ピロスケ

大阪在住。ダイエット中なのになぜか食に関するエッセイが多いです。最近ショートショート小…

ピロスケ

大阪在住。ダイエット中なのになぜか食に関するエッセイが多いです。最近ショートショート小説も書き始めました。

マガジン

  • ショートショート小説

    サクッと読める自作のショートショート小説集です。

  • おいしいものの話

    おいしそうなもの、おいしかったものについて語ります。

  • 羽のように軽いエッセイ

    1ミリも深みのない軽いエッセイをまとめました。重い話に疲れた方におすすめ。

  • ダイエットの話

    いろいろ試してみるものの、一向に体重が減らないダイエットの事例としてどうぞ。

最近の記事

悪魔王女のお返し断捨離作戦

「フハハ、次に我が降臨する時を震えながら待つがよい!」 玲奈がスタッフに別れの挨拶をして楽屋に入ると、マネージャーの志代が待ち構えていた。 「玲奈ちゃん大変。 玲奈ちゃんのファンから届いた贈り物が多すぎて、もう事務所に入り切らないみたい。 社長から何とかしてくれって電話があったわ」 「ククク、愚民どもが我の…じゃなかった。 そ、そんなに来てるんですか?」 「わたしもびっくりよぉ。 とりあえず事務所に向かいましょう」 タクシーで事務所に戻ると、受付から廊下まであらゆる

    • 突然の猫ミーム

      「今日もがんばったね…」 土曜日の午後。 膝の上で丸くなっているルナの背中をそっと撫でて労う。 ルナとの出会いは一ヶ月ほど前。 大学の授業を終え、午後の公園。 お気に入りのベンチでコーヒーを飲んでいた。 公園の隣にはペットショップがあり、ベンチに座るとウィンドウ越しにかわいいネコちゃんやワンちゃんを眺めることができるのだ。 子猫たちがじゃれ合う姿に癒やされながら、ほう…とため息をつく。 ああ、猫が飼いたい。 毎日癒やされたい。 今住んでいるアパートがペット禁止じゃな

      • レトルト三角関係エンド

        ぼくは今とても傷ついている。 朝起きて食堂に入ったら、クルーのジョージが仰向けになって床に倒れていた。 目を見開き、苦悶の表情。 どう見ても死んでいる。 ジョージの動かなくなった視線が向いている先、中央のテーブルには同じくクルーの女性二人、サラとミウが向かい合わせの席に座った状態で朝食のトレイに顔を突っ込んだ状態で息絶えている。 4人しかいないクルーのうち、ぼく以外の3人全員が死んでいた。 何があったらこんな状況になるの? 船内の監視カメラの映像を観れば何が起こったか

        • 洞窟の奥はお子様ランチ

          「洞窟の奥はお子様ランチ…」 「はい?」 被害者の机を調べていた紗英さんが発した不可解な言葉に聞き返す。 紗英さんと僕は殺人事件の調査のため二人目の被害者、豊中康介氏の自宅を捜索している。 一月ほど前に最初の被害者である冒険家、桃山敬之氏が何者かに毒殺された。 その犯人の目星もつかない中、同じく冒険家の豊中氏が毒に侵されて倒れた。 幸い豊中氏は発見が早かったため一命をとりとめたものの、いつ意識が戻るかが分からない状態。 有名冒険家2名が相次いで毒に倒れるというセンセー

        悪魔王女のお返し断捨離作戦

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        記事

          デジタルゾンビバレンタイン | ショートショート

          『フハハハ、貴様ら全員生ける屍になるがよいわ!』 2月14日、バレンタインデーの18時を過ぎた頃。 恋人たちが愛の言葉を交わすその裏側で、恐るべき呪いがばらまかれた。 ある悪魔が生み出したその呪いは各地に潜む悪魔崇拝者たちのもとへと届き、彼らを甘い香りで惑わせる。 虜になってしまった崇拝者たちは理性を奪われ、本能のままに動く生ける屍へと変わってしまった。 そうして生まれた数万におよぶ呪われた崇拝者たちは、バレンタインの賑わいに導かれるように街へと歩き始める。 「えー、

          デジタルゾンビバレンタイン | ショートショート

          行列のできるリモコン | ショートショート

          『接続エラー発生』 気がつくとユミは道端に座り込んでおり、手に持ったスマホにはエラーメッセージが表示されていた。 「イゴーロ」との接続が不安定になり、その影響で座り込んでしまったらしい。 『至急再接続してください』 繰り返しメッセージが表示されるが、やり方も分からない。 ふらつきながらどうにか立ち上がり、近くのベンチに腰掛けた。 身体を自分で動かすのも随分ひさしぶりだ。 イゴーロを装着して以来、これまで意識して身体を操作する必要がなかった。 イゴーロは数年前に各通

          行列のできるリモコン | ショートショート

          東館の鬼 | ショートショート

          もしあの時引き返していたら…いや、結果は同じだっただろうな。 「鬼には神通力があったとか、心を読む力があったとか。 ただ暴れるだけではない話もたくさん残っているのよ」 助手席のユミがスマホをいじりながら語る。 ユミは民俗学研究会に所属しているだけあって各地の伝承に詳しい。 いつもよりテンションが高いように見えるのは、めったに見られないという鬼の遺物とやらを楽しみにしているからだろうか。 それともひさしぶりに俺と過ごす週末を楽しみにしてくれているからだろうか。 ユミとは

