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第4回note福岡meetupの日の、日記。

早めの夕方にバババとごはんをつくり、まだ暗くなる前に家を出た。

娘のお迎えは夫に頼んでいて、ふたりが帰る前に家を出ることになるだろうと思っていたので、自宅のiPadに簡単なビデオレターを残す。

『娘ちゃん、おかえり〜。えーと、今日はお母さんこれからおでかけだから、パパと仲良くごはん食べて、おふろはいって、ねんねしてね。あ、今日のごはんはね〜、これと、これでーす』

iPad片手に雑多なキッチンを歩きながら、フライパンのフタを開けてピーマンの肉詰めを映し、隣の鍋に入った鶏団子スープのフタも開けて中身を移す。経験ないけど、Youtuberってこんな気分なのかしらと思いながら。

結局、家を出る直前に夫と娘が帰宅して、ビデオレターは無意味な産物となった。あれれ。

まあいい。実物の娘を思いきりぎゅうとハグして、目を合わせて説明して、「バィバィ!」と手をぶんぶんふる小さな手にしっかりと手をあわせて、家を出られたから。何倍もいい。ずっといい。

そういえばイベントに向かう道中に気づいたけれど、そういえば前回のnote福岡meet upのときも、わたしピーマンの肉詰めつくってなかったっけ。そう思ってあとで確認したらやっぱりそうだった。

しかもフライパンに入り切らなかったひき肉を鶏団子にして、スープに入れてるところまでちゃっかり同じ。無意識って、こわい。

* * *

肝心の第4回note福岡meet upは、いままでとはまたちょっと違った雰囲気で、新しい場だなあと感じた。

場所も、前回のnote福岡meet upに参加されていたシモダヨウヘイさんが店主をつとめるブックバー「ひつじが」さんのオープンに伴い、そちらでの初開催。ちょうど店内ではイラストレーターさんが個展をやられていたりして、創造的な雰囲気とちょうどよい規模感がとっても心地よかった。

イベントの冒頭では、ボードゲームクリエイターの津村さんが、小6のときに9ヵ月かけてつくったという「福岡大すごろく」(今では福岡市博物館に展示されている!)の実物を見せてくださった。詳しくはご本人のnoteに。

“私が小学6年生の時に9か月かけて作ったすごろくが「福岡市大すごろく」。画用紙17枚を繋ぎ合わせた、約900のマスがある巨大なすごろく(縦135cm×横132cm)です。福岡県福岡市の全住所を載せ、道路は一般道や高速道路を忠実に再現。フェリーに乗って志賀島や能古島へも行けます。作成にあたっては市販の地図を見ながら描いていきました。”

出所:津村さんのnote『小6の時に作った福岡市全住所が登場する巨大すごろく「福岡市大すごろく」』より

おとなが立って手に持っても床まで広がるあまりの大きさに、思わず会場からもどよめき。みな、自分の家はどこかな、実家はどこかなと食い入るように見ては、「ああ、ちゃんとある〜!」なんて盛り上がっていた。

そのあとは基本的にフリータイム。

津村さんが持参くださった自作のボードゲーム「Amen」をやる一角があったり、お酒片手に参加者それぞれが好き勝手に会話していたり。

食事をみんなで作って提供する、という要素はないけれど、雰囲気だけみればもう、ミニnote酒場みたいだなあ、なんて思った。noteというキーワードだけで集ったひとびとが、ゆるやかに語り合う場。

ただやっぱり、note酒場で出会えたような「前提をすっとばしていきなり会話できる感」とはちょっとちがうところもあるなあ、というのがわたしの、あくまで超個人的な雑感でもある。noteで長い間書きつづけていらっしゃる方の母数は、やっぱりまだまだ少ない。note読んでますよ、どんなnote書いてるんですか、どういうの読むのが好きですか。そういう会話をもっとできるようになりたいなあ、なんていちユーザーとしては思うのだけれど、ここではひとりよがりなのかもしれない。ちょっぴりさみしい。

たとえばわたしのnoteは、たまにインタビューや企画ものも入れることはあるが、それ以外の大多数は基本的にくだらないことやとるにたらない日常のことを書いている。なんというか、そういうエッセイっぽいものをゆるやかに書くnoterさんに、まだ福岡では会えてない気がするなあ、と思ったりもするのだ。

でもあとになって考えたら、これもまた、以前書いたような地方とSNSの話と関係しているのかもしれないな、と思ったりもした。

”とくに、関西はやっぱり「しゃべり」が強くて、SNSで云々よりも、リアルの場でなにかでかいことやってばーん!と注目を集める、というほうがまだまだ強い、という話を聞いて、なるほどなあ、と思った。

