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ある日浮かんだ理想の生活

クリーム色のぽかぽかのお部屋。

お部屋の真ん中にふわふわの大きなベッドがある。
長年使っているタオル地のベッド。肌触りが良くて離れがたい。

目覚ましがわりに、オルゴールの音。
たまにクラシックギター。
スローテンポな音色が朝だよって優しく教えてくれる。「起きる?どうする?」
そうしようかな。ゆっくり身体を起こす。重量に逆らって軽くなる。

可愛いぬいぐるみに囲まれている。
ねこ、いぬ、ひつじ、山、アボカド、お豆腐。
ペンギン、雪だるま、くま。
ぎゅっと抱きしめて眠っていた。
見守ってくれた子たちの頭をなでる。みーんな。

時間は8時か9時。いつもゆっくり起きる。
窓を開けて外の空気を香る。
手の先から”ひんやり”が「おはよう」って。
今日もいい天気。

お湯を沸かして白湯を一杯。
朝食の準備、コーヒー豆をがりがり。

少しだけ家事をする。

朝食の食器を洗って、
掃除機をかけて、
洗濯もしようかな。

あ、あと薄くメイクもする。
整っていく、自分を大切にする時間。

ふうっと、席に着く。
今日は何をしようかな。

お仕事はやったりやらなかったり。
世界に影響なんてない、やってもやらなくてもいいことを、
音楽を聴きながら片手間にやって、
別に誰の役に立たなくてもいいやって、
そんなことさえ気にならない。

庭に出て植物に水をやる。
ハーブがぼうぼうに生えてて、少し摘む。
指先が少し青く染まる。
フレッシュハーブティにしよう。
余ったものは夕飯に入れようかな、
残りは部屋の香りに。
昨日のと入れ替える。

また窓際に戻ると、鳥がきてて観察したりする。
季節の変わり目には、花の蕾の成長に気づいたり、葉の色の変化に気づいたり。

どこにも行きたくない。ここにいたい。
感受性をどこかに置いてきた。
「旅行に行きたい」と昔はよく外にばかり出ていたな。
今はいまに耳を澄ますことができるようになったよ。

自分の純粋な部分のみを生きている。
何かを思い出しそうになって、鼻の奥がツンとする。
トレードオフ、って言葉がどこかにあったっけ。

誰かと関わることはない。
有名になんてなりたくない。
ネットに残された断片。中途半端に逃げ隠れ。消しきれなかった。
世界で具体的な存在になるためには全てを曝け出すしかない。
そして受け止めなければならない。
私にはそれが大きなストレスだった。

それなら、
小さな世界でいいから固有でありたい。
純粋さを生きたい。
光の中を生きていたい。
夢から覚めたとき、柔らかな光に包まれた日曜の朝みたいな瞬間を、
ずっとずっと生きていたい。

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