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「なりたいデザイナー」の背中を追いかけた3カ月間。PTD受講生×メンター 対談インタビューvol.5

こんにちは、PLAY THE DESIGNERの長島です。PLAY THE DESIGNER(以下、PTD)の受講生の皆さんのリアルな声をお届けする“受講生×担当メンター 対談インタビュー”(これまでの記事はこちらからどうぞ)。今回は、独りデザイナーとしての悩みを抱えていた受講生・山田さんと、担当メンター・岡部ちゆきさんとの対談をお届けします!

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※メンター・岡部ちゆきさんの個別インタビューはこちら

■「UIデザイン」に出会い人生が一変!

ーーよろしくお願いします!はじめに、山田さんのこれまでの経歴について教えてください!

山田:大学で広告などのグラフィックデザインを中心に学んできましたが、4年間ずっと「クライアントが満足する広告=消費者にとって本当に良い広告なのか?」と疑問を感じていたんです。そうしたら、卒業直前になって「自分が本当にやりたいデザイン」に出会ったんです!

ーー人生が変わるような出会いですね!どんな出会いだったのでしょう。

山田:Goodpatchさんの会社説明会で初めて「UIデザイン」に出会い、すぐに「私はこれをやるしかない!」と感じました。進路を変え、半年ほど就職せずに独学で勉強して就職し、現在はBtoBSaaSの事業会社でファーストUIデザイナーとして働いています。

ーーそもそも、当時感じていた広告に対する違和感の正体は何だったのでしょう?

山田:大学時代に先生から受けたグラフィックの仕事が二つあって、一つが警視庁のポスター、もう一つが区役所のポスター。どちらもコンペだったのですが、前者は勝って、後者は負けてしまったんです。

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山田さんの大学時代の制作物

前者はヒアリングも打合せもなく、言われた課題を提出するものだったので、ひたすら自分で調べ、自主的にフィールドワークをやって資料をまとめたんです。その時の課題は、特殊詐欺(オレオレ詐欺)の警鐘ポスター。道行くおばあさんに声をかけて事情を話して色々教えてもらったのですが、想定外の回答が出て来たり、つけ込まれがちな弱みの裏にある驚くような本音を知れたりして、本当にやってよかったなと。一方後者では、区民の考えとは異なることに気付きながらクライアントの意見をそのまま形にしたら、案の定コンペで落ちてしまって。そこであらためて「きちんと対象になる人に響くものを作りたい」という想いが強くなりました。

ーーグッドパッチさんの説明会で刺さったのは、どういった部分でしたか?

山田:「体験を考える」という発想自体が当時の自分にとって新しいものでしたが、その体験に行き着くまでの製品とユーザーとを繋ぐ「UIデザイン」について聞いた時に、自分が出来るデザインの範囲でも、やりたいことに繋げられると気づいたんです。本当にやりたいのはUXデザインだけど、デザインのスキルも活かして、その架け橋であるUIデザイナーになりたいと強く思うようになりました。

■受講の決め手は、本音を交わせた親身なカウンセリング

ーー独学はどのように行っていましたか?

山田:まずは色々な勉強会に参加して、「どういうインプットをするのが良いのか」をインプットしていきました。自分一人でも出来そうだと分かった後は、UX MILKやグッドパッチブログを読んだり、Twitterで著名な方をフォローしたり、100 Days UI Challengeをしたり。他のスクールに通ってみたりもしましたね。

ーーそのスクールでの体験はいかがでしたか?そこから何故、あらためてPTDを受講して下さったのでしょう?

山田:払ったお金と質との見合いが…(苦笑)。グラフィックの素養があったので、ツールの使い方から始まる全員一律のカリキュラムは無駄だと感じ、途中からは自分でやろうと切り替えました。

PTDがいいなと思ったのは、業界の牽引や後輩の育成など、デザイナーを育てる活動をしているツモマーさんのサービスだから。カウンセリングでも身を寄せて話を聞いてくださって、お金をとるためではなく、自分がどうなりたいかを一緒に考えてくれているのを感じました。ちょうどデザイナーを辞めようかと悩んでいたタイミングだったので、デザイナーの光と闇の話まで踏み込んで出来たのも良かったですね。

ーーそれは実際、どんな話をされたんですか(笑)?

