【バックギャモン】ゲーム展開のフロー化(1)

バックギャモンの1ゲームは非常にバラエティに富んでいます。どのような展開になるかは出目次第、読みを超越した展開も数多く現れます。初心者~初級者の間は展開の速さ、流れを見極めるのが大変です。それを多少なりともわかりやすくできないかと考え、様々なゲーム展開の中でもありがちなものをフローチャートにしてみることにしました。どういった展開とゲームプランで進むのかを図にしてみようと思います。

前提 バックギャモンの「5戦法」

バックギャモンがほかのゲームと大きく異なるのは、5つあると言われているバックギャモンの戦法をすべて把握していなければいけないところです。逆に言えば、5つしかありません。さらにそれぞれがどういうものかを把握するくらいならそれほど難しくはありません。フローチャート化するにしてもできたものを見るにしても、5戦法をわかっていなければいけませんのでここで振り返ることにします。

(1)ランニングゲーム

バックギャモンは、すべてのゲームで「ランニングゲーム」になります。15枚の駒を先に上がった方が勝ちなので、最後は「ランニングゲーム」に収束するからです。

図は白番で、すでにコンタクト(すれ違い)はありません。この時重要なのは「ピップ」で、白は振り番で黒より11ピップも少ないです。「ピップ」とは現在の駒のポイント数の総和で、言い換えるとすべてをゴールするまでに必要な出目の合計値の最低値ということになります。当然少ない方がゴールに近いと言えます。したがって基本的にランニングゲームではピップの少ないほうが有利と言えます(ただし上がり始めてしまっているような状態では、上り枚数(残り枚数)も重要な要素になるので必ずしもピップだけで測ることができなくなるという点に注意が必要)。

(2)プライム

駒が2枚以上重なっている場合はヒットされることがありません。このような状態を「ポイント」と呼んでいますが、ポイントがつながっている形を「プライム」と呼びます。

図の白は6つつながっている形で、黒を1枚閉じ込めています。6つつながっている「フルプライム」は相手が何をしても逃げることができません。5つつながっている形は「セミプライム」と呼ばれ、これも強い形とされています。プライムは相手を閉じ込める基本で、相手を逃がさないようにしている間に自分が良い形を作っていく、またはブリッツ(次項)へ移行する、という展開で勝ちに近づいていきます。

(3)ブリッツ・アタッキングゲーム

まずは図を見てみましょう。

黒52→白55→黒ダンス、でこの形です。この形は白が自陣インナーを順番関係なく次々に埋めて黒を外に出さないようにする戦い方です。決まると強いですが1手のゾロ目を振られる場合や、出てきた駒をヒットできなかったりで漏れる場合があります。

(4)ホールディング

ホールディングはアンカーを取って待ち構える戦い方です。

基本的にはホールディング側はピップで負けているので不利なことが多いです。ピップで勝っている場合はアンカーを外してランニングに移行することが多いからです。特に4~7ポイントのアンカーを取っているホールディングは「ハイアンカーホールディング」と呼ばれ、守備に優れており、大きなゾロ目を振った時にランで勝つプランもあるため、基本的にはハイアンカーホールディングのほうが(不利であるとは言え)勝ちやすいと言えます。

(5)バックゲーム

戻れるだけ戻ってチャンスを待つ、それがバックゲームです。バックゲームと呼ぶには「相手陣地を2か所ブロックしている」というのが最低条件になっているため、ピップは大量に負けています。

バックゲームはうまくやれば勝率が高くなりますが、相当うまくやらないといけないこと、負けるときはギャモンが多くなることから、最初からバックゲームを目指すようなことはしません。

「第6の戦法」の提唱

バックギャモンにおける5戦法を簡単に触れました。基本的に有利な時は「ランニング」「プライム」「ブリッツ」を目指し、不利な場合は「ホールディング」「バックゲーム」で耐えるという形になります。もちろん「不利な場合」の戦い方については最初から目指すことはありません。経過によってそういう展開になってしまう、という感じになります。
さて、基本的にはこの5戦法を理解すればよいのですが、私は「第6の戦法」を提唱したいと思います。それは「対バックゲーム」です。バックゲームを仕掛けられている場合、必ずしもランニングやブリッツが有利になるわけでもないため、バックゲーム相手にはバックゲームに合った戦い方をしないといけません。これの理解は本当に難しいです。経験で覚えていくことになります。
※基本的な「対バックゲーム」での戦い方は、「プライムを後ろに伸ばすこと」です。普通プライムは前に伸ばすのですが、対バックゲームでは後ろに伸ばすことを考えます。

6戦法の相性

個人的な感覚から、6戦法の相性を表にしました。

※1:基本的にピップで勝っているほうが有利。
※2:形により大きく異なる。勝率は40~60%程度のことが多い。
※3:自分が対バックゲームをしている場合、プライム形は○、ブリッツ形は×。
グレー:こうはならない。一時的になってもすぐに解消する。
便宜上「ローアンカー」には「3ポイントアンカー」を含む。

基本的にプライムはすべてにおいて強い戦い方と言えます。
「ブリッツ対ランニング」については、ブリッツ側がランニングで不利になっていないことが条件になります。ブリッツは攻めつぶす戦い方になるためランニングで勝っているほうがやる戦い方になるためです。
ハイアンカーホールディングは対プライムや対ブリッツで効果を発揮するのですが、ランニングで勝っていないと不利なので△の評価にしました。防御という点では最強ですが勝負という点では難しいです。
対バックゲームは全く違うゲームになるのですが、基本的には「後ろに伸ばすプライム」ができればバックゲーム崩しには最適です。ブリッツ形にしてしまうとそれがなかなかできなくなるので×となります。

勝ちやすい形を目指すならランニングかプライムです。一気に決められる目を振ればブリッツもあります。逆にホールディングやバックゲームは「耐えて最後にまくる」という戦いになるので注意が必要です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?