新小学1年生の成長
先日のワンコベに、小学1年生が4名参加してくれました。
彼らはみな、昨年の12月、もしくは1月から参加してくれています。
深く集中できるのは、1分か2分。
12月の体験授業では「集中」できる時間帯は本当にごくわずかだったので、夢中に問題を解いていられる時間(1分もしくは2分)を、何回作れるかという工夫をしていました。
1回しか集中できない生徒もいましたし、2度、3度と集中できる生徒もいました。でもこれは、普通のことです。
おそらく「〇〇しなさい」と具体的な指示をすれば、それに従ってくれると思います。(そういう環境では、静かに10分・20分と机に向かえるのではないでしょうか)
また、大きな声を出して指示を出せば、静かに机に向かってくれると思います。
でもそれは本当に「今すべきこと」なのでしょうか?
具体的な指示を出すこと、「大人の言うことを聞く子」に育てることって、本当に正しいですか?
具体的な指示を出し続けると「ただ指示を待っている子」になります。
指示されたとおりにやれば褒められるのですから。だったら「自分で考える」ことは避けるでしょう、判断ミスをする可能性がありますから。ということは「指示されることを待つことが正解だ」と判断するのは当然のことでしょう。
これは大人の側が「言った通りにする子=いい子」という評価から脱して、「自分で考えたり、気づいたりすること」を評価するように変われば、避けることができます。
黙って机に向かっているからといって、集中しているとは限りません。
「指示を待っている子」になってしまうと、「集中力の深さ」を身につけることが難しくなります。
周りの音が聞こえないくらい深く集中しなくとも、「だまって机に向かう」だけで褒められるのですから、これも先ほどと同様に、黙って机に向かっておけばいいと判断するでしょう。
これは大人の側が、集中力の深さをの識別する(机に向かっているのと、しっかり集中していることの違いが分かる)ことで、避けることができます。そして、しっかり「深く」集中できたときに、それをその場で評価してあげればいいのです。
ワンコベでは、「具体的な指示」を出さずに、「気づくきっかけ」を作ります。
ですから、ワンコベでは、「静かにしなさい」「言われたとおりにしなさい」といった具体的な指示はしないで、子どもたちが気づけるきっかけをいくつも作るようにしています。
そして良い点だけでなく、具体的な問題点も親御さんと共有しながら、それを1つずつ改善するきっかけをいくつも作り、日々の成長・お子さんの様子をじっくり見る、これが小学1年生に対するスタンスです。
(「きっかけをつくる」「お子さんの成長をじっくり見守る」というスタンスに共感していただいた方に参加していただいています)
小学1年生が変化するスピードは、驚異的です!
そして4月、春休み中のワンコベはお休みだったので、かなり久しぶりの授業となりました。
すると、この1か月弱で「変化」が見られたのです。
1分程度しか続かなかった集中が3~5分続くようになり、それがほとんどの生徒は2回、3回と集中できるようになっている!
これほどはっきりとした変化は、小学4年生以上ではなかなか見られません。「自分のパターン」というのが、良かれ悪しかれ決まっているからです。
(小学部であっても、4~5人に1人くらいは「すぐに変化する」生徒もいます。)
これが中学生になると、さらに頑なに「自分のパターン」に固執する生徒が多くなるので、変化しにくくなります。(そのため「定期テストの結果」「内申点」「高校入試」など、具体的な目標をモチベーションとする場合が多くなります)
新小学1年生の今回の変化は、小学校のおかげです。
新しい環境、新しいクラスメイト、新しい先生、こうした様々な要素が彼らに良い変化をもたらしたのだと思います。
たくさんのクラスメイトの行動・言動を見たり聴いたりして、それに「感化」されて、自然と良い変化を生み出される」。
理想的な変化の1つです。
周りの人たちの影響で、子どもは変わる!
ずっと親・家族と一緒に家にいたのが、幼稚園・保育園、そして小学校に通うようになる。
つまり、「自分(と親)だけ」の世界を旅立ち、「社会(自分と周りの子どもたち、そして大人たち)」へと向かう、その過程で大きなハードルになるのが「10歳の壁(9歳の壁)」です。
「社会」、つまり「周りの目」と関わり始めた当初は、どうしてもハレーションを起こします。
それは一種の通過儀礼のようなものでしょう。
そして、その環境に慣れ、「周りの目」を意識するようになり、次第に「周りから自分がどうみられているか」を気にするようになる。
そして、自分の行動・発言・雰囲気が少しずつ変わる。
これが子供たちの成長です。
そしてその変化は、自分だけ(自分の家族だけ)では、なかなかうまく成長できません。なぜなら、身内の「こういうときには、こうしなさい」という具体的な指示に従うことに偏ってしまうからです。
これでは「言われたことをしっかりやれるいい子」から脱出することはできません。
そうではなく、実際に目の前の状況に向き合う。そして「どうしようかな?」と考える。
その機会をたくさん作ることが、小学生にとって最も大切なことだと思います。