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子どもが風邪を引いた。

雨の日の桜ってなんか重くて好きだなぁ、質量というより隠喩に含まれた想いの量が。
とか思っていたらもうとっくに春は通り過ぎていた。

今年の桜をじっくり見ることもなく、赤子と桜の写真を撮ろうと思っていたのだが気がついたら散ってしまっていた。


今が4月で、実際にはもうゴールデンウィーク間近だなんて信じられない。

赤子が生まれてからというもの日常のやることはとても単調で、特に変わり映えしない日々が続いているはずなのに気がついたら外の景色は変わっている。
四季のある国に生まれてよかった、というコピーを知ったのはいつだったかどこだったか、それをたどる暇もなく目の前の娘は母がスマホに気を取られている時に限ってミルクを吐き戻している。
今日なんかたった5分の間に2回も着替えた。
いいよいいよ、洗うのは洗濯機がやる仕事だから。
あなたは元気に、飲まされた風邪薬が美味しくないとあうあう文句を言いながらのけ反って手足をバタバタさせてなさい。でも母の下顎にクリティカルヒットさせるのは控えて欲しい。割と痛いのよあなたの頭突き。


娘の慣らし保育が始まって2週間、娘は元気に風邪を引いた。

おおーこれが洗礼というやつかぁと思っていたら風邪はしっかり母と父にも伝染った。今日は割と大丈夫だけれど、昨日はマジで最悪だった。だるいし喉痛いし鼻水とくしゃみが出続けるし。夫も微熱が出て酷い花粉症のような鼻水とくしゃみが止まらないらしい。
夫よ、共に乗り越えようぜこの荒波を。

子どもが風邪を引くと大変!というのはよく聞く話だったけれど、やっぱり聞くのと経験するのとでは大違いだった。こんなに大変なんすね。すごいっすね世間の親御さんたち。
結婚したから子供を産んだから偉いとか凄いとか、そんな話がしたい訳じゃない。
でも確実に、独身の頃だったら考えられないくらいに精神的にも体力的にも削られている。

時々、どうしても考えてしまう。
独身だったら、って。

全部自分が選んでそうなりたくて進んできた結果なのに、ほんの一瞬、一瞬だけだけどそれを恨まずにはいられなくなる。
勿論世の中聖人君子でもない限り、選ばなかった人生を羨まずに過ごせた人なんていないのだろうけれど。
思った通り狙った通りにいかないのが育児。それを学ぶためにもこれは、必要な感情の運動なんだろう。

いやー、わかってる気でいたけどやっぱ育児大変っすわ。
さすがに思うもんね、誰か代わりに育ててくんないかなって。
せめて言葉とか意思がある程度通じるくらいになってから育てられねぇかなって。
別に母がちょっとトイレに行くためにたった2分その場を離れたくらいで世界は崩壊しないから大丈夫よって
それを分かってくれるくらいになってから子育て出来んかな、って。

でもそれを思った次の瞬間には「無理だなー」って自然と思い直してるのよね。

だって一瞬で成長する人間なんていないもん。
逃げられないの知ってるもん。

いや、正確にはちゃんと逃げられる。
然るべき手続きを踏んだり、信頼できるひとを頼ったりすれば逃げられる。
じゃあなぜそれをしないのかって、社会規範とかモラルとかそういう話もあるんだけど

なんてったって、かわいいのよね。
それも圧倒的に。

朝になって抱っこした時に寝ぼけながらも全体重をこちらに預けてあくびするところとか
短い午睡から目醒めるときに、腕はバンザイするけど脚はM字にキュッと曲げて、しかも伸ばした腕の先のクリームパンみたいなおててがプルプルするところとか
おなかがすいたー!!と全身で泣きながらも哺乳瓶を咥えると一瞬で黙るところとか
ほどほどにお腹が満ちたから哺乳瓶の乳首を舌で転がしたりあむあむして遊び始めて、じゃあもうごちそうさまかな?と思って口から離すと怒り始めて、じゃあまだ飲むの?と咥えさせると真剣に飲み始めるところとか
せっかく買ってもらったおもちゃより、おしりふきの空きビニールが何より好きなところとか
たまに機嫌よく1人でゴロンしながらあうあう発声練習してるところとか
抱っこ紐の中に居てもらって家事してるときに視線を感じて下を向くと、目が合ってお互い同時にニコッと笑うとことか
チャイルドシートで寝落ちしてるのをそっと抱き上げて車から降りても、まだぷうぷう言いながら寝てるところとか

今はまだ言葉を持たないあなただからこそ、全身で「大好き」を伝えてくれるのが、かわいくてたまらんのですよ。

でもこちらも感情のある人間だもんで、体力が底をついてる時とか体が辛い時はあなたからの「大好き」を受け取れる余裕がないのよね。あなたの母はそんなに強い人間じゃないから、いつも余裕がある訳じゃないのよ。そこはマジですまん、すまんが受け入れておくれ。

一応この世にあなたを産み落とした人間の責任として、あなたの不安や恐怖にトコトン付き合うことを約束します。全ての不安や恐怖を取り除けるかは分からないけれど。

まぁ実のところあなたの母は結構な心配性でメンタル不安定人間なものでね、うまくいかないこともある訳です。

そんな母を見て反面教師にでもなったら幸い。
あぁこのひとがいないと世界が崩壊するって思ってたけど、割とこのひとチョロいな、こんくらいで生きていったらいいんかな、くらいに思ってくれたら恩の字。

何せ蓋を開けたら不安しかない世の中に、いずれ遠い未来(そうであって欲しい)にはあなたを置いて旅立ってしまう可能性があることが申し訳ないからね。

願わくばそんな世の中だったとしても、楽しみはたくさんあることを見つけて欲しい。

例えば、朝起きて顔を洗うと気持ちがいいこと(化粧水をつけられると最高)。
ていねいに歯磨きをすること。
窓を開けて部屋に風が入るとき(お掃除した後とかだと最高)。
ラジオから好きな曲が流れてきたとき。
時々体に悪いものを食べること。
内緒で遠くへ行くこと。
友だちとたくさんおしゃべりすること。

まだまだ、いっぱいあるんだよ。

とりあえず母の目下の楽しみは、今週末に家族で小さな遊園地に行くこと。

お天気良いといいなぁ。

幸いなことに母は晴れ女なので、天気予報が雨でも多分晴れると思う。そこは任せて欲しい。


あと、それまでには風邪治しとくね。

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