千林 詩

小説を書いております。 執筆中の小説「ヘッドライトが照らす千鳥足」 もしも2003年…

千林 詩

小説を書いております。 執筆中の小説「ヘッドライトが照らす千鳥足」 もしも2003年M-1グランプリに決勝進出したのが千鳥ではなくヘッドライトだったならば・・・ お笑い好きのおっさんが創る妄想小説です。ヘッドライトに少しでも光が当たれば嬉しい。

マガジン

  • 小説『もうええわ』

    長編小説です。 漫才コンビ間で起こった殺人事件について書いています。 〜あらすじ〜 中堅漫才師が相方を殺した。動機を探るが容疑者は「手記を読んでください。それを読むとなぜ殺めなければならなかったのかわかりますよ」と一言だけ言って口をつぐんだ。

最近の記事

ヘッドライトが照らす千鳥足(5)

町田自身は自分も和田も天才なのだとかは思った事がない。何度も挫折をしてきたし努力でなんとか乗り切ってきたという思いがある。 億を超える年収をもらえているが、成功と失敗は本当に紙一重だったと思う。だからこそ人よりも努力することは惜しまない。 今朝もコーヒーを飲んでから早速独自の作業にとりかかろうと思っているところだった。

    • ヘッドライトが照らす千鳥足(4)

      NSC入学からもう20年以上がたっている。昨今お笑い芸人の高齢化が進んでおり30代でも若手芸人はの枠に入れられる。芸歴の長さどうこうの問題ではなく、実績を残していない芸人が溢れており若手芸人が増える一方なのである。 幸いなことにヘッドライトはその激しい戦いで生き残り今に至っている。年齢も40代後半にさしかかり若手芸人と言われることもなくなった。 最近ではポストダウンタウンなどと囁かれることも少なくない。当の町田からするとそんな周囲の声は気にしていない。いや、そんなムダな事を考

      • ヘッドライトが照らす千鳥足(3)

        そんなある日、お笑いの専門雑誌で吉本の専門学校NSCの入学案内を目にする。年齢制限が24歳以下となっている。 「お笑い芸人になるのはこれがラストチャンスなのだ」 町田はこのこのに後押しをされてお笑い芸人への道を進むのだった。

        • ヘッドライトが照らす千鳥足(2)

           ヘッドライトは2000年に結成されたボケの和田友徳とツッコミの町田星児からなる漫才コンビである。  NSC22期生の町田が大学時代の友人である和田を誘ってコンビを組んだ。大学の軽音サークルで知り合い、一時期はプロを目指すほどのめり込んでいた。しかしバンドで食べていくのはやはり現実的ではなく卒業後は二人とも普通に就職をしたのだった。  町田はサラリーマンとして働いたがとにかく忙しい職場で、平日は毎日9時から23時まで仕事で拘束された。唯一の楽しみはお笑い番組を見ることだった。

        ヘッドライトが照らす千鳥足(5)

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        • 小説『もうええわ』
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        記事

          ヘッドライトが照らす千鳥足(1)

          隣りにいる彼女の寝息は規則的に行われている。まだしっかりと寝ているようだ。 ベッドの上にある目覚まし時計で町田は時間を確認した。 「10時か。だいぶ寝たな」 昨日は「ヘッドライトTV」という自分達の冠番組の収録があった。それが0時すぎまでかかり、その後に彼女である由美とbarで呑んでから自宅に帰ってきた。自宅のマンションに着いたのは3時を回っていた。 ヘッドライトはレギュラー番組を8本抱える人気お笑いコンビである。

          ヘッドライトが照らす千鳥足(1)