美意識「言わぬが花」

言わなくてもいいことを、考える前に話してしまう。決して本心でないということはない。けれど、どこかで自分らしくないことには気付いている。そしてそれを表現することで、何かしらの損を自分が被っている。だけどどうしてもやめられない…。

そんな経験はありますか。私はあります。

多分これは、元々しゃべるのが苦手な人間が、訓練して後天的にある程度まともにしゃべれるようになってきたときに起きる現象のように思います。ついつい、自分をよりよく相手に理解してほしいと思うあまり、墓穴を掘っているのです。

こういう私は、一言でいえば「ええかっこしい」です。

別にこれは、決して悪いことではありませんし、心がけとしては間違っていません。ただ、分かる人にはそういう人だなとすぐわかるし、この特性を抱えたまま何かの芸術を続けていると必ずぶち当たる問題だと思います。

私自身俳句をしていて、ずっと自分に何が足りないんだろうと自分の句を見ながら悩んでいました。今でも解決はしていませんが、恐らくこうやって言い過ぎてしまうことから、昔よりも上手く話せるからちゃんと説明しないと、と思っておしゃべりになってしまうことが原因だろうと仮に結論づけています。

言い過ぎてしまうと、美意識は薄まります。「言わぬが花」を実行しようとしなくても人の勝手ですが、自分のなんらかの壁だと感じるなら、直してもいいかもしれません。

仮にそれが出来るようになると、情報の取捨選択が出来るようになります。この人にはめんどくさいのでとりあえずこれを言えばいい、この人にこのことを話したらわかってくれそうだな、という駆け引きが出来るようになります。

これが出来れば間違いなく楽に生きられるようになります。真面目な人であればよりその真面目さが際立ち、飄々とした人ならより色気に華が加わります。

大事なのは美意識を持つことです。一つでいいから、これは分かる人にだけ言えばいい、という思想や秘密と基本的に当たり障りのない割と万能な話題を持つことです。それを持っておくだけで、自分が変わると思います。自分を無理するというわけではなく、自分の大好きなデザートを本当に大好きな人と一緒に食べる感覚です。

美意識を磨くとは、要らないものを削ぎ落としていくということです。どれもこれも大事だけれど、全てを100%でやると全て中途半端になります。決して取り組みとして全力を否定はしていません。あなたが何を大事にするかが、あなたの美意識の基本となります。あなたは何を大事にしますか?

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