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昔話に学ぶ《く》

あるところに、

ハンスという少年が

母親と二人で暮らしていました。

ある時、

ハンスは、

お母さんに頼まれ、

小屋から小麦粉を取りに行き、

小屋の扉を開けた途端、

そこに強い北風がピューーーッと吹いて、

粉の入った袋を飛ばしてしまいました。

ハンスは袋を追いかけましたが、

中にあった小麦粉は

すっかり吹き飛ばされていてしまっていました。

そこでハンスは

お母さんに粉を取り返してくるといって、

走って北風の後を追いかけました。

そして、

ハンスは声を大にして叫びました。

「うちの大事な小麦粉を吹き飛ばした北風よ!

粉を返せー!」

すると

ゴオーッという地響きのように

空気を震わせて北風が答えました。

「お前の家の小麦粉を吹き飛ばしただと?

うーん・・、そうか、

それなら粉を返さねばならないが・・、

しかしここに小麦粉などはないのだ。

仕方がないこれをやろう。」

そういって北風の投げてよこしたのは、

一枚のテーブルかけでした。

「このテーブルかけは

ただのテーブルかけじゃない。

テーブルに

このテーブルかけをかけて、

こう言え。

『テーブルかけよ、

美味しい食事を出してくれ。』

するとうまいご馳走が

山のように出てくるぞ。」

ハンスは大喜びで

テーブルかけを拾い、

大声で北風にお礼を言うと、

いそいで家を目指して走り始めました。

ところが、

昼から走ってきたので、

辺りはもうすっかり暗くなり、

ハンスはくたびれていたこともあって

近くの宿屋に泊まることにしました。

そして部屋に入り、テーブルの上に

北風からもらったテーブルかけをかけると、

椅子に座って言いました。

「テーブルかけよ、

美味しいご馳走をだしてくれ!」

すると、

テーブルの上には

ハンスがこれまで食べたことも無いような

素晴らしいご馳走がたくさん並べられ、

ハンスは大喜びでおなかいっぱい食べて、

大満足したのですが、

その様子をドアの隙間から

 宿屋の主人のおかみさんが見ていました。

「まぁ!!あのテーブルかけがあれば、

料理しなくてもいいし、

食事代をもらっても買い物をしなくていいから

その分大儲けだわー!」

おかみさんは早速主人にこのことを話し、

ハンスが疲れてぐっすり眠っている間に

同じようなテーブルかけと

北風のくれたテーブルかけを

すり替えてしまいました。

翌日、家に帰ったハンスは

すぐにテーブルかけをテーブルの上に広げ、

不思議がっているお母さんを前に、

テーブルかけにご馳走を出すように言いました。

でも、テーブルの上には昨日の晩、

ハンスが食べたようなご馳走どころか、

パンの一枚も出てきません。

何度やっても

何も出てこないテーブルかけを引っ掴んで、

また北風のところへやってきました。

「おおい!北風や!

このテーブルかけは役に立たない。

やっぱり小麦粉を返してくれ!」

「テーブルかけでは駄目か。

だがここには小麦粉などないのだ。

うーん、困ったな。

よし、それではこれをやろう。」

北風がそういい終わると、

一頭の羊がトコトコと出てきました。

連れて帰って帰って羊にこう言ってみろ。

『羊よひつじ。金貨をたくさん出してくれ。』

そうするとお前の目の前に

金貨の山が出来るぞ。」

ハンスは大喜びで

羊と一緒に

家に戻ることにしました。

しかし、

やっぱり帰りの途中で暗くなったので、

またあの宿屋に泊まることにしました。

宿屋の主人は、

羊と一緒に泊まりたいというハンスの言葉に、

またハンスをジロジロと眺めながら、

お金はあるのだろうかと心配になりましたが、

この間ハンスから盗んだ北風のテーブルかけで

出したご馳走をハンスの部屋に持って行き、

しばらく様子を見ていました。 

たっぷりと美味しい食事をしたハンスは、

羊に向かってこ言いました。

「羊よひつじ、金貨をたくさん出してくれ。」

すると北風のくれた羊は

メエッと鳴いた途端、

バラバラと金貨を吐き出し始めました。

見る間に金貨の小山が

ハンスの前に出来たのを見て、

宿屋の主人とおかみさんは、

すぐさまハンスが連れてきた羊と

同じような格好の羊を連れてきて、

ハンスが寝ている間に入れ替えてしまいました。

翌日、家に戻ったハンスは、

お母さんを呼んで、羊に命令しましたが、

羊はメエメエと鳴くだけで、

金貨など一枚も出しはしません。

怒ったハンスは羊を連れて急いで、

北風のところに行きました。

「おおい!北風や!

