしいテクニックを一貫して音楽的な目的のために駆使し、歌のパートとオケパートを投影、リストが書いた旋律と装飾音を完璧なバランスで描いた。この難曲を演奏しきるビジョンとスタミナを持ったピアニストはほとんどいないが、亀井は、 Raymond Lewenthal、Marc-André Hamelin、Benjamin Grosvenorと肩を並べると言ってよいだろう。そう、それくらい良かったのだ!

・6/6 Cliburn Blog No.5 Quarterfinal:

予選で #亀井聖矢 の心地よい『古風な』ショパン/エチュード10-2とリスト/ノルマのファンタジーを聴いた後だっただけに、彼のバッハ/半音階的幻想曲とフーガがどちらかと言えば厳格で抑制の効いた演奏だったことに驚いた。なおかつ、彼は、私が聴いた中でも、音楽が進むにつれフーガに行き詰まり遅くなることのない、数少ないピアニストの一人だった。
彼のリスト/マゼッパは騒々しい束縛とは無縁。この作品を聴きやすい楽しめるものにしていたが、これは凄いこと!
ラフマニノフ/ソナタ第2番の冒頭は、ベルベットの手袋ではなくサーベルを亀井に期待していた。しかし、このピアニストは、歓喜溢れるフィナーレのために、その爆発力を蓄えていたようだ。

・6/8 Cliburn Blog No.8 Semifinal:

ベートーヴェン/ワルトシュタイン・ソナタ、リスト/ラ・カンパネラ、ラヴェル/夜のガスパール、バラキレフ/イスラメイを並べるのは、音楽的にもプログラム構成的にも、そこにあまり意味はない。しかし、これらの作品はどれもショーピースで、亀井聖矢は何が何でも審査員をあっと言わせようとした、ということは明らかだ。私は、亀井のワルトシュタインに驚かされた。1・3楽章ではテクスチャーを注意深く重ね、タッチをグラデーションさせてベートーヴェンが作った和声の動きを描き出したところが大いに気に入った。コーダのオクターブ下行スケールを右手グリッサンドで弾かず、両手で弾いたので、このピアニスト、フォートワース原典版ポリスから後で呼び出されるだろう(訳者:ジョークです)。
それはともかくとして、亀井は「ラ・カンパネラ」では気を許したか、時折ペダルを踏みすぎて端正な切れが濁ることがあった。彼はすぐに落ち着きを取り戻すと、遊び心に溢れ、極悪非道で、大胆な「夜のガスパール」を弾いた。数日前のタドコロはアポロン的アプローチだったが、それよりも表面的には刺激的だった。他のピアニストだったら、このような作品と演奏の次に、犯罪でしょと言うほど難しいイスラメイを弾くなんてどうかしている、と思う。しかし、ここでもまた、亀井の見事なテクニックと無限の色彩に圧倒されてしまった。亀井は審査員を驚かせるつもりだったのだろうが、最後は喜びを分かち合っていた。

• 6/12 Cliburn blog No.10:

ロマン派の難曲を驚異的に弾きこなす #亀井聖矢 のモーツァルトは、意外なほど抑制が効いていた。K459のヘ長調の楽しく独創的なフィナーレでは、あの演奏以上の面白さや鋭いソリストとアンサンブルのやり取りを期待していたのだが、もう1回2回リハができていたら、うまく行ったのでは?

•6/13 Cliburn Blog No.12:

個人的には、私だったらファイナリストには入れないピアニスト2名(名前は出さない!)よりも、はるかに興味深いアーティスト #田所マルセル を猛烈にプッシュしただろう。更に言うと、#亀井聖矢 の予選とセミファイナルの見事なリサイタルは、私の永久コレクションに加えようと思っている。

Star-Telegram

https://www.star-telegram.com/entertainment/arts-culture

・6/7 by Dalia Faheid:

セミファイナリスト発表を受けて、TCUのピアノ科長のOwingsさんのコメントが出ていました。奥様と二人で配信をご覧になっていたそう: 妻と二人でただただ感激しました。その演奏のレベルの高さに、本当に感激したのです。 技術的なレベルだけでなく、想像力や観客に伝える力など、演奏のレベルという点では、私が記憶している限り、これまでで最高の大会です。演奏を聴いていて素晴らしい体験ができました。審査員は本当に正しい判断をされたと思います。審査員の方々が選んだコンテスタントに、私と妻は100%同意しています。
コンクールにはサプライズ出場者が必ずいて、聴衆をワクワクさせる、とOwingsさん: 経歴を読み「この出場者はこれからだな」と思った人が、いざ演奏を始めると「このピアニストは、今までどこにいたんだ?」と思うことがあります。 


The Dallas Morning News

・Cliburn 2022 Semifinals, Day 3, June 10:

亀井聖矢(日本、20歳 ) セミファイナル/リサイタルが好評だった亀井、Sunとは大いに違う意味で満足のいくモーツァルトを聴くことができた。協奏曲第19番ヘ長調(K.459)はとても穏やかで、モーツァルトの時代、小編成のオーケストラでも、ピアノはやっと聴こえるくらいだったことを思い起こさせる。では、弱気だったのかというとそうではない。亀井は場を支配するのではなく、私たちを音楽的に密やかにいざなった。亀井は自らの控えめな表現で、エレガントに形を作り、フレージングしていた。オーケストラの管楽器が、いつも以上に際立って、そのパートを魅力的かつ繊細に演奏していた。