山田:肩書としてはUIデザイナーだけど、仕様作りもディレクションもテストもする今の環境はどうなのか、という話とか。同じような働き方をしているデザイナーがいるのかさえ知らなかったんです。ディレクションをやってきたことの強みや、その場合に描けるキャリアビジョン、他に行きたいなら何をやったほうがいいのかなど、かなり色々お話できました。

■スキルの獲得だけでなく、デザイナーとしての自分を客観視できるように

ーー初回の授業はどうでしたか?

山田:当時仕事でバタバタしていて、開始をかなり遅らせてもらったんです…。申し訳ない気持ちで課題を提出したら、「全然大丈夫です!辛いですよね」と声をかけてくださって。実は最初少し警戒していたんですが、その時点で警戒が解けました(笑)。

ーーよかったです(笑)。その後はどのように課題に取り組んでいきましたか?

山田:活字を読むのが遅いので、岡部さんのおすすめ書籍を全部読むことは出来ないため、「今何を知っていればいいのか」を洗い出し、厳選するようにしていました。活かせる部分をピックアップして、自分の中にある知識と組み合わせていく感じ。作業時間よりも復習の方が多いぐらいでしたね。

特に印象に残ったという2冊
『アジャイル・ユーザビリティ』と『Form Design Patterns』

岡部:山田さんは一人デザイナーとしてやっていることもあり、あまり自分の中でモデル化できていなかった部分があると思います。でも、レビューを通して様々な話をする中で、それらをとても丁寧に理解し、自分で調べてどんどんステップアップしてくれる。自己学習力が非常に高いので、メンターというよりも一緒にやっていく感じで取り組んでいました。

ーー授業の中で、特に学びになったと感じたのはどのような部分でしたか?

山田:「実際こうはいかない」「エンジニアにはこう伝えるのがいい」など、デザイナーの実際の現場でのやり方を知れたこと。今後チームで働くようになった時にデザインルールはどう構築するのがいいのか、イレギュラーの時はどう定義するのがいいのか、テキストではなく話した方がいい部分はどこかなど、「勉強」では知ることの出来ないことを吸収できたのが大きかったですね。

岡部:私自身一人デザイナーからフリーランスまで経験してきたことで、それぞれ正解が異なる中でも各組織に共通する上位概念や、伝え方の要点などが自分の中にある程度型として出来つつありました。授業では、それをそのまま山田さんにお伝えしていましたね。山田さんはそれらを丁寧に観察し、反芻し、どう活かすかを考えてくれるので、伝えたことが自分にも返ってくる感覚がありました。

ーーデザインチームなどとの将来的な連携のイメージは、話を聞いてどのように解釈・咀嚼をしていましたか?

山田:「イマジナリー後継者」というものを作り、「自分が引継ぎされる立場だった時に、何があったら助かるか」「どういうものを作っておけば、皆が触れられるか」を考えるようにしていました。

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ーー素敵な考え方!そうしてチームで働くことをイメージしてみたり、実際に手を動かしてみて、何か変化はありましたか?

山田「一人でやっていたら気づけないこともある」と気づきました。今の職場ではデザイナーが私一人しかいないので、デザインのレビューもお客さん目線ではなく社内目線の「感想」になりがち。デザインに関して実質的に自分がトップになってしまっている今の状況は、すごくぬるま湯なんじゃないかと思うようになりました。チームから刺激を貰いながらデザインをやりたい想いが強くなりましたね。

岡部:山田さんは色々な人に教えてもらったり聞いたりすることを繰り返していくと、今以上に伸びるはず。既にチームがあって、ある程度稼げている会社のグロースフェーズなんかも合うんじゃないかな。一人でも大丈夫であれば、大きな会社のIT事業の立ち上げとかもいいかもしれません!

ーーPTDで学んだことが、実施の仕事で活きた場面はありましたか?

山田:ありました!先日、会社でプランナーが時間がなく、他の方が仕様書を作ることになって大変そうにしていた時のこと。そのフォローに入ったら、PTDの授業で要件定義をやっていたので「あ、授業でやったやつだ!」と、するする作れたんです!フォローだけでなく自分でやるようにもなり、エンジニアさんにも「わかりやすい仕様書だね」と褒められました。きっかけがあるだけで8時間でここまで伸びるんだったら、私も他の環境でもやれるのかもしれない、という勇気をもらいましたね。

実は、PTDのカウンセリングを受けた時デザイナーを辞めようと思っていたんです。自分がダメだからあんなに職場で怒られるんだとずっと思っていて…。でも授業で「初心者にしては出来ていること」と「出来てはいるけど、もっと良くできること」とを明確にわけてアドバイスをしてくれたので、それらを自分の中で整理して、デザイナーとしての自分を客観視出来るようになりました!

