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【量産までの長い道のり】一年間の開発資産が無駄に?!部品もない、時間もない、資金もない

こんにちは!やるべきことに押しつぶされそうなインターン生、かほです✐

今回は、PLEN Cubeの量産までにあった長い道のりについて赤裸々にお話しします。
プロダクトの発送が遅延したり、ある部品がPLEN Cubeに装備できなかったりなど、ぜひ最後までご覧ください!それでは、スタート🚩



〇始めに

弊社は2017年にKichstarterMakuakeでPLEN Cubeのクラウドファンディングキャンペーンを開始しました。

そして2021年に、クラウドファンディングで連絡の取れる方々にPLEN Cubeの発送を終えることが出来ました。

PLEN Cube

今回は、弊社の代表取締役赤澤に直接インタビューしました🎤
プロジェクトが長期化してしまった背景に迫ります!

代表取締役 赤澤



〇質問

・なぜ量産まで時間を要したのですか?

まず、開発に関する遅延からお話しします。我々は2016年からPLEN Cubeの開発をスタートしていました。当初は、メインのコンピューターにintel社が提供するJoule(写真1)というシングルボードコンピューター(必要な部品がすべてそろった手のひらサイズのコンピューターの基幹部品)を選定し、それをもとに開発を行っておりました。しかし、2017年の6月に突然サポートと今後の生産の終了が発表されました。
そこで、我々はそれまで約一年間の開発期間を捨て、一から開発をやり直す必要に迫られました。その後新たにNXPのCPUモジュール(コンピューターの中で、情報処理を行う装置)を採用に至りました。ところが、私たちが目指していた最も重要な要素である、可能な限り小型で持ち運びのできるというコンセプトを実現するため、小型のIOT製品に利用されるコンパクトなモジュールが必要であるという観点から選択したこちらのコンピューターは、性能は必要充分であったものの大量の処理を行うための発熱の問題が大きく立ちはだかりました。このため、我々はソフトウェアのパッケージをコンパクトにし、耐熱のためのアルミ板やファンの取り付け位置など試行錯誤に多くの時間を費やしました。それにより、開発費も当初の予定から大幅に増大し、経営陣は開発と同時に資金を調達するための資金調達活動へも時間を割かなければならないという状況になりました。

Joule(写真1)


・2019年にまもなく量産が出来るといったアナウンスがありました。そこからさらに二年間量産が出来なかった理由を教えてください!

2018年より私たちは日本国内の量産工場と生産の約束を取り付け、量産開発を行っていました。実際に、2019年10月には工場で少量生産したPLEN Cubeを一部の支援者の方に発送しています。しかしながら、いざ本格生産に入る段階で同工場の部品調達の見通しが不透明になり、量産に関する議論が長引いてしまうという事態に陥ってしまったため、この時点で私たちは中国の深圳にあるDMSと契約し、生産工場の変更を決意しました。同工場は我々の要求に対して非常にスピーディーに対応いただき、2020年5月には量産が完了する予定でした。しかし、2020年1月から中国国内の新型コロナウイルスの流行により、同工場は操業停止に追い込まれてました。その後、同工場の機能は2020年5月に本格的に再開しましたので、それに合わせてPLEN Cubeの量産も再開され、2020年11月に第一便が日本に到着しました。このような経緯から、2019年のアナウンスから2年の時間を要しました。


・その後2020年11月に量産品がオフィスに届いた後も、苦難が続いたそうですね。

はい、弊社に届いた量産品はLCD(日本語では液晶ディスプレイ)のないモデルでした。このモデルを先行して量産した理由は、LCD部品の調達が非常に困難になったことによります。当初の予定では、部品の入手を待つよりはほとんどの量産を完了させ、順次入手したLCD部品を社内で実装し、支援者の皆様にお送りする計画を立てておりました。ただ、当時LCDを含めたほとんどの電子部品が世界的に不足しているという状況に陥っていました。しかも、その状況が改善される目処も立っていませんでした。このような理由から、支援者の皆様にはLCDのないPLEN Cubeをお届けしました。

・開発当初にイメージしていたものと実際に出来上がったものの違いはどのような点ですか?また、その違いが発生した理由は何ですか?

当初私たちがイメージしていたPLEN Cubeの機能は、その時のチームの持つ技術で達成できると考えておりましたし、モーショントラッキングなど難易度の非常に高い技術目標もありましたが、世の中に存在しない技術ではなかったので工夫とアイデアで達成できる目標であると考えて製品イメージを作りました。しかしながら、スペック的にはそれらの目標を達成できる構成であったとしても、処理スピードの不足や熱対策などの問題で当初のイメージしていたすべての機能を実現することが出来ませんでした。大きな理由はやはり、持ち運びができるコンパクトさという私たちが思う一番のコンセプトの実現を優先した結果、すべての機能をそのコンパクトなロボットに詰め込み切れなかったというところになります。



〇最後に

今回は、PLEN Cubeの量産までの道のりということで、我々が乗り越えなければならなかった困難についてお話ししました。かわいらしい見た目のPLEN Cubeからは想像もできないですね。個人的には、パソコンやテレビにもついている液晶ディスプレイがこんなにも足りていないということに驚きでした。

弊社PLEN Roboticsのnoteは毎週金曜日に公開中!
また見に来てくださいネ。それではbye~♪