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ほっとしないで下さい また現れます

先日行った単発派遣の施設に、何と、経管栄養の人が10人も居た。

昨今、経口摂取が出来なくなったら、もうそこまでだという考えを公言するドクターもいらっしゃるのだが、私は経管栄養になってからも豊かな人生をお過ごしの方を沢山知っている。
もしも同じセリフを言うのなら、それを言って許されるのはご本人かご家族様のみだと思う。

が、人員が限られた老人ホームで10人となるとこれはビックリだ。一人一人メニューが違っていて、内服薬も粉砕して溶かして注入。これはもう回るだけで一時間くらいはかかる。
更には、一人一人口腔ケアもしなければ経管の方々の口の中は大変なことになる。

他の処置もあるので、一日があっという間に終わった。
吸引と歯ブラシばかりして痰を取って回っていて、これはまるで療養型の病院だなと思った。他のことをする暇がないのだけどやらなければならない。

大事にされているなら良い。
でも、大事にするほど時間がないということが、皆さんの皮膚の状態を観ていて分かる。

そんなとき、『何で一人で喋ってんの?!』と鋭く大きな声で言われて『え?』となる。
何か処置をするときには『〇〇しますよー。』と声かけをするし、相手は人間なのだから、『今日はね、雪が降るんですって。ところで体調はどうですか?』等、色々と尋ねるものだ。例え相手が物言わぬ人であっても、言えないだけなのかも知れないから。

そこに『一人で喋ってる』と言われたので「え?」となったのだ。一人じゃないだろう。この人が居るじゃないか!と。

その言葉で普段どんなふうに看護されているのかが伺えて悲しかった。

経管栄養はイエスだ。

が、その状態にある人を人間としてみないで看護だの介護だの言っている人の神経はノーだ。

もちろんそうでないスタッフも居て、そういう人に限って『助かりました。また来てくださいね。』と言ってくれる。

それに便乗して先ほどのナースが『そうなのよ。皆辞めちゃうから人が少なくて困っているの。』と話しに入って来るのだが。
君のせいだよ。

口の中を綺麗にした人が『ああああ、あ・あり・が・とう・・。』と発声した。思わず頬を挟んで『いーえー!』とスリスリしてしまう。
また来るかも知れないよ。頑張ってね。私も頑張る。

一人じゃないよ。

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