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【2024年最新・無料】SaaS企業データ分析 | 決算・KPI

※ 2024/5/5 更新

SaaSビジネスは、ARR/MRR、Churn Rate、LTV、CAC、ユニットエコノミクス(= LTV ÷ CAC)などのSaaSメトリクスをベースとして、比較的科学しやすく、再現性のあるビジネスと言われています。

Web上にもSaaSメトリクスに関する解説記事はだいぶ充実してきていたり、決算資料でもSaaSメトリクスを開示する企業が増えてきています。

一方、それらのデータを1社ずつ集めていくのは結構大変で、業界分析する時のハードルになっているのではないでしょうか。

そこで、SaaSデータの民主化と称して、これまで収集してきたSaaS企業の決算・KPIデータを無料公開します。起業家、経営者、投資家は勿論、SaaSに関わる全ての人が分析しやすいように、記事の最後の方にExcelファイル(各社KPIの定義付き)を貼っていますので、是非、ご活用ください。

SaaS業界の盛り上がりに少しでも貢献できるデータベースにしていけるように、今後もアップデートしていきたいと考えています。アップデート情報はツイッターでお知らせしますので、よろしければアカウントのフォローをお願いします。


ARR(Annual Recurring Revenue)

ARRとは、毎月継続的に得られる売上(MRR:Monthly Recurring Revenue)を12倍したもので、今後1年間で決まって得られる売上と考えて良いでしょう。

一般的に、ARRにはスポット的な初期費用や追加購入費用の売上は含めませんが、ARRを開示していない企業については、四半期の売上×4で算出しています。

ARR合計値('22年3月時点):2,150億円
ARR平均値('22年3月時点):55億円
ARR中央値('22年3月時点):31億円

Churn Rate(解約率)

Churn Rate(チャーンレート)は解約率のことで、以下3つの定義があります。各企業によって定義が異なるため、比較する場合は注意が必要ですが、本データセットでは同列で扱っています。(各社の定義はエクセルのシート内に記載しています)

① Customer Churn Rate(顧客数ベースの解約率):当月の解約顧客数 ÷ 前月末の顧客数 × 100

② Gross Churn Rate(収益ベースの解約率):(当月の解約分MRR + 当月のダウングレード分MRR) ÷ 前月末のMRR × 100

③ Net Churn Rate(純収益ベースの解約率):(当月の解約分MRR + 当月のダウングレード分MRR - 当月のアップセル分MRR + 当月のクロスセル分MRR) ÷ 前月末のMRR × 100

ARPA & ARPU

ARPAとARPUの定義は以下の通りですが、こちらに関してもデータセット内では同列で扱っています。(各社の定義はエクセルのシート内に記載しています)

・ARPA(Average Revenue per Account):ARR ÷ 全有料顧客社数

・ARPU(Average Revenue Per User):ARR ÷ 全有料ユーザー数

上記のARPUの定義の場合、ARPPU(Average Revenue Per Paid User)と記載することもありますが、本データセットではARPUと記載しています。

S&M率・R&D率・G&A率

S&M(Sales & Marketing)コスト、R&D(Research & Development)コスト、G&A(General & Administrative)コストの開示は米国SaaS企業では一般的ですが、日本で開示している企業は多くはありません。

しかし、日本でもAI inside、Appier Group、freee、PLAID、SpiderPlus、Yappliなど、最近上場した企業を中心に開示するところが増えつつあります。
一般的には以下のような定義が多いようです。

  • S&M:セールス/マーケの人件費、経費、広告宣伝費

  • R&D:研究開発に関連するエンジニアの人件費、経費

  • G&A:バックオフィスに関連する人件費、経費

時価総額・PSRマルチプル・SaaSメトリクスまとめ(2023年4月末時点)

時価総額(平均値):709億円 / 時価総額(中央値):305億円
時価総額 前月比(平均値):+2.9% / 時価総額 前月比(中央値):+1.3%
PSR(平均値):5.7倍 / PSR(中央値):5.1倍

TAM(Total Addressable Market)

TAMは、日本語Wikipediaで獲得可能な最大市場規模と訳されていて、SaaS事業の長期的なポテンシャルと考えられます。

算出方法は以下の2つがあります。
①SaaS企業がカバーしている市場規模を足し合わせたもの
②対象となり得る顧客数と顧客単価から算出したもの

TAM(平均値):1,711 十億円 / TAM(中央値):637 十億円
ARRベースシェア(平均値):1.3% / ARRベースシェア(中央値):0.7%

SaaS企業の決算・KPIデータ(エクセルファイル)

