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読書 / 美術 / 舞台 / ダンス / 食べもの / 枯れた人生観

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マガジン

  • ダンス覚書

  • 太宰治の初版本

    太宰治の生前から戦後にかけての単行本を紹介します。

  • 芥川龍之介の初版本

    芥川龍之介の生前から没後直後にかけての単行本を紹介します。

最近の記事

苦しさとつらさ

死にたいというよりも 終わりにしたいというのが本当の気持ち なんだか日々が窮屈で 心の通じる人は身近ない 外に出ても不安だし 煮え切らない 本さえ満足に読めない。 寝込んでしまう。 相談する相手もいない。 「病院に行け」 「カウンセリングを受けろ」 「運動しろ」 そんな言葉を浴びていると 精一杯生きているのに まだ頑張れと言われているようで とても苦しい。 泣きながら仕事をして 涙が枯れるころに電車に乗って 目を真っ赤にして家に帰って ま

    • 小川未祐:本当の声を届けてくれる、まごころの歌い手

      “本当の声をきかせてよ” “君の本当の声を” と 日本で最初のシンガーソングライターは 大観衆の前で絶唱した。 誰かが演出するのではなく 自分たちで演出できることを 半世紀前の若者たちは心から謳歌していた。 いつの時代も 本当の声が人を熱狂させる。 ハリボテの声は 消費され虚ってゆくだけ。 自分で紡いだ言葉を 自らの声と楽器の音色で 届ける歌い手を私は知っている。 小川 未祐 さん まだ、その声は世間に未だ浸透してはいないけれど、 その声は間

      • 大切な思い出

        30年生きてきたなかで大切な思い出を書きとめておこうと思います。 いろんなことがありました。 つらいことの方が山ほど浮かびます。 それでも素敵な思い出が一片の破片として私の心に 残されている。 それがあるから人生を捨てたものじゃないと思える。 私の願いをなんでも叶えてくれたあの人のこと。 私が病魔と戦っていてもずっとそばにいてくれたあの人のこと。 唯一、結婚することを考えたあの人。 私の名前をつけてくれた祖父。 いつも私のことを褒めてくれた祖母。 三人で

        • 実在するのに見えないもの

          日本にはヨーロッパ的なサロン文化がないという意見を読む。 確かに、と思う。 日本にサロンの文化がないという意味ではなく、 自分がヨーロッパのサロンを実見したわけではないから。 だから日本のサロン文化がどこまでヨーロッパと類似したものかは測りかねる。 サロンがそもそも一般の人には見えない属性ということもある。 つまり会員制。 飲食店も含め、そういう場は可視化されない。 見えない世界。 けれど存在しないわけではない。 そういう世界を見るには運がいるし、 自ら

        苦しさとつらさ

        マガジン

        • ダンス覚書
          4本
        • 太宰治の初版本
          1本
          ¥100
        • 芥川龍之介の初版本
          0本
          ¥100

        記事

          デッサンモデルをしていたこと

          友人のデッサンのモデルをしていたことがあった。 私のビジュアルがいいわけではなく練習にとにかく描きたいからと相手になっていた。 最初はとにかく静止することが難しかった。 よく動いて怒られていた。 そこでお互い辿り着いのが、 読書している私を模写するということだった。 これが私の自然体ともいえて とにかくお互いにwin-winだった。 完成したのデッサンを見せてもらうと、 身体のバランスや構図の上手さは目を見張るものがあった。 それ以来、ネットで流れてくるイ

          デッサンモデルをしていたこと

          恋に敗れたこと

          恋と友情を勘違いすること。 若かったあの頃は互いにそうやって親密になっていくことが怖くなったのだろう。 それがなければ、人生の戦友になれたかもしれない。 異性の友情が成り立たないのは、 やはり勘違いすることで歯車が狂っていくから。 ・・・ 自分の才能をドブに捨て 流行に走った人がいた。 流行に乗って作られたその人の作品は、 かつての輝きはもうない。 流行を追うには、基礎になるバックボーンがいる。 それを欠いた現代アートは 形骸化されてありきたりだった。

          恋に敗れたこと

          私が救えなかったあなたへの手紙

          私が救えなかったあなたへ あなたと過ごした横浜の街も 変わってしまいました。 あなたはまだこの街にいるのだろうか? いつかまた巡り会うのだろうか。 ・・・ 大学に入って最初の友だちだった。 帰り道まで一緒で、 よく終バスの時間まで ファーストキッチンでポテトを一緒に食べながら 人生のことについて語っていた。 人生がなんなのかも ろくに知らない未成年が二人して 大袈裟に。 今でも私は あなたに通院を勧めたことを後悔している。 不完全だったあなたは

          私が救えなかったあなたへの手紙

          二度と逢えない、あなたへの手紙

          もう二度と逢えないあなたへ 猜疑心が強くて人を信じなかった私を 外の世界へ連れ出したのはあなただったことを最近よく思い出します。 劇団四季のチケットを用意して ミュージカルを見せてくれたり ディズニーランドに朝から並んで 閉園まで面白おかしく過ごしたり。 おっちょこちょいなあなたは薬を飲み忘れ、 アトラクションに並んでる間にうずくまり、 私は慌てて水道で水を汲んで 薬を飲ませましたね。 乗り物を降りた後けろっとした顔で 微笑っていたのにはやれやれと溜息