この羊は役に立たないぞ。

羊は返すから、

はやく僕の小麦粉を返してくれ!」

「羊も駄目か。

だがここには小麦粉などないのだ。

よし、それではこれはどうだ?」

北風がそういい終わると同時に、

一本の杖が落っこちてきました。

「この杖は魔法の杖なのだぞ。

この杖に向かってこう言ってみろ。

『杖よつえ。悪い奴をぶん殴れ。』

そうするとその通りになるのだ。」

ハンスは杖をもらったところで

お腹いっぱいにはならないと思いながらも、

悪い奴をぶん殴る杖というのを

見たいこともあって、

しぶしぶ杖を拾って家に戻りました。

北風に貰ったものが家に帰ると

使い物にならなくなっていることに

気づいたハンスは、

今度もあの宿屋に泊まると、

その日はスグにベッドに入り、

寝ているふりをしていました。

その日も夜中に、

宿屋の主人とおかみさんがやってきて、

そうっと

ハンスの泊まっている部屋に忍び込むと、

ハンスが持っていた杖を静かに抜きとって、

持ってきた杖とすり替えようとした時、

ハンスはそっと叫びました。

「杖よつえ!悪い奴らをぶんなぐれ。」

すると

杖は飛び上がり、

息つくまもなく

宿屋の主人とおかみさんを

ビシバシと叩き始めました。

「わあ!痛い!いたい!」

「きゃあー痛いー!痛いよー!」

二人は逃げることも出来ずに

泣きながらハンスに言いました。

「悪かったよ、テーブルかけも羊も返すから、

頼むからもう止めてくれ。

あ痛い!いたたたた!」

ハンスはテーブルかけと羊を取り返し、

家に戻ると、

テーブルにテーブルかけをかけて、

今まで食べたことも無い

おいしい素晴らしい食事を

お母さんと一緒に食べ、

羊の出した金貨を山ほどお母さんに渡し、

言いました。

「さぁこれからはこの杖もあるから、

悪い奴らも怖くない。

北風からもらった三つの宝物で、

ずっと幸せに暮らせるよ、よかったね!」


これは何のお話?

『北風のくれたテーブルかけ』

ノルウェーのお話だとさ。

わらしべ長者や

金のガチョウ、ジャックと豆の木みたいだね

この物語

子どもの感性には到底叶わない

純粋さは時に狂気

みたいなものを感じるね。

物語には色々な触れてはいけない

禁忌みたいな部分があるけれど

例えば…桃太郎

そもそもなぜ桃流れてきた

桃の中に子ども⁉

犬猿キジと会話できる不思議

きび団子一つで命を懸けられる安易さ

この物語にもそれが多すぎる

北風を追っていった

いや。どこまで。

北風との会話

どうやって、どのようによ。

北風も素直すぎる

覚えもない小麦粉窃盗の容疑をかけられ

魔法のグッズで生活を豊かにする

活用しようとしたらスグ奪われる

あれ?これドコかで見たことあるぞ。

ドコか

ドコ…

ド…

ドラえもんだ!

不思議なポッケで叶えてくれる

青色タヌキ型

ホントは黄色いネコ型

胴短短足の石頭

地上から3mm浮いてる

未来の介護型ロボット

のび太の私利私欲が爆発すると

スグに痛い目見たり

ジャイアン/スネ夫に奪われたり

映画版では非常にカッコいいジャイアン見れたり

まるで北風の優しさ

生温さ、甘さ、過干渉感

ドラえもんのそれのよう

そもそも北風と話せる少年

そんなことへの疑問はひとまず置いといて

純粋に

母の手伝いで小麦を届けなきゃ

そこから派生した物語

少年の母を思う気持ちが強かったのだろう

母を楽にさせたいではなく

依頼された小麦を届けなきゃ

母に美味しいものを食べさせたい

母に見せてやりたい

そんな純粋な感情が

楽したい

金を儲けたい

欲求に勝ったということかな。

3段落ちではないけれど

悪い奴をぶん殴る姿を見たいという

少年がダークサイドに落ちかける場面は

まるでスパイダーマン

正義と悪の葛藤

マーベルのそれのよう

武士道にも通じるものがあるね

もう一度これを思い出した。

「さぁこれからはこの杖もあるから、

悪い奴らも怖くない。

北風からもらった三つの宝物で、

ずっと幸せに暮らせるよ、よかったね!」

少年は

本当に幸せと感じる心となっているのだろうか。

魔法のテーブルかけ

金を出す羊

そんな恵まれた物品を手に入れた少年

彼の考える幸せは

果たして

小麦粉を追っていた時と同じなんだろうか。


見えないものを見ようとして望遠鏡を覗き込んだ

静寂を切り裂いていくつも声が生まれたよ

明日が僕らを呼んだって返事もろくにしなかった

「今」という ほうき星、君と二人追いかけていた

オーイエー アハー♪


恵まれれば恵まれるほど

ヒトは模索し幸せを探求する

身近にあるものが幸せだと

気付きにくくなってしまう

そんなことになる前に

今ある幸せに気付けるように

なっておきたいな

そんな感覚を大事にしたいな

そう思う今日この頃...

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今夜読む本を選びながら

隠れてウンチをする娘

なんて器用なんでしょう。

大人になって、そんなことしようと思う?

まぁトイレで新聞読む人はいるかもしれないけど

ウンチしているのをごまかすかのように

本を選ぶ2歳児

どういう感情で何を考えてて

どういう認識なんだろう…

この感覚は忘れてしまうのかな。

サポートがなんなのかすら理解できていませんが、少しでも誰かのためになる記事を綴り続けられるよう、今後ともコツコツと頑張ります!