P.K.G.Tokyo

私たちP.K.G.Tokyoは、アイデンティティー/ストラテジー/クリエイションの3ス…

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私たちP.K.G.Tokyoは、アイデンティティー/ストラテジー/クリエイションの3ステップでブランドを築く、デザインマネジメントエージェンシーです。 https://www.pkg.tokyo/

最近の記事

「包む」ことを想う。

「包む」ことを考えるとき、思い出される一つの詩があります。 包む    草野心平 霙にぬれた冷たい手々を。 母親のあったかい掌(て)が包み。 病気になった小鳥のからだを。 真綿が包む。 風呂敷のように包むことが。 風呂敷そのものが。 日本民族の愛の象徴で。 その傳統のはての包みが。 いまも生活のなかに生きている。 柏の葉で餅を包み。 紫蘇の葉で梅の身を包み。 笹の葉ですしを包み。 朴の葉で豆腐を包む。 紙に包まれた割箸。 油紙で包まれたともしび。 田を耕して米をつく

    • パッケージデザイナーとしてこれからのAI時代との向き合い方

      最近AIの発展は目覚ましく、近い将来私たちの日常生活に大きな変化が訪れようとしています。 中でも生成系AI(ジェネレーティブAI)と呼ばれるさまざまなコンテンツなどを生成する事が出来るAIには、私たちクリエイターはこれからの動向に関心を持たざるを得ない事柄です。 クリエイティブ業界で広く浸透しているAode社も生成AI開発に注力し、昨年「Adobe Firefly」がリリースされ注目を集めているように、私たちのすぐ近くまでAIの技術進化が迫ってきています。 これから本格

      • 言葉で紐解くパッケージ。「包装」が担う十の役割。

        パッケージデザインの仕事に携わるようになったのはいつからだろう。 グラフィックデザインを学び、広告業界からキャリアを始めた若きデザイナーは今、パッケージデザインを強みとするブランドマネジメントエージェンシーP.K.G.Tokyoを率いている。しかしながら、振り返ってみてもパッケージデザイナーを志していたという記憶はない。だから今の立場が自らの意志だったのか、社会からの要請だったのかは知る由もないが、パッケージデザインが面白いということはしっかりと体に刻まれたようだ。 さて、

        • 新しい時代の新しいワークフロー

          昨今、多様性という言葉は多くのメディアでも取り上げられ、すっかり聞き馴染んだものになったように思う。人種、国籍、セクシャリティはもちろんキャリアや年齢なども含むあるゆる価値観を尊重しましょうという社会的通念だと私は解釈している。そういった背景も踏まえ、物事を白か黒と判断せずグラデーションと理解してその境を明確にしないことも許容していく。こういった現代的な考え方があらゆる商品やサービス、さらに広くブランドにおいても影響を及ぼしていくのではないだろうか。例えばアフターコロナにおい

        「包む」ことを想う。

          Meiji カカフルシリーズ

          『「チョコレートは明治」の本気の挑戦!カカオというフルーツの新しい愉しみ方』と題し、株式会社明治がクラウドファンディングにて数量限定発売したプロジェクト、カカフルシリーズ。 カカオをフルーツとして活かした新商品として開発され、タブレット、ドリンク、ソルベの3タイプで展開された本商品のパッケージデザインをP.K.G.Tokyoが担当いたしました。 ターゲットである健康や美容を意識した若い女性に向けて「カカオを新しい形で取り入れる体験」を届けるため、可愛らしく楽しい雰囲気の世

          Meiji カカフルシリーズ

          Meiji Dear Milk 「シンプル」へ価値を見出すアイスクリーム。

          大手乳業メーカーである明治が独自技術を用いて開発した、原材料が乳原料のみというアイスクリーム。P.K.G.Tokyoがコンセプトからネーミング策定に伴走し、パッケージデザインの開発を行いました。 「原材料、乳製品のみ」とコミュニケーションしているこのアイスクリームは、発売以来アイスファンの間で話題に。私も開発に関わっていた頃から発売を楽しみにしていました。今回はDear Milkの一ファンとして、気に入っている食べ方をご紹介します。 1.ナッツをかける カリカリとしたナ

          Meiji Dear Milk 「シンプル」へ価値を見出すアイスクリーム。

          エスビー食品×P.K.G.Tokyo 「ものづくり」の現場で作用するデザイン

          私たちの生活に欠かせない「食べること」。普段、私たちは食品を手に入れるためにスーパーマーケット等に足を運びます。ですが、そこに並ぶ製品ひとつひとつにある「ものづくり」のストーリーを感じることは、少ないのではないでしょうか。今回は、食卓を美味しく、豊かにすることで、幸せな日常をつくる商品を世に送り出し続けているエスビー食品株式会社の商品企画担当者に話を伺いました。P.K.G.Tokyoがデザインで関わった「まぜるだけのスパゲッティソース ご当地の味」のものづくりのストーリーをお

          エスビー食品×P.K.G.Tokyo 「ものづくり」の現場で作用するデザイン

          KURAND×P.K.G.Tokyo デザインとブランドのいい関係とは

          P.K.G.Tokyoのメインワークである、パッケージデザイン。 今回は、氷点下で約20年眠り続けた熟成日本酒「FRESH VINTAGE the epic」のデザインとブランドの関係性の観点から、商品開発のストーリーをお送りいたします。KURAND株式会社の商品チームマネージャーの青砥 秀樹さんと、弊社ディレクターの柚山の対談形式です。 取材・文:大島 有貴 撮影:唐 瑞鸿(plana inc.) FRESH VINTAGE the epicとは 「FRESH VIN