以下のExcelファイルには、上記に掲載した以外の最新データも含まれますので、是非ダウンロードしてみてください。

※Googleスプレッドシートやエクセルのピボットテーブル機能を使うと分析しやすいです。

上記以外の掲載データ項目一覧

設立年月
上場年月
有料顧客数
NRR(%)
有料顧客数成長率(YoY, %)
年間売上(億円)、成長率(YoY, %)、年間売上増額(億円)
四半期累積売上(億円)、四半期売上(億円)、成長率(YoY, %)
NTM売上(四半期売上の4倍、億円)、成長率(YoY, %)
LTM売上(直近12ヶ月売上、億円)、成長率(YoY, %)
従業員数(人)、売上/従業員数(百万円)
従業員平均年間給与(万円)
従業員数の内訳(開発、カスタマーサクセス、セールス&マーケティング、コーポレート&その他)(人)
上場直前/直後のARR(億円)、成長率(YoY, %)
上場直前の調整済み売上(億円)、成長率(YoY, %)
参考値_上場直前の株式発行による累計資金調達額(億円)
上場直前の長期借入金(億円)
参考値_上場直前の累計資金調達額(億円)
上場直前の現預金残高(億円)
参考値_上場直前までのキャッシュバーン(億円)
参考値_上場直前までの資本効率(対ARR・対売上)(倍)
上場日発行済み株数(株)
公開価格(円/株)
上場日初値・終値(円/株)
時価総額_公開価格(億円)
上場日時価総額(億円)
IPO Pop(%)
発行株式数_自己株式含む(株)
株価(円/株)
通期売上予想_決算短信(億円)
EV(Enterprise Value)
PSR(倍) 通期売上予想ベース・NTM売上ベース
EV/Revenue 通期売上予想ベース・NTM売上ベース
原価(億円)・原価率(%)
粗利(億円)・粗利率(%)
販管費(億円)・販管費率(%)
広告宣伝費(億円)・広告宣伝費率(%)
営業利益(億円)・営業利益率(%)
EBITDA(億円)・EBITDAマージン(%)
当期純利益(億円)・当期純利益率(%)
40%ルール(売上成長率+営業利益率・EBITDAマージン・FCFマージン)
流動資産(億円)・流動資産比率(%)
固定資産(億円)・固定資産比率(%)
流動負債(億円)・流動負債比率(%)
固定負債(億円)・固定負債比率(%)
純資産(億円)・自己資本比率(%)
総資産(億円)
総資産回転率(回)
営業CF(億円)・営業CFマージン(%)
投資CF(億円)
財務CF(億円)
FCF(億円)・FCFマージン(%)
上場時のARR(億円)・ARR成長率(YoY, %)
上場時までの合計資金調達額(億円)
資本効率:上場時ARR/上場時までの合計資金調達額(倍)

掲載SaaS上場企業

AI inside
Appier Group
弁護士ドットコム(クラウドサイン)
チャットワーク
CS Cloud(サイバーセキュリティクラウド)
CS-C
サイボウズ
サインド
フィードフォース
Finatext HD(フィナテキスト)
freee(フリー)
HENNGE(ヘンゲ)
ヒューマンテクノロジーズ
インフォマート
カナミックネットワーク
カオナビ
KOKOPELLI(ココペリ)
リンクアンドモチベーション
ロジザード
メドレー
マネーフォワード
ネオジャパン
Nulab(ヌーラボ)
オロ
Photosynth(フォトシンス)
PKSHA Technology(パークシャテクノロジー)
PLAID(プレイド)
プラスアルファ・コンサルティング
rakumo(ラクモ)
ラクス
セーフィー
Sansan(サンサン)
スマレジ
エスエムエス
スターティアHD
スパイダープラス
チームスピリット
手間いらず
ユーザーローカル
ユーザベース
V-cube(ブイキューブ)
ビジョナル(HRMOS)
Wantedly(ウォンテッドリー)
Yappli(ヤプリ)

最後に

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

日本でもSaaSビジネス・企業の分析が進んで、面白いSaaS企業やビジネスがもっと生まれやすくなると良いですね。
定義やデータが間違っている箇所などありましたら、TwitterのDMでこっそり教えて頂けると助かります。
ビジネス分析って面白いですね!

電子書籍「SaaSの科学」をリリースしました

『SaaSの科学 -SaaSビジネスにおけるデータ分析-』という電子書籍(Kindle)を出版しましたので、読んで頂けると嬉しいです📚


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