〇〇だから に気がついたら、止まってみるのも悪くない

ワンピースという国民的な物語。コロナ禍でおうち時間が増えたのをいいことに、ついに手を伸ばした。正直、「長いし、途中で飽きちゃうかもな」なんて思っていた。結果、あの時の自分に言ってやりたい。あなたしっかりとハマっていますよ、と。

わたしがこの物語にハマったのは、幾つか理由がある。
純粋に話の展開が面白いし、布石が回収されていくのもワクワクする。見入ってしまう。登場するキャラクター達は、信念、成長、強さ弱さ、それらが一貫して、とても丁寧に描写されている。ちなみにわたしはアラバスタで登場するビビが好き。大好き。何度見ても、泣いてしまう。

そして、それぞれの”編”で「歴史」と「伝えたいこと」が、いつも強く胸を打つ。登場する国から感じる歴史、色使い、人の優しさや醜さ、自然の偉大さ。
作者の意図を確認する術はないけれど、各国でそれぞれ、私たちが目を逸らしてはいけない大切なことが、たくさん詰まっているように感じる。

小さなトンタッタ族の大きな力

ドレスローザ編で、トンタッタ族という小人達が登場する。
小さな小さな彼らは、とてつもなく純粋で、素直で、正直だ。彼らは長きに渡り、大きな人間達に虐げられたり、嘘をつかれて利用される。
そんな彼らは、自分達の国を守るため、信念のもとに立ち上がる。

印象的だったシーンがある。
彼らがついに作戦を決行するとき。敵地に乗り込むために準備した乗り物を、大きな人間に披露したときだ。
人間よりもずっと小さな彼らが準備する乗り物だ。彼らよりも物理的に大きな人間たちは「きっとそれ、私たちは乗れないよね」という顔つきで待っている。いや、無理でしょう、と。小さな彼らにできることは、彼らの世界の大きさに合ったものだろう、と。人間たちに悪意は全くない。正直、わたしも見ながら無理だと思った。

しかし、出てきた乗り物は、想像をはるかに超えるものだった。人間が乗れないなんてとんでもない。スピードも安定感も申し分なく、それは彼らの意志、国を守りたいという信念、長年培われた彼らの知恵と工夫が、しっかりと詰まった乗り物だった。人間たちがそれを目の当たりにした時に発せられた「すごい!これなら、私たちも乗れる!」という言葉の中には、彼らへの敬意と、少しの反省が感じられた。

無意識に決めつけていることが、きっとたくさんある

人間が1日に決断する回数は35,000回以上という情報がある。それだけの回数をこなす一方で、1人に与えられるのは24時間、これだけは揺るぎない、平等に与えらた数字である。情報で溢れたこの世界において、決断することは容易ではなく、それとは裏腹に、1つの決断にかけられる時間も、どんどん短くなっている。変数ばかりでは決められない。自分の意志や信念はさる事ながら、できる限り決断しやすい思考と基準を自分のなかに設けることが、この世界の中で生きていく術の1つなのかもしれない。

しかしその術にとらわれて、無意識に「決めつけていること」は、きっとたくさんあるのではないかと思う。小さいから、子供だから、大人だから、若いから、知らないから、似合わないから、好きだから、嫌いだから。〇〇だから。

変数ばかりじゃ決まらない、決められない。だからこそ自分の中の意志や信念はとても重要だ。
でも、無意識に、さも当然のように存在している「〇〇だから」に気がつくことができたら、一度立ち止まってもいいのかもしれない。決断のスピードは落ちるかもしれないし、前だったら悩まなかったことに、悩むことが出てくるかもしれない。しかしその分、今まで気がつかなかった、有り難みや、存在の大きさに気が付くかもしれない。
朝食で食べたヨーグルトだって、人間だけで作ることなんて出来ないのだ。

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ワンピースを見ていると、こんなことが常に頭を巡る。気付きが沢山ありすぎて、歴史の勉強にまで手を出してしまう。決断スピード以前に、これでは時間が足りない。でも、楽しくて面白いので、どうしてもやめられない。

最後に

会社の同僚(ワンピースファン)にこんな話をしたら、「話にも集中しろ!」と突っ込みを入れられました。はい、それはもちろん!

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