2つの楽しみ方で作品を楽しむ ーnendo x Suntory Museum of Art| information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美 @サントリー美術館
「日本美術って、知識がないと楽しみ方がわからない気がする…」
そんな思い込みを変えてくれる、ユニークな展覧会でした。
nendo x Suntory Museum of Art| information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美 @サントリー美術館
■右脳と左脳、どっちから楽しむ?
日本美術を中心に、国宝・重要文化財を含む約3000件をコレクションするサントリー美術館。このコレクションのうちの27点を、解説のない「inspiration」と情報量たっぷりの「information」の2つの通路から鑑賞していく展示です。
この2つのアプローチを提案するのは、佐藤オオキ氏率いるデザインオフィスnendo。どちらの通路から見ていっても、何周してもOK。さて、どちらから見ましょうか…?
■”視点”を変えて 作品の新しい魅力に気づく ー「inspiration」の通路
まずは、右脳的なアプローチの「inspiration」の通路から。
こちらの通路では、作品を通常と違う角度から見たり、一部にクローズアップしたり、模型で体験したり…
(朱漆塗瓶子(しゅうるしぬりへいし))
(藍色ちろり)
「これはなんだろう?」と、用途やバックグラウンドも分からない作品も、純粋にかたちや色、細部の加工の美しさなどから楽しんでいくことができます。
(薩摩切子 紅色被皿の模型)
「知識がないと楽しみ方がわからない」と思っていた日本美術も、こんな発想や着眼点で楽しんで見てもいいんだなぁと思えてきます。
■意味や歴史を知って”深く”楽しむ ー「information」の通路
一方、「information」の部屋は、歴史や作者、意匠、技法まで、たっぷりの文字情報とともに作品が紹介されています。
文字情報だけでなく、佐藤オオキさんによるシンプルなイラストでの解説も。
(”螺鈿”の説明イラスト)
「inspiration」の通路からは、「なんだろう?」と想像しながら見ていた作品の用途やバックグラウンドがわかると、違った面白さが見えてきます。
(薩摩切子 紅色被皿)
こちらでは通常のライティングで作品が展示されていますが、「inspiration」の通路を見た後だと、その細かい細工や造形の美しさなどがより細部までみえてくるように感じられます。
(御所車桜蒔絵堤重)
作品は1人ずつ見るようなスタイルなので、人が多いと肝心の作品がじっくり見られないのがちょっと残念ですが、夜間開館の時間帯は割とゆったり、マイペースで見ることができました。
(偏光板でできた傘をつかった、体験型の映像作品「uncovered skies」)
今まで、「知識がないと楽しみ方がわからない」と思っていた日本美術でしたが、こんな発想や着眼点で楽しんで見てもいいんだなぁと思える良い展示でした。
2019年6月2日(日)までです。
【展示概要】nendo × Suntory Museum of Art information or inspiration? 左脳と右脳でたのしむ日本の美
会期:2019年4月27日(土)~6月2日(日)
時間:10:00~18:00(金・土は10:00~20:00)
※4月28日(日)~5月2日(木・休)、5月5日(日・祝)は20時まで開館。
※5月25日(土)は六本木アートナイトのため24時まで開館。
※いずれも入館は閉館の30分前まで
休館日:会期中無休
入館料:一般 ¥1,300、大学・高校生 ¥1,000
鑑賞者が美術作品を前にしたときに、その作品の背景にある製作過程や作者の意図や想いなどを知ることで生まれる感動と、ただただ理由もなく心が揺さぶられる感動という、2種類の感動があると仮定して、前者を「information(左脳的感動)」、後者を「inspiration(右脳的感動)」と位置づけ、同一の作品に対して2つの異なる鑑賞の仕方を提案することを考えました。
このコンセプトのもと、サントリー美術館が所蔵する作品約3000件の中から27点を選定し、「information」と「inspiration」の2つの展示空間の狭間に作品を配置することで「1つの展覧会のようで2つの楽しみかたができる」構成となっています
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