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『フィオナアップル・Fetch the Bolt Cutters』アルバムレビュー【音楽】

全世界で千万枚以上CDを売り上げ

グラミー賞等々数あるタイトルを総ナメしてきた90年代の不可解な伝説こと

fiona appleの8年ぶりの今作をどんどんレビューしていければと思います

第一印象

やべえ

ぶっ飛びました。

ちょっとした気持ちで聞いていたんですけど、

凄すぎてオペラにいるような感覚に引き込まれました

楽器の取り入れ方

曲の構成

全てに置いて一級品です

今作もホームレコーディングにて

その楽器隊含め全員が行き来好きなように

音楽を鳴らしている感じも

スタジオで制作されたクリーンな音楽を

ここ最近聞いていた私にはめちゃくちゃ刺激的で

良い方向に作用していると感じました。

I wanto you to love me


のイントロの

ピアノジャズイントロはとても美しく

それでいてどこかシェイクスピアの小説のように不気味に力強いです。

彼女のこれまでのアルバムを通しても

このアルバムも共通して彼女の生い立ちの怒りや

女性としてこの世界に生きる中での怒りを力強く歌っています。

ただ後ろでなっている音楽が素晴らしすぎて

その怒りさえも聞いているリスナーはスッと受け入れられます。

shameika


一曲目の

i want you to love meに続くような形でこれもまた素晴らしく

力強く不気味なバックグラウンドで始まり

ゴージャスでとても繊細なピアノが曲を彩るにも関わらず

良い意味で全体的に雑なバックグラウンドが曲を地に落ち着かせ

彼女の学生時代を思い起こさせます

いじめらレテいた彼女に

友達でもないshameikaがこう言うんですよ

あなたにはポテンシャルがあるって

井端から見れば笑える話に聞こえますけど

感受性豊かな頃の記憶の破片が未だに彼女の

脳裏に焼きついてるのがこの曲を聴くとわかります


fetch the bolt cutters


Fiona apple のこれまでない怒りがなぜかとても落ち着きのある口調で語り継がれます。

曲の雰囲気はトムウェイツやジャームッシュのパーマネントバケーションに近い

とても暗くでも真っ暗闇ではないか躁鬱とした感覚がウッドベースの響きを伝って聞こえてきます

彼女の飼っている犬の泣き声も聞こえてきたり

ホームレコーディング感も満載なのにホームレコーディングに聞こえないのは不思議です


under the table


Kick me under the table all you want

I wont shut up I wont shut up

これは彼女が高級ディナーに誘われて男性に攻撃的だと言われた日のことを思い出して書いた曲で

蹴りたければければ良いじゃない

口はつぐまないから

と言う彼女のカウンター精神がここでもはっきされていますね

前曲のfetch the bolt cuttersにて

学校でいけてる奴らが私を仲間外れにするために投票を行った

彼らのやったことは恥を知るべきだ

私の楽しみを奪ったと歌っているように

一貫して彼女の人生は何かに反抗している

反抗していかなければ生き残っていけなかったことがここでもわかります。


Ladies


これまでとうって変わって

ボーカル・楽器共にかなりスローテンポに構成されていて

このアルバムにて一貫していることではあるのですが

女性の強さであったり

男性に捨てられることに対しての反抗心であったりと

この曲で前面に押し出されていて

事細かに状況が述べられるわけではないのですが

それが抽象的に歌詞として述べられることで

女性は多く共感できるのではないのでしょうか

どこかセラピーを受けているような気にもなる曲です

それはどこか10曲目の

cosmonauts


にも共通して言えることで

力強い彼女の声は

どこか戦争の最高指揮官に指揮を撮っているようなイメージがとても湧き

そう言う意味ではどこか彼女自身女性と言うアイデンティティーを強く感じていて

女性代表として声をあげられない苦しんでいる女性の代弁者として

レコードを通じて女性の声を届けているように感じます


最後の曲

for her


この曲はこのアルバムの中で一番短いにも関わらず

3部構成になっていて

それが3つの声を使って構成されています。

彼女の痛々しい過去が彼女の恐れのない声で声高々に述べられるのですが、

聞いていて痛々しいことが歌われているのにも関わらず

克服された恐怖を歌うことで完全に恐怖を強さに昇華している印象を覚えました。


全体的にみて

聞いていてこんなに神々しい音楽は久しぶりでした。

聞いているだけで不思議で光が降り注ぐトンネルの中でさまよう気分になりながらも

とても力強く彼女のアイデンティティー

女性としての力強さを感じる音楽だなと思いました。

最初はジャケットがあんまり好きではなかったので聞かないでおこうかと思いましたが

聞いていない人は絶対的に騙されたと思って聞いてみても損はしません!

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