【一首一句 その二十五】あり果てぬ命

【本日の一首】
ありはてぬ命待つ間のほどばかりうきことしげく思はずもがな(古今集、巻第十八、雑歌、965、平貞文)

(鑑賞)
この世にいつまでも生きていることができない、我が命の終わるのを待つ間くらいは、あれこれといやなことを考えずにいたいものよ(髙田祐彦訳註)。
平中物語にも出てくる、官職を免ぜられた際に読んだ歌。
えらい厭世的な感じの歌だなあという感じですね。
左遷の悔しさが伝わってきます。
ここであえて命と持ってきているのがポイントかなと。
ありはてぬということからも死んでしまえばいいということを強調しているように感じられます。
ましではなくもがなが使われている点にも注目ですね。
out, out, brief candle!

【本日の一句】
春光や果てど遺れる吾が命

春の光が輝いて、たとえ命が散ったとして生きた証は確かに遺される。
そんな一句ですが、兼題の歌を全く活かせない一句でした。おそまつ。

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