          東館の鬼 | ショートショート

          プロットを決めるのに5日かかった時は2日で書き上がるのに、1日でプロットが決まっても書き上がるのに6日かかるのはなぜなのか...。

          プロットを決めるのに5日かかった時は2日で書き上がるのに、1日でプロットが決まっても書き上がるのに6日かかるのはなぜなのか...。

          アメリカ製保健室 | ショートショート

          「タカシくん、ヒロアキくん、開けなさい!」 二人の男子小学生が学校の保健室に閉じこもった。 後ろでガシャンという音が聞こえて田口先生が振り向くと、自分について保健室を出るはずだった二人の姿が消え、分厚い扉が閉まっていた。 慌てて開こうとするが、びくともしない。 その扉は普通の小学校にあるようなドアではなかった。 アメリカの姉妹都市から招いた建築家が設計したこの小中一貫校は、外部からのあらゆる脅威に対応できるように必要以上の頑丈さで建てられた。 特に各部屋の扉は特別頑丈

          アメリカ製保健室 | ショートショート

          ドローンの課長 | ショートショート

          ブーン…。 両肩と腰をドローンにつながれ、床から30センチほど浮いた山田課長が目の前を横切っていく。 私がこの佐久主商事に転職してきて数ヶ月。 営業支援システムの開発職ということで気合を入れて入ってみたら、高齢でフラフラの先輩方をドローンで吊るして目的の営業先に飛ばす仕組みの開発が待っていた。 いや吊るされる皆さんは移動が楽になったと喜んでいるし、一応営業を支援しているわけなのだけど。 なんというか…思っていた開発職とちがう。 老人が吊るされて飛んでいく姿を見た時の罪

          ドローンの課長 | ショートショート

          雪の妖精 | ショートショート

          1年中雪に覆われる北の街。 その街の外れにある教会にソーニャという女の子が住んでいました。 赤ん坊のときにシスターに拾われたソーニャには両親の記憶がありません。 教会には同じような孤児が数人いましたが、ソーニャは誰ともあまり話さず、いつも一人で過ごしていました。 その日もシスターや他の子供たちが過ごしている部屋を抜け出したソーニャは、マフラーと手袋を身につけて教会の裏庭に出ました。 裏庭は遊ぶには少し狭いので、人があまり来ないのです。 誰もいないことを確認すると、ソーニ

          雪の妖精 | ショートショート

          大吉の光 | ショートショート

          神職として新たに着任した神社で初めての年始。 「噂には聞いていましたが本当にすごい人出ですね!」 お守りやお神札を求めて押しよせる初詣客に対応する巫女達を一緒に見てまわりながら、宮司に話しかけた。 「そうですね、ありがたいことです。 夜光おみくじはまだまだ人気があるようですね」 宮司が答える。 既に日は沈んでおり、人混みの向こうに灯籠で照らされた参道が見える。 参拝を終えた晴れ姿の女性二人がキャッキャと話しながら歩いていた。 それぞれ手に淡く光る紙を大事に持っている

          大吉の光 | ショートショート

          時間を超える待ち合わせ | ショートショート

          「兄さん、急に呼び出して何ごとだい?」 「きたか。 お前が開発したコールドスリープ装置はずいぶん注目されているらしいじゃないか」 「おかげさまで問い合わせが殺到して忙しくしているよ。 兄さんも意地を張らずに開発に加わってくれたら良いのに」 「ふん、なぜ私がお前の下で働かなくてはならない。 先に成果を出したからと言って調子に乗りすぎだ。 これを見るがいい!」 兄が仕切りのカーテンを引くと、小型車のような乗り物が現れる。 「私が開発したタイムマシンだ!」 「な、なにぃ

          時間を超える待ち合わせ | ショートショート

          老舗和菓子屋のクリスマス | ショートショート

          「パパ、確認なんだけど」 「なんだい」 「これはクリスマスツリーではない?」 「クリ…スマ…なんだって?これはうちの店の年末用の飾り付けだぞ」 「いやどう見ても立派なクリスマスツリーなのだけど? もみの木にオーナメントが飾り付けられてキラキラしてるし」 「これはあれだ…でかい盆栽に菓子を飾り付けるという新しい販売手法だ。目立つように光らせてな」 「あくまで和のイメージだと言い張るわけね。 見た目の和菓子感ゼロなんだけど…。 あのオーナメントボールのようにたくさんつ

          老舗和菓子屋のクリスマス | ショートショート

          台にアニバーサリー | ショートショート

          「じいちゃん…」 男手一つでミゲルを育ててくれた祖父が亡くなった。 事故で両親を失った時に引き取られ、それ以来唯一の家族だったのに。 支えを失ったミゲルは途方に暮れた。 そんなミゲルの元に遺産の管財人が訪れる。 未成年のミゲルが一人になっても生きていけるように、祖父があらかじめ手配してくれていたのだ。 祖父と住んでいた自宅と工房はミゲルが相続し、今後5年間ミゲルが成人するまで毎年生活費が支払われる。 管財人はそう説明すると生活費が入った重い袋をミゲルに手渡し、これ

          台にアニバーサリー | ショートショート

          白骨化スマホ | ショートショート

          自動ドアを通って店に入ると、やたら明るいスタッフに迎えられた。 「いらっしゃいませ!スカルモバイルへようこそ! 本日は乗り換えですか? こちらへどうぞ!」 テーブルを挟み向かい合わせに座る。 スマホをテーブルの上に置き、氏名や年齢等の質問にボソボソと答えた。 「見たところまだまだ乗り換えは必要なさそうですが、何か問題でも?」 「半年くらい前から調子が悪くて…あちこちで診てもらったんですけど治すのは難しいみたいで…もう乗り換えるしかないかな、と。」 「そうですか…まあ

          白骨化スマホ | ショートショート