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44.「SPARKS(スパークス)」を聴いていなかった自分を恥じたい!名盤『LIL’BEETHOVEN』と『KIMONO MY HOUSE』

ある程度音楽通を自認していながら、SPARSK(スパークス)を知ったというか改めて認識したのはレオス・アネックス監督の映画『アネット』の音楽と原案を担当しているという関係からだった。その後、あの『ベイビー・ドライバー』のエドガー・ライト監督が自身初のドキュメンタリー映画として『スパークス・ブラザーズ』を監督しているのを知り、それも見てみたのだが、「こんなバンドがアメリカにいたのか!」という衝撃を受けた。そういえば確かに初期の代表作であると言える『KIMONO MY HOUSE』の衝撃的なジャケ写は確かにかつて見た記憶がある。あのダウンタウン+坂本龍一の「芸者ガールズ」の元ネタなのだが、それでイロモノ?というイメージがあったのだろう、手を出すことがこれまでなかったバンドだった。

それが、先の映画2本の衝撃である。これは聞かなくちゃと、近年の作品で一番評価の高い『LIL’BEETHOVEN』を早速購入し聞いてみた。感想はと言うと、「これはまいった!こんな音楽がアメリカのしかもポップミュージックとされるジャンルにあったのか」というのと同時に「これが音楽だ!」という感慨の一言に尽きる!ここでは「BEETHOVEN」を出してきているが、明らかに「BEETHOVEN」と響きと文字づらも似ている「BEETLES」も意識しているであろう。そう、ビートルズも変化の激しいバンドだったし、そして音楽というジャンル、特にロックミュージックと呼ばれるジャンル自体を常に問い続けてきたバンドでもある。そしてこのスパークスもそうである。ただ、両者の違いはその活動期間の長さの違いであろう。ビートルズはまさに短期間で時代を駆け抜けた。それに対してスパークスは長い時間をかけて変化し続けているのである。それはそれで驚くべきことであり、賞賛に値することである。ビートルズの変化が青年時代におこる速い速度の変化だとすると、スパークスはその変化を青年時代を超えても続けているのである。

と、ここで『LIL’BEETHOVEN』を聴いたうえで改めて初期の代表作でもある『KIMONO MY HOUSE』も聞いてみた。

まあ、これも「やられた!」の一言である。というかむしろこの頃のほうがいわゆるロック色が強く出ていてカッコいい!いわゆるグラムロックなのだが、ジャケ写が明らかにしているようにここにはパロディ性を借りた批評性がある。ジギースターダスト=ディビット・ボーイとはまた違う方向性である(またジギーの衣装を山本寛斎が作っていたことを考えるとここで着物を着ていることは非常に興味深い)。通常そのような「批評性」は基本的にヨーロッパ側からアメリカ側に常に来ていたのだが、スパークスは英国で売れたバンドではあるが、エドガーライトの映画でも強調されていたように出身はあくまでアメリカである。この特異性というかある意味訳の分からなさがこのバンド=兄弟の魅力なのだろう。フロントマンとしての弟がいわゆるハンサムのいい男なのに対して兄が変人に徹しているのもまたいい!

とにかく、このスパークス、活動歴に合わせて多作なのでまだまだ堀りがいのあるバンドであることは間違いないです!この2枚以外に皆様のお薦めのアルバムがあれば是非教えてください!


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