          KURAND×P.K.G.Tokyo デザインとブランドのいい関係とは

          パッケージデザインは新時代に順応できるか。

          これまで歴代のヒット商品は、とても印象的なデザインが採用されています。どれも記憶に残る素晴らしいパッケージデザインです。新旧、流行り廃りはあれどヒット商品が名作デザインであることはとても多いと感じます。それは言い方を変えれば、良い商品とは良いデザインによってプレゼンテーションされていると言えるのではないでしょうか。 プレゼンテーションされているとはどういうことか。例えば、これまでにない美味しさの食品が新たに開発されたとします。その事実をコンシューマーに伝えなければ評価を受け

          パッケージデザインは新時代に順応できるか。

          脱プラと海洋プラスチック問題

          2020年7月1日からプラスチック製買い物袋の有料化が始まりました。 今回は、この背景にある海洋プラスチック問題についてご紹介していきます。 現在、地球上では年間800万トンものプラスチックごみが海へ流れ込んでおり、既に世界の海には合計1億5000万トンも存在していると言われています。このごみたちによる海洋汚染や生態系に及ぼす影響を問題視したのが「海洋プラスチック問題」です。水深4800mの深海にも数えきれないほどのレジ袋などが漂い続けているそうです。これらの存在は何年も前

          脱プラと海洋プラスチック問題

          手作業で紡ぐ、伝統の伊勢型紙。

          P.K.G.Tokyoがデザインを手掛け、国内外のパッケージデザイン賞を受賞したKURANDの「UMESHU THE AMBER」。中身の紀州梅酒になぞらえて、伊勢型紙をデザインに使用しています。その際に三重県にある伊勢型紙協同組合様まで取材に行ってきました。今回はその一部を紹介させていただきます。 伊勢型紙とは、友禅、ゆかた、小紋などの柄や文様を着物の生地を染めるのに用いるもので、千有余年の歴史を誇る伝統的工芸品(用具)です。和紙を加工した紙(型地紙)に彫刻刀で、きものの

          手作業で紡ぐ、伝統の伊勢型紙。

          パッケージデザインの魅力とは

          パッケージの定義と発展 J.H. Briston, T.J. Neillの書籍『Packaging management』によると、パッケージの定義は輸送と販売のためのアート、サイエンス、テクノロジーだそうです。Bill Stewartは費用対効果、保護、識別がパッケージの重要な役割であると主張しています。Gavin Ambrose, Paul Harrisの『Packaging the Brand』では商品を保護すること、コストへの貢献、商品の属性および良さを促進すること、

          パッケージデザインの魅力とは

          現代のデザイナーはフィニッシュも手がけるコンサルタント。

          皆さんは「鑑賞教育」という言葉を聞いたことはあるでしょうか。もしかしたら初めて耳にする方も多いかもしれません。それは、図工や美術のように技術的なことを学んだり表現したりするのではなく、美術作品を「観る」行為を通して、観察力や洞察力、その作品を自分なりに論ずるなどのコミュニケーション能力を養うカリキュラムのことです。 私が初めてこの言葉を知ったのは美術出版エディケーショナル(当時は美術出版サービスセンター)さんの教材のお仕事でした。当時、「鑑賞教育」というものに特化した商品はほ

          現代のデザイナーはフィニッシュも手がけるコンサルタント。

          Where are you from?と聞いてみよう。

          クライアントとの打ち合わせでは、いろいろなオーダーをいただくことがあります。「こんなイメージにして欲しい」であるとか、「女性(または男性)らしくして欲しい」であるとか。そういった条件を積み重ねて行くと、だんだんとクライアントのイメージする顔つきが浮かび上がってきます。そして、たくさんのオーダーの中、面白いのがパッケージの国籍。過去のオーダーではこんなものがありました。 「中国をはじめとしたアジア圏で販売するのだが、ヨーロッパ的な見た目にして欲しい。ただ日本製ということはアピー

          Where are you from?と聞いてみよう。

          デザインの世界では無視できない「文字」と「ロゴタイプ」の話。

          決して大げさな表現でなく、私は人類史上最高のデザインは「文字」だと思っています。「文字」がデザイン?文字は文字でしょ?という方もいるかと思いますが、図形をルールに従って並べコミニュケーションをとるという行為は、紛れもなくデザインによって成り立っているもの。人類が有史以来、切磋琢磨して編み出したデザインのひとつと言えます。長くグラフィックデザインに携わっていると、如何に書体というものが重要かがわかってきます。言い換えれば、デザイナーにとって文字を組むということや書体の成り立ちを

          デザインの世界では無視できない「文字」と「ロゴタイプ」の話。

          日本らしく外国人が買いたい食品パッケージとは?

          近年世界は均質化してきており競争は国内だけではなく世界規模で行われています。その中で日本食は海外において好意的に捉えられています。わたしがロンドンに留学していた2014-15年においても、本格的な和食屋さん、和食の要素を取り入れたヨーロッパ料理、ヘルシーなファースト寿司店など様々な和食レストランを体験することができました。一方、スーパーに行くと中華やタイなど他のアジアン料理の方が幅をきかせているという印象があり、たまに和食を見つけても日本のメーカーのものではないことがほとんど

          日本らしく外国人が買いたい食品パッケージとは?