「民間任せではなく、行政だって動かなくちゃいけない」Policy Owner 星野悠樹

初めまして、PMIのPolicy Ownerに就任しました、星野と申します。

ミレニアル世代とイノベーション

僕自身も含め、日本のミレニアル世代は、「日本の産業のプレゼンスが落ちていくのをずっと見てきた」世代でもあります(思えばこの世代が大人になる中で、世の中を変えてきたのはたいてい、海外発の製品やサービスでした)。
同世代の方と話していて感じるのは、このことが日本のミレニアル世代の産業観に影響しているということです。
例えば「イノベーション」という言葉に対しても、ミレニアル世代の受け止め方がどこか「白けている」のは否定できないと思いますし、もっと言えば、この言葉自体が「信用されていない」のが偽らざる実感です。
これは、政策的にこの言葉を濫用してきた経緯も影響しているのでしょうが、このマインドが日本全体を覆っているとすれば、それをすぐに変えるのは簡単ではありませんし、いつかこの現状を打破したい、というのが個人的なゴールの一つでもあります。

そもそもイノベーションとは何でしょうか。
先人たちの様々な議論はさておき、僕なりのイノベーションの定義は、「誰も取り組んでこなかったアイデアを、リスクを取って実行すること」です。(その結果がどうであれ、この精神こそがイノベーションだと考えていますし、この意味で、アントレプレナーシップと近い語感で僕は捉えています。)

そして僕が理想とする社会とは、「リスクを取って実行すること」に誰もがチャレンジできるとともに、そのことを応援できる社会。そして、それが少しでも良い果実を生み出すための環境が整った社会(知的資源、人的資源、促進されるコミュニケーション、etc)。
そのような社会が実現すれば自ずと日本の産業も強くなるし、生活もより豊かになるだろう、というのが(いささかシンプルすぎるし、楽観的かもしれませんが)僕の抱いているイメージです。

行政のあり方も、官民で議論したい

とはいえ、その実現のためには、冒頭に書いたマインドの問題以外にも、考えなくてはいけない問題が多岐に渡っています。
個人的な雑感では、大きく分けて民間の領域、行政の領域、そしてこの垣根の領域にそれぞれポイントがあり、さらに全体を通底する領域(教育や立法といった、国家のOS部分)にも切り込むべきポイントが隠れています。

例えば、よく語られるテーマとして、官僚側のイノベーションへの意識が低いという論点があります。
官僚とこれを議論すると、必ず上がる理由の一つが、官僚があまりに忙しすぎるあまり、それどころではない、というものです。これは一個人の実感としてもその通りと思いますし、官僚の働き方というテーマを抜きにして、今後の行政の在り方を考えることはできないと考えています。(そして官僚の働き方は霞が関に閉じた問題ではなく、その業務の質が国民の生活全般に波及する点において、本当はもっと広い議論が喚起されるべきです。)

その一方、一人ひとりの官僚がその忙しさを理由にして、知識のアップデートを怠っているのもまた事実だろうと思います。
例えば私が勤務する内閣府は、広く経済社会全般にアンテナを張り、より良い日本を構想する役割が求められていますが、それが本当にできている官僚は少ないかもしれません。特定の所管を持つ各省庁も、所管外のことはよくわからないという態度では、もはや国民の期待に応えているとは言えない時代に来ているように思います。
社会も産業も、目まぐるしく変わっています。であれば官僚もまた、変わらなくてはいけません。

さらに、個人単位でも組織単位でも、官僚は前例主義や事なかれ主義が強すぎるという指摘もあります。これは新卒一括採用やローテーションといった人事制度に因る部分も大きいのかもしれません。
それをさらに掘り下げるならば、減点主義が過ぎる教育制度、一律の試験で選抜する大学や公務員試験の制度にも原因があるのかもしれません。
これらは、もしかすると我々が構想するには大きすぎるテーマかもしれませんが、だからといって直視しなくてよいわけではありません。

あるいは、行政とは切り離せないテーマとして、国家のOS部分である意思決定プロセスや統治機構のことも、もっと自由に考えてよいと思っています。
例えば、政治家と官僚の関係は今のままでよいのか。日程闘争を軸とした国会で本当に熟議ができるのか。各省庁の在り方は今のままでいいのか。二大政党制の緊張感を、より良い産業政策の立案に活かすにはどのような仕組みが相応しいか。
2050年という未来まで見据えるならば、そもそも参議院の役割は何なのか、首相の選び方は現状のままでいいのか、といったテーマですら、的外れな論点ではないと思っています。

立場を超えて、一緒に未来を構想したい

以上はあくまで一例ですが、このように、本当に数えられないほどの論点があるため、我々の議論がどのようなアウトプットに結びつくのか正直僕もわかりません。
でも、確実に一つ言えることは、イノベーションの土壌を整え、種を蒔き、あるいは蒔く人を支援しながら日本を良くしていく、この意志を共有できる仲間がPMIに集まっているということです。
そのことが本当に心強いです。普段の立場は全く違う我々ですが、この仲間となら、面白い未来をデザインし、一緒に向かっていけると信じています。

最後に少し僕個人の話をすると、今は行政で働いているものの、いずれ民間の側に軸足を移してもう少し自分の知見を広げたいと考えています(行政と民間の関係は決して0か1かではなく、その間にも面白い役割が隠れているのではないかと思っています)。
今後の人生でイノベーションとどう関わるのかは未知数ですが、きっとこれはライフワークになるのだろうという予感とともに、今は日々、仲間との議論を楽しんでいます。

PMI Policy owner
星野 悠樹

内閣府。東京大学医学部にて医師免許を取得した後、同大学院博士課程で2年間、分子生物学を研究。2016年に同大学院を中退し、内閣府入府。同年秋より内閣官房に出向し、働き方改革、人生100年時代構想(人づくり革命)といった総理官邸直下のプロジェクトに2年間従事し、総理を議長とする会議の運営や、「働き方改革実行計画」「新しい経済政策パッケージ」などを策定。現在は、幼稚園、保育所といった幼児教育・保育の無償化を担当。


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コメント2件

リスクを取って実行することができる社会=自分がこれを解決したい!ということを自ら実行することができる社会ということだと理解しました。僕もその点が共感します!誰かが作ったミライではなく自ら考えできたミライの方が我々の次に続く世代への橋渡しにもなると感じています。
まったく共感する地方自治体職員(高知市)です。イコールパートナーシップによる協働を実践して手応えも市民評価も得ましたが、課題は行政側にありました。行政にも、ティール組織の意識や手法が必要だと思っています。
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