その話を聞きながら個人的に思ったことは、「ああそうか、しゃべりで発散するほうが得意だったら、たしかにSNSって必要性が低いかもしれない」ということだ。

いろんな見方があると思うけれど、わたしはSNSはまだまだ、テキストでのコミュニケーションが得意なひとたちが集う傾向にあると感じている。今後は動画がもっともっと主流になって、変わっていくのかもなあと思いつつ、少なくとも今の時点では。

リアルで大きな声を出してぐいぐいいけるひとたちではなく、リアルではむしろおとなしくて、いろいろ考えてはいるのに自分の気持ちをうまく表現しきれない。そんなひとたちが、その消化しきれない、行き場のない気持ちや考えをインターネットに放っているのだと感じる。”

福岡のお店は店主とお客さんが近くて、お客さんとお客さんの距離も近いことが多い。引っ越してきた当初、けっこうこの距離感にびっくりした。

もしかしたら、とるにたらないことや日常のささいなことは、みんなこうやってすぐにつながって、リアルのコミュニケーションで消化する力や場所があるから、わたしみたいに内面の行き場がなくてぐずぐずくすぶらせちゃって、文章で消化するしかないひとは、少ないのかもしれないなあ……。

福岡はビジネスマインドを背景にnoteに興味をもつひとが多い気がしていて、それはそれでもちろんありだと思いつつ、一方で自分みたいな日常のとるにたらない系(?)noterさんにはあまり出会わないなあ、と感じていたけれど、それもよく考えたら、ここの土地柄が関係しているのかも知れない。

これはわたしの妄想なので、まだほんとのところはわからないけれど。

それでもきっとみんな、なんらかの気持ちをもってnoteというキーワードに興味をもって、この場に集ってくる。だからその背景をひとりひとり、もっとじっくり聞いてみたいなあ、という思いがある。

聞いてみたら、実はわたしの妄想なんてやっぱり妄想で、もっとぜんぜん、違う思いを持っているかもしれない。ただせっかくnoteというキーワードに何かを感じたひとが集う場だから、その思いをどっぷり語り合えたらなあ。

そんな感じの場を用意したくて、池松潤さんや、ブックバーひつじがのシモダさんや、福岡市美術館“中の人”さんといっしょに、また小さなmeetupを準備中。4月10日の夜に。

みなさんそれぞれの、noteにまつわるいろんな気持ちを聞いてみたい。

それに、まだちょっとこの輪を遠巻きに見ている福岡noterさん、九州noterさんもいらっしゃるんじゃないかなと思う。たぶん自分も、第1回に参加していなかったらそうだったと思うから。そんな方々にも、ぜひ、新たに出会ってみたい。

* * *

イベント終了後、「ひつじが」に普通のお客さんとして残って、追加で1杯だけ呑んだ。だってバーに呑みに行けるなんて機会、育児中はそうそうないもの。このチャンスを逃してたまるか。

シモダさんが、おすすめのラ・フランスの果実酒があるというのでそれにする。なんというのだろう、あの、本物のラ・フランスの、つぶっとしたざらっとした果肉の感じと、芳醇な香りがそのまんま残っていて、とっても美味しい。

しかもその果実酒を扱う、別のお店の店長さんが、そのとき、ふつうにひつじがの客席にいらっしゃって、シモダさんが紹介してくれる。こんにちはと挨拶して、ちょっとことばを交わしたりする。

福岡の飲み屋のこういう感じ、すごいなあといつも思う。いろんなおもしろいことやっているひとが、突然「おとなりさん」にいる感じというか。東京ではあまり味わったことがない。いやたぶん、東京でも一部の常連さんが集うお店みたいなところではあるのだけれど、福岡はけっこういろんな飲み屋でこういう光景が繰り広げられてる気がする。母数が多い。裾野が広い。

イベントで話疲れてのどが乾いていたので、ラ・フランスのお酒をジュースみたいにごくごく飲んだら、件の店長さんに「ものすごい速さで減ってるね」と笑われてしまった。

反省して、後半はブックバーに置かれた穂村弘のエッセイをぱらぱらながめながら、じっくりと呑んだ。ひとり、バーのカウンターで呑めるという贅沢さを最大限に噛み締めながら。

ラ・フランスのお酒はとても美味しかった。

自作の本づくりなど、これからの創作活動の資金にさせていただきます。ありがとうございます。