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すきなひとのすきなもの


わたしは小さなころから好きなひとの好きなものを好きになる。

例えば幼稚園のころ。

好きなお友達が水色が好きといったから、わたしも水色が好きになった。

昨日まではピンクが好きだった。

中学時代。

好きなアイドルが好きだといった歌をわたしも好きになった。


大学時代。

話すと心がぽかぽかになる大好きな人と出会い、お友達になった。

それまではあまり興味なかったインテリアや暮らしの道具、自然。

興味をもって、わたしも好きになった。


そして今現在。


好きなものはなんですか?

そう聞かれると、「フィルムカメラと美味しいごはんです」

わたしはフィルムカメラを好きになった。


私の相棒autoboy



フィルムカメラとの出会いは2021年の秋。


わたしはフィルムカメラで写真を撮ってもらった。  


はじめて撮ってもらった日


前から言葉にするのは難しいけど、これすきだなと思う写真を撮る人だった。



はじめは緊張したが、フィルムカメラ特有の重いシャッター音で心はほぐれた。


待ち合わせをした駅のベンチ、秋の光と秋のオレンジ色、猫を撫でる手、持っていった花の名前。

その日のことは全部記憶の中に残っている。


この日が私とフィルムカメラの出会いだった。


それから数日。


できあがった写真を見た時、あたたかくて、お日様みたいな気持ちになった。

撮ってくれた人と話している時も、あたたかくて、お日様の下にいる心地がした。


写真と撮ってくれた人が重なった。

お日様のような人にお日様みたいな写真を撮ってもらって、わたしの宝物になった。

あたたかかった秋




そんな写真を撮る人がわたしの隣を歩いてくれるようになって、色んなところへいった。

近所の公園、遠い海、スーパー、遊園地、島、空の上。


いつも彼の首にはフィルムカメラがかかっていた。

春は桜、夏は島、秋は紅葉、冬はおうち。


彼のことをどんどん好きになるにつれて、フィルムカメラのこともどんどん好きになっていった。


「ちょっとまってて」

写真を撮るために私を立ち止まらせる。

木漏れ日に向かってカメラを向ける背中。その背中を見る時間もわるくない。むしろけっこう好きだ。

「ありがとう」

そう言ってまた一緒のスピードで歩き出す瞬間も好き。


いつしかわたしも首にフィルムカメラをさげるようになった。


そして、人を喜ばせるために写真を撮ることばかり考える彼をわたしは彼のためだけに撮りたいと思った。


最近仲間入りしたricoh autohalf



はじめて写真を見た時に重なったよう、彼はフィルムで撮った写真のような人だと思う。

あたたかくて、繊細で、でも芯があって、白黒つけすぎで、やわらかくて。

わたしはそんな彼を守れるひとになりたい。

そんな彼をフィルムで残したい。


F3に嫉妬する日々。



彼がフィルムを愛しているから、私もフィルムが好きなんだと思う。

すきなひとのすきなものを好きになれる自分でよかった。


すきなひとのすきなものを好きになれる自分をすこし誇らしく思う。



すきなひとのすきなもの。
それを一緒に好きでい続けたい。


さくら

おひさまのようなひとにわたしもなれますように


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