ロッククライミングの話
ロッククライミングにはたくさんのスタイルがありますが共通しているのは「登り切ってこそ」ということでしょう。もとは山岳行為におけるアプローチのひとつだと考えれば当然かもしれません。そんなロッククライミングの中で最も崇高とされているのは、一回目のトライで登り切る「オンサイト」です(厳密に言うと少し語弊がありますが)。
この「オンサイト」がクライマーにとっていか価値の高いものかを伝えるのは難しいですが、”1つのルートに対してオンサイトのチャンスは1度きり“かつ”身ひとつでのクライミングには2度目はなかった“ということを考えていただければ何となく見えてくるかもしれません。言いたい事とは少し違いますが、ここで世界的なトップクライマー・平山ユージ氏のオンサイトに関する記事を1つ紹介しておきたいと思います。
加えて、実力を超える難度の岩を登るというのは安全面でも課題があります。マットやロープを使い安全を確保しながらトライするとは言っても落ち方によっては大怪我や死も目の前です。自分だけでなく周りへの影響も考えて、できそうもないものには手を出さないのが懸命です。
こういった点を考えながら読んでいくとロッククライミングの歌詞に出てくるこの部分はどうでしょう。クライマーとしては少々軽率に思えます。
一方で、クライマーにはどうしても登りたい岩と出逢ってしまうこともあります。
誰かが登っている姿を見て「自分も登りたい」と思ったり
誰も登ったことのない岩に憧れを抱いてみたり
目の前に見える岩がただ何となくかっこよく見えたり
できないものへの挑戦がクライマーを成長させ、クライミングというカルチャーを発展させてきたのもまた事実です。
登山とは切り離され独立した“クライミング”が繁栄した現代においては、できる/できないとは別の「登りたい」と思うことこそがクライマーをクライマーたらしめるものかもしれません。
話を日向坂四期生に戻します。
彼女たちにとって憧れるものが何で目指すものがどこかは分かりませんが、どうしようもないクライマーにとっての「登りたい」と同様の、理屈じゃないものもって突き進んでくれたらいいななんて思いながらこの歌を聴いています。