岡部:自分にも経験があるため、一人デザイナーの生徒さんを担当することが多いのですが、一人デザイナーにはデザイナーからフィードバックをもらえる機会がないんです。凄く良いものを持っていても、それがデザイナーにしか分からないことの場合、褒めてもらえずにきつめなフィードバックばかりに触れることになってしまう。だから私は、生徒さん一人ひとりの良いところを見て、それらを一番最初に伝えるようにしています!

■サービスを届けるために必要な、二つの視点を身に着けた最終課題

ーー最終課題ではどのようなものを作りましたか?

山田:好きな通勤服の着回しコーディネートを届けてくれるサブスクサービスを考えて作りました!要件定義から全て一人でやったことはなかったので、苦労しました…。捉えやすいサービスにしたつもりでしたが、ペルソナを作っていったらそうでもなく、データを調べたりビジネスモデルと行き来したりしながら作っていきました。

ーー最も苦労したのはどの部分でしたか?

山田:経営者としての自分と、デザイナーとしての自分が闘い始めたことですね(笑)。デザイナーの自分が「安く提供できれば売上はあがるけれど、それは本当にユーザーが期待している体験なのか」と主張しはじめると、ビジネス側の自分は「どうせビジネスするなら儲けた方がよくない?」と言い始めたり。最終的には、「売上が良くても体験が良くなかったら、そのビジネスは廃れる」というデザイナーとしての自分の一言に、ビジネス側の自分が納得して落ち着きました(笑)。

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デザイナー視点とビジネス視点、二つの視点でぶつかることも。
双方の視点を整理しながら着地させた最終課題

ーー面白い視点ですね!その二つの視点は昔から持っていたのですか?

山田:今まではこういうことはなかったんです。結局今も売上のことは念頭にはあるけど、デザイナーとして働いているからどうやっても経営の部分は意識しきれていなかったんだと思います。今回初めて自分でサービスを企画して、ビジネスモデルを考えたことで得られた視点でした!

■「なりたい人」の背中を見つけた3カ月間

ーー3ケ月間の講座が終了しましたが、如何でしたか?

山田:社会人1年目の時に「追いかけたい背中があること」の大切さを実感したんです。デザイナーで著名な人はたくさんいるけど、皆遠すぎて憧れみたいなもの。岡部さんは「見えない背中」ではなく、目を細めればぎりぎり見えるぐらいの近さから「こっちだよ!」と呼んでくれている存在。「なりたい人」に出会えたことが、一番大きいかもしれません。授業中はスキルの習得や生の情報に価値を感じていましたが、今となってはビジョンを手に入れられたことに価値を感じています!

正直最初は「受講料15万円か、高いな…」と思っていました。でも実際に受けてみたら15万では全然足りない。受け身の人には絶対にハマらないけど、私のように多くの学びを得られる人は必ずいると思います。苦境も味わってきたデザイナーがリアルな話をしてくれて、サービス提供者と顧客という枠を超えてデザイナー同士としての会話が出来るので、PTDおすすめです!

ーーありがとうございます!山田さん自身は将来、どんなデザイナーを目指していますか?

山田:「推し」を作りたいと思っています。「この人がいるから頑張れる」そんな、誰かにとって「推し」になるものをアプリで作ることで、皆が幸せな人生を送れるのが理想です。例えば医療と違って動画配信サービスは社会貢献性は低いかもしれません。でも、個人の人生にフォーカスすると、動画サービスが無いと生きていけない人もいる。今は社会全体ではなく個人にフォーカスし、その人生に貢献できることがとても大切。そういう個人に最適化できるようなアプリが作れたらいいなと思っています!

岡部:山田さんは、とにかくキャッチアップする力がとても強い。自分でアレンジまで出来てしまうので、そこを活かしてどんどん進んでいってほしいですね。是非今度はいちデザイナーとして、一緒にお仕事が出来たら嬉しいです。お疲れ様でした!


Interview&Text:Shiho Nagashima

※2021/3/1追記: 新規受付は停止いたしました。

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