詩集2 5 返答詩集2 5 日記詩集2 5 おまけトーク(ルーティンを手放してバランスをとる)





詩集
「失敗の意味」

子どもの時にしかできない失敗が
きっとたくさんある

今のうちに できる限り泣いて 笑って
たくさん走って 遊んで
いっぱい怒って 叱られて
その倍くらい抱きしめてもらって

大人になったら
生きていてよかったと
思えるように

返答詩集
「変わり果てた空に」

雲は流れて 風に流されて
形を変えて 心のように旅をする

不安に振り返った道は どこまでも平坦で
見慣れた地平は 彼方まで伸びていて

彼方には
確かに乗り越えてきたものがあったはずで

辿り着いたのは
緩やかな道だった

空を見上げて
溜息一つ

この心も
雲のように自由になれるだろうか

雨の雫が頬にあたる
空も溢れる憂いを隠してここまで来たのだろうか

世界は抱えきれない悲しみのために
涙を流すのだろうか

心の中に あの空に
咲く花のような 太陽があったはず

不安がもたらす暗雲さえも
射抜く先を

灯台に導かれるように
漆黒の闇の中を 険しい崖を
登ってきたはずだった

淡く揺らいで 見えなくなってしまった
雨に打たれて 幾万の雫に包まれて

もう今の自分は
かつての自分ではない

歩んできた過去に 躓いて
傷いて 挫けて 倒れてしまったのか
時の中に 埋もれていってしまったのか

夜明け前の闇 冷たい雨に打たれて
宵闇の中で 彷徨い歩く

いつか訪れる朝陽に
幸せな頃を思い出せるだろうか

過去の自分が守ろうとした
光の当たる場所まで連れて行ってあげられるだろうか

二度と手に入らないのなら
胸の中に握りしめていたい
忘れないように
決して消えない星のように

花は光に出会えなければ
散ることもなかった

願いは叶わなかったかもしれない

束の間でもこの手が触れた瞬間があったから
薫りを運ぶそよ風が吹き続けている

確かに残った温もりを頼りに
見えない星を探し続けている

日記詩集
「夜に光る星は夢のように」

生きることは恐ろしくて
難しいことのように感じてしまう

後から振り返れば生きていけると思えるから
命というものは不思議なもの

生きることは案外簡単なのかもしれない
生きることが当たり前だとは思えないのだけれど

本来生きることはとても苦しいものだと思うのに
忘れる瞬間に救われている

恐怖が終わりを告げた時
闇を照らす星は昇るだろうか

花はいつか咲き
雨はやがて終わり
夜は必ず明けるのだと信じて

闇の中を歩き続けている
夜空に光る星を見つけるために夢を見る

詩人です。出版もしております。マガジンで書籍のご案内もいたしております。頂いたサポートは出版の費用にさせていただきます。