麻衣

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記憶に溶けていきそうな夜

玄関を開けると、母がランタンを持って佇んでいた。 初夏の匂いがする。 この匂い、東京では決して嗅ぎえない。 だから、正確には初夏の地元の匂い。 母のそばに駆け寄り、歩く。 時々たわいもない言葉を交わす。黙ることもある。 空。やっぱり地元の空は一味違う。 青と紫を溶かしたような色。 西の空にはまだ明るさが尾を引いている。東の地平線近くは闇が迫っている。 巨大な雲が、その隙間から模様を描いている。 時々パタパタと羽ばたいて横切るのは蝙蝠だ。 すぐ近所の大きな公園が見え

    • 設計より考察。

      • いっそニヒリズムを味方に。

        • 2020/05/13

          存在すら認められていないけどそこにある。そもそも自分のことさえも良くわかっていないのに人のことすらわからないのは当たり前のこと。仏教は欲を捨てろという。究極を言えば生きたいと願うことさえ執着と同義だ。でも、今小さな命の死を目前にして毎夜涙が溢れてくる。いや死なないかもしれない、弱っているだけかも。死ぬなんて縁起でもないこと、口にした瞬間から現実になりそう。死神なんて自分の中に巣食ってるんじゃないの。 この世は死で溢れてる。こんな思いをこの世界で何万人も同時多発的に突きつけら

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        記憶に溶けていきそうな夜

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          もはやテレビCMを観ると郷愁を感じる。かつての日常………

          もはやテレビCMを観ると郷愁を感じる。かつての日常………

          日々やることがある。

          日々やることがある。

          我が希望は食に有り。(思い返せば食に関しては贅沢な人生を送ってきた)

          我が希望は食に有り。(思い返せば食に関しては贅沢な人生を送ってきた)

          意味や教訓ではなくむしろ矛盾を追求し、それ自体で完結している小説は総じて良き。

          意味や教訓ではなくむしろ矛盾を追求し、それ自体で完結している小説は総じて良き。

          書店を歩く

          昔はキラキラ眩しい表紙が苦手で、雑誌を一切買わなかった。 ティーン向けコーナーに立ち寄ろうともしなかった。 そういえば、幼い頃はズボンばかり履いていた。スカートなんてもってのほか、髪を伸ばそうとも思わなかったし、メイクに興味も持たなかった。 私には弟がいるのだが、ブームはいつも弟が持ってきた。 ポケモンも、コロコロコミックも、A列車で行こうも、弟が熱中しているのに便乗して私もハマった。 プリキュアは好きだった。あとシルバニアも。でもシルバニアは高いから、一回だけ親にねだって買

          書店を歩く

          私も進学したいーーーーーー

          私も進学したいーーーーーー

          気づいたら夢が一個叶ってた

          80の祖母と暮らしていることもあって迂闊に外を出歩けない。 今は半引きこもり状態なのだけど、よく考えたらこんなに暇な時間があるのは小学生以来だということに気づいた。 吹奏楽部だった中学時代は言わずもがな忙しかった。放課後は常に楽器を吹いていただけでなく、机やピアノをいちいち運んだり、打楽器を三階から一階まで運んだり、トラックを呼んだり指導の先生の接待をしたりなんだか働きまくっていたような気がする。無論、勉強などしている暇はなかった。 とはいえ授業中に全てを詰め込んでいた私

          気づいたら夢が一個叶ってた

          動物を飼っていると自分も神様に飼われている気がしてくる。(信仰しているわけではない)

          動物を飼っていると自分も神様に飼われている気がしてくる。(信仰しているわけではない)

          夜が怖い

          (映画ミッドサマーについて:若干ネタバレ有) トラウマを植え付けられる映画だと事前情報でわかっていたはずなのに、つい好奇心に負けて観に行ってしまったミッドサマー。 結論から言うとかなり最高だった。 私はこの映画を観ている間、結構主人公のダニーに入りこんでいた。 早くこの村から逃げ出したい、けれど逃げ出せない絶望と救いのない孤独感が映画館に一人閉じ込められた私の状況と重なる。 村の人たちが次に何をしでかすかわからず、終始恐ろしさに心臓が早鐘を打っていたけど、夢幻的な映像

          夜が怖い

          今まで誰かのリツイートで状況を把握していた100日後に死ぬワニを死ぬ3日前にフォローする。

          今まで誰かのリツイートで状況を把握していた100日後に死ぬワニを死ぬ3日前にフォローする。

          なんでもないこと

          野菜を切ってみる。 ヘタを切り取って、芽をくり抜いて、皮を剥く。 この作業に一番手間がかかる。 食べられないギリギリのところを狙って包丁を入れる。 皮をできるだけ薄く切る。 本当は一本の渦巻きを作りたいけど、大抵どこかで途切れてしまう。 玉ねぎの皮は手で剥く。 ピーマンはタネをもぎる。 丸裸になったら、次は大まかに切り分ける。 真っ二つ、それからまた真っ二つ、それからまた真っ二つ。 ブロッコリーは房を一つ一つ。 それから今日の料理に合わせてもっと細かく切り分ける。

          なんでもないこと

          雑記2020/03/11

          私は、どこか捻くれている。 どうしてこうなってしまったのかわからない。 だけど、今は素直に生きることがとてつもなく恥ずかしい。 私の身の回りには、美しい心を持つ人たちがたくさんいる。 先輩にも、後輩にも。 唯一の親友もそうだ。 美しい心を持つ人と巡り合うと、安堵する。 凝り固まった私の心を柔らかく受け止めてくれるから。 こんな風に生きたいという密かな希望になるから。 真の善人になりたいと望んだことがある。 だけど私には無理だった。 本能のまま生きてる。

          雑記2020/03/11