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いい人でいて損をするなら、悪い人でいることを選ぶ

私がGOTOEATのポイントで予約した品川のお店で待ち合わせ。2分くらい遅刻した。私にしては上出来だけど「お待たせしました」と形式的に謝る。
色付きサングラスと幾何学模様のアロハシャツという輩っぽい出立ちで手を振ってくれた。柔らかい雰囲気の顔と仕草もあってか、不思議と嫌味なく似合う。
私の方は、目の覚めるような青いパンツにコントラストを効かせた白いブーツ、切りっぱなしのデニムジャケットと強度の高い武装をして行った。前回、デートらしくワンピースを着て行ってしまったばっかりに一日しおらしく緊張するはめになった反省を生かして。化粧も気持ち濃いめ。

勧めた漫画、勧められた漫画の話でひとしきり盛り上がる。「次何を読もう」と言うので、さりげなさを装って、おすすめ持ってきたけど読む?と「シティライツ」を貸す。同じ作者の「音楽」を知っていたようでそれなりに興味を持ってくれた。

2人でピザをシェアして、お腹いっぱいになった頃、具が乗ってる部分だけ食べてピザの耳を2つ残した。
行儀悪いと思われたくなかったから無理して食べようかとも思ったけど、今日は格好つけず無理しないことにした。具だけでも食べようとした心意気を買ってほしい。ワンピースを着ている私だったら体裁良くお皿をきれいにしただろうけど今日の私は青いパンツなので。

予約してもらったドライブ・マイ・カーを観るために2人で電車に乗る。時間を30分勘違いしてた彼の横で「もう始まっちゃったね」と他人事のように言う私。テンパる姿が可笑しいやらいじらしいやらで笑う私。1人でいる時もしょっちゅう遅刻して映画の序盤を見逃す私は5分くらいの遅刻じゃ動揺しないのだ。おおらかでいられてよかった。

序盤からセックスシーン。こういうシーンを見てて勃起しちゃったりしないのかなーと要らぬ心配(好奇心?)を抱いてしまう。
ドラマなんかだと映画を見にきた2人は恋愛シーンに横顔を照らされながら手を重ねたりするよなと思いながら、手の置き場を考えてしまう。どう考えても自然に触れ合える距離感ではない場所にお互いの手は落ち着いている。そうだよね。手すりはひとつしかないし、手すりを握り込む形で手のひらを置くのって落ち着かないし。
旦那が奥さんの浮気現場を見てしまうシーンで、自分の今の状況が重なってしまい罪悪感に苛まれる。旦那を深く愛していながら他の男を求めてしまう女。それを代理運転手の女の子は矛盾してない、そういう人だっただけと言ってくれた。

帰りの電車で「次は何に誘ったら来てくれますか?」とかわいい聞き方をしてくれる彼。何に誘われても嬉しいからと「なんでもいいよ」とつまんない返しをしてしまった。「君に誘われるんならご飯でもなんでも嬉しいよ」と言えばよかったのに。かわいげがないなあ。

彼女との待ち合わせをごまかしごまかし引き伸ばして、コーヒー1杯だけと彼と感想を話し合った。背後に回って手話で語りかけるシーンを彼は「ゴースト」のろくろを回すシーンに例えた。そのシーンは知ってるが映画は観たことがない。曖昧に相槌を打ちながら、家に帰ってから観ないとと思った。

彼が友達とやってるという交換日記に今日のことどう書くのか気になるなと伝えてみた。見せましょうかと言われて面食らう。直接言えなくても書いた本音を見せるのは抵抗ないらしい。「僕はいいけど、あなたが気まずくなっちゃうかも」と言われた。それどういう意味!?ますます何を書いてるか気になるよ!!やっぱり怖いから今はまだ見なくていいです。

彼と別れたその駅で、その足で、彼女と待ち合わせして彼女の家に向かう。彼からの通知が来てしまわないかそわそわしながら、彼女の横でスマホをチェックする。私がしてることってものすごく悪いことなんじゃないだろうか。でも今日楽しかった気持ちに蓋をしてこれから我慢していくこともできない。願わくば赦されたい。赦したい。泣きながら「私以外の人とも会っていいからね」って言ってくれた彼女の言葉を何度も思い返して自分を赦そうとしている。

サポートされるってどんなだろう。 サポートされてみたい。 本業以外でお金を得られるんだ!って自信をつけて、将来への不安を和らげたい。 いただいたお金は食費にあてます。