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『Machine Gun Kelly・Tickets to My Downfall』アルバムレビュー【音楽】

動画はこちら


MGK

Tickets to my downfall

はいということで本日はMGKでtickets to my downfallをレビューさせていただければと思うのですが、

MGKといえば2012年に発表したLace Upの収録曲wild boyで一躍次のエミネムがきたとアメリカ中を熱狂させ、

それから毎年アルバムを発表しつつ

私生活でもエミネムとばちばちやったり

ここ最近は映画出演も果たすなど毎回度肝を抜かれる個人的に好きなラッパーの一人でした。

そんな彼の新作を聴いてみたら更に度肝を抜かれました。

今作はヒップホップアルバムではなく1990年後期から2000年代初期のsum41やblink182を想起させるポップパンクアルバムになっていました。

今作を一言で表すと

脱皮です。


ロックとラップやアコースティクとラップを融合してきたアーティストはbeasty boysya

Beckのようにいましたがラッパーから完全にポップパンクの転身を見たのは彼が初めてです。

勿論これから彼がまたラップに戻ることは明らかですが、それでもキャリアのリスクを顧みず一つのジャンルに囚われず自分の興味をどんどん広げ挑戦する彼の音楽から様々なインスピレーションを得ることができると思います。また曲数は15曲と多いのですが、1曲あたり2分の曲が多いため聞きやすいのも特徴です。

1曲目のtitle trackは彼がこれまで抱えてきたドラッグや友人に裏切られた経験を開示することでこのアルバムのテーマ一人で立ち上がる力を提示して、

これはラップアルバムではなくポップパンクの復活がくるぞということをリスナーに予感させます。

2曲目のkiss kiss で完全にこのアルバムはこれまでのMGKのアルバムとは違うぞと思わんばかりの完全にパンク要素を開示します。

“get me out of this house and get me out of my head,”

という歌詞のハウスというのはラップというジャンルを暗示していて

“there’s a lot that I wanna say.”

という歌詞でラップ意外の方ほで自分の感情を伝えたいという意思が伝わります。

3曲目の drunk faceのキレっキレっのダウンピッキングのエレキギターの音がサム41のセカンドアルバムを想起させ

I'm still young, wasting my youth I'll grow up next summer I'm back on that girl I quit I should've lost her number

という歌詞は彼の懐かしい記憶をとてもポジティブでどこかノスタルジックな音に載せて耳に届けます。

5曲目 forget me tooではHalseyのフィーチャリングなのですが、このアルバムで一番ポップパンクを感じられる曲で二人が交互に歌詞を重ね合わせることでどんどん光輝いています。

若き日のデリックとアブリルをこの曲でどこか重ね合わせてしまいました

6曲目all i know7曲目lonelyでは彼の幼少期の苦しみや孤独、彼自身ではどうしようもできなかった環境を彼のリレーションシップに重ね合わせて歌うことで、

彼が抱えてきた悩みや葛藤を過去の自分に重ね合わせて聞くことができます。

何度も歌われる 

All I know is I don't know nothin' at all
Lonely, lonely, even when the room is full

という歌詞は切なく一人で寂しい時に聞きたくなる曲です。

8曲目WW3はMXPXを想起させるようなヘビーなドラムとギター1分と短いのですが、

6、7曲目とは対照的に反骨心溢れる曲になっています。

9曲目

concert for aliens

この曲はこのアルバムタイトルのtickets to my downfallに対する答えだと思います。

I'm upside down, I'm upside down, I'm upside down My life is a roller coaster, roller coaste

という歌詞は彼の波乱の人生を示していて、

それでも人生というローラーコースターから降ろしてと言いつつも

人生を楽しんでいる彼を感じることができると思います。

10曲目my ex’s best friend11曲目jawbreakerは

何も考えずにメロディーだけで楽しめる曲で、

LAやマイアミの太陽gは照りつけるビーチで海風にあたりながら

爽やかな気分を音だけで体感できると思います。

最後の曲 play this when i’m goneはこのアルバム唯一のアコギの曲になっていて

I'm twenty-nine, my anxiety's eating me alive I'm fightin' with myself and my sobriety every night And last time I couldn't barely open up my eyes, I apologize
I'm twenty-nine, and society's eating me alive I'm fighting what comes with this notoriety every night This is the last time I'll ever open up my eyes, I apologize

という歌詞は彼の抱えている苦しみを吐き出していて

これまでパンクが強がりだったと思うほど

寂しさに溢れた曲になっていて

アコースティックなのにこのアルバムで一番壮大で

彼の孤独や苦しみを代弁することで

これからこれを力に変えていくのか、

それとも自殺してしまうのではないか

どちらにも取れる不思議な曲でした。

この曲はただのポップパンクアルバムではなく

彼の葛藤や苦しみ

挑戦に対するリスクを乗り越えて

彼の生い立ちに大きく影響を与えたポップパンクに対する恩返しとともに

彼の新たな音楽に対する挑戦と

アイデンティティーを探る新たな旅の出発点だと思いました。

これまでのヒップホップアルバムとは全く違う視点で彼の音楽を聞くことができると思います。

特に現在20代中盤から後半の方は中学生の頃に戻ったかのように

青春時代を思い出せるアルバムなので是非是非聴いてみてください。

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