阪神淡路大震災から27年と、ニュースの声。
災害のない暮らしが続きますようにと思いながら、出勤のためクルマを走らせた。

遠くの信号が青なのが見えたので、アクセルを踏み込もうとした。
そこで、ホームセンターから出ようとしている黒いバンが目に入った。

出ようとしてはいるけど、この近距離だ。
まーさーか、出てこないよねと思いながら、念のためアクセルをゆるめた。

次の瞬間、その車がヒューと出てきた。

マッジーー！？うそやろー！！
思いっきりブレーキを踏む。

そこからは世の中がスローモーションになるんですね。
あれ何なんですかね。

あんなに踏み込んだら、ブレーキペダルに負荷かかって、私の足もろともエンジンルームを突き抜けるかと思った。

そして、DUNLOPのスタッドレスタイヤが、ゴゴゴゴゴーッと音を立てた。

あーもう、これ以上私に出来ることないわ。
神様に祈るしかないけど、祈るヒマないし〜。

あかん、もうぶつかる。
相手が飛び出しても、この場合ゼロ１０にはならんよね。
これで前方不注意って言われたら、怒っちゃうよ私。

あかん、もうームリ。
車は急に止まれないって、ほんとそれやわ。
衝撃どれくらいくるかな。

車載カメラー、ちゃんと撮っといてよ〜！

止まった。

あのスピードと至近距離からのブレーキで、私のクルマが止まった。

私のクルマと相手のが「T」の形に合体すると思ったのに、寸止めだった。

これ、私の運転テクニック？それともダンロップさんのおかげ？
それとも、やっちゃわない日産だからか。

加速が自慢の愛車は、制動も自慢の車になった。

こんな風に言ってるけど、止まったあとはボーゼンだった。
あちらさんは、私より10歳以上は年上に見えるおばさん。

般若の面のよう(いや能面だったかも)になっている私に、その女性は薄ら笑いで頭を下げた。

ちょっと、いま笑っとったでしょー！
おたくが急に飛び出してきて、誰が止めたと思っとるの！

そう言いながら、相手に詰め寄る私。

…を想像しただけで終わった。
相手は反対車線を、私とは逆方向に走って行った。

まあ、何もなかったから良かったとしよう。

相手もビックリしただろうし、これから気をつけたら、それでいい。
私もすぐに追いついて、とろくさいオバサンになる時も来るんだし。

でーもー、ちゃんと左右見てから出てきてよね。
交通事故のない社会にいたしましょう。