          二度と逢えない、あなたへの手紙

          表象の庭

          歴史は夜作られる。 歴史は過去作られる。 肝心なのは「作られる」ということ。私たちが受容する歴史は誰かが作ったものであり、勝利者たちの声だ。敗北者は語られることはなく、消し去られていく。 そうやって積み重ねてきた歴史が意図的に編纂されている事実。そういった書き換えは実は容易に可能となる。 語らなければいい。不都合は決して語られない。そうすれば事実は事実として未来に残ることはない。語らなければいい。その優位性を特に発揮した人達がいた。 百年前、それはすでに意図的に試み

          表象の庭

          リハビリ

          一緒にいた人たちがいつのまにか消えてゆく。 いつも通っていた喫茶店は突然閉店し、 芸術鑑賞も仕事のスケジュールで通えなくなり久しい。 当たり前が当たり前でなくなる。 ここ何年、そういうことがあまりに多い。 習慣化された当たり前を疑うことは大切だけど、 外的な要因で継続してきたことができなくなるのは歯がゆい。 あたらしいことを始めようと、 色々と画策中。 いまは考える時間。 自分の意思を固める時間。

          リハビリ

          舞台演劇パンフレット考

          告白すると舞台演劇のパンフレットを買って心の底から感激したことがなかった。 無論パンフレットは有難いし、多少の金額を支払って買いもする。 なのに、そのパンフレットに不満を持っている。 買ってるのに? この矛盾した感情を整理してみることにする。 というのも、先日公演のあった平原慎太郎のプロデュース公演で販売された当日パンフレット「当パン」を目にしたのがきっかけだったりする。 その公演に残念ながら足を運べなかったのだが、この当パンには大いに興奮させられた。 これだ!

          舞台演劇パンフレット考

          平原慎太郎「循環する創作環境の獲得」感想

          公益財団法人セゾン文化財団のニュースレター「viewpoint」に、振付家でダンサーの平原慎太郎氏による「循環する創作環境の獲得」という寄稿文が掲載された。 リンク: https://t.co/thoeSnhgl8 一読し、パンデミックがダンスの有り様さえ蝕んでいる現実にハッとさせられた。 “この出来事が既存のダンスというものを消失させる可能性を秘めていると感じました。” “が、最も恐るべきはこれまで紡がれてきたダンスの歴史が途絶えることです。” 他者との交流で個の

          平原慎太郎「循環する創作環境の獲得」感想

          冷淡なリアリズム:砂川文次という作家

          砂川文次が芥川賞を獲った。 彼はここ数年、芥川賞候補の常連で、既に単行本も3冊出している。 話題性としてはコロナウイルスが流行しつつあったタイミングで発表した「臆病な都市」(群像2020年3月号)がウイルスのパンデミックを扱っていたことから注目され、のちに単行本化もされている。 作品全体としては自衛隊出身という長所を生かした組織描写、ミリタリー色の強い作風が特徴である。 彼の本領の発揮されるのはまさに極限状態に身を委ねた人間たちと心理描写である。 これは日本の近代文学

          冷淡なリアリズム:砂川文次という作家

          カフェムリウイ『koten #15』覚書

          祖師ヶ谷大蔵にあるカフェ ムリウイで開催されたダンス・イベント【koten #15】に行ってきました。 女性四組によるダンスパフォーマンス。 鑑賞したのは2021年 11月 19日の金曜日、17時の公演。 ついては覚書の形式でnoteに感想を書き留めることにする。 今回は鑑賞後、思ったことを勢いよく書きました。後で編集したくなるかもしれないけれど臨場感を持って文章を書くのに荒削りなのもいいかもしれないと思い、ちょっとした実験的にアップロードします。 ■1.田花遥「無題」

          カフェムリウイ『koten #15』覚書

          広津和郎の初版本エトセトラ

          【広津和郎】という作家を知る人は限りなく少ないだろう。 戦前から戦後にかけての流行作家。戦後は文壇の重鎮として多くの文豪と親交を持っていた。 父親は尾崎紅葉の門下生・広津柳浪。 ざっと紹介するとこのような感じ。 私はこの作家の単行本(初版本)を重点的に集めている。 函付きのものを中心に並べてみた。 このほか文藝叢書の数冊を除いて、ほぼ棚に揃ってはいる。 主要な単行本で入手が難しいのは『握手』と『二人の女』の2冊。『明るみへ』を含め、広津の小説で完成度の高い名品はこの3

          広津和郎の初版本エトセトラ

          9月に買った本

          …といっても殆ど本を買っていない。 それでも思い出してみると10冊近く買っていたのでメモがわりに記録。 武者小路実篤『彼の結婚と其後』大正11年 初版 これは実篤の「世間知らず」に書下ろしを加えた傑作選集で『世間知らず』の初刊本を架蔵しているので探していた。 買ってはみたものの、地味なカバーだった。 太宰治『正義と微笑』昭和17年 初版 これは、単発で紹介の記事をアップしてる。 ずっと探していたので今年買った本の中でも5本の指に入るくらいうれしい。 シーラッハ『犯

          9月に買った本