詩集2-1 返答詩集2-1 日記詩集2-1 おまけトーク(しんどさの正体について)



詩集
「君の傍に」

歩いていくほどに遠ざかって
遙かな場所に置き去りになっていて

見えなくなってしまった

大事なものだから
胸に抱いて いつも思い出していた

想いは色褪せていく
いつのまにか薄れていく

遠い記憶
彼方に消えたはずの流れ星

すくい取れない宝石
取り戻せない涙

思い出の隙間を辿るように
探すように手を伸べて

奥底の自分自身を見つけたら
何を伝えられるだろう

零した願いに
今から寄り添うことはできるだろうか

言の葉の欠片を拾い集めるように
記憶の断片を繋ぎ合わせるように

無くしたものにもう一度出会うことはできるだろうか

返答詩集
「世界を初めて見た時」

初めてこの世界を見た時
瞳には何が映ったのだろう

世界は輝いて見えただろうか
眩しくて見えなかっただろうか

手を伸ばしても
届かなくて

目を細めて 泣いて 笑って
奇跡みたいな美しさがあるみたいに

時を重ねれば 眩い光にも 見慣れていく
時が過ぎれば 輝きさえも 色褪せていく

日々の煌めきは平凡な光でしかなくて
つまらなくて 虚しいだけの毎日

日常を生きるだけで息苦しくなっていく
重みに押し潰されそうになる

どうしようもないくらい 生きることの全ては この背中に託されている
言い訳なんてしても 残酷なまでに 現実を突きつけられている

後悔して 泣いて それでも生きて
笑って 眠って 祈ることくらいしかできなくて

手に入らないなら
無くさないでいられる

ずっと彼方に輝いて

思い出せるだろうか
奇跡のような日々の彼方を

日記詩集
「故郷を探して―夢の彼方に―」

世界の果てに夢を見たから
旅を始めた

届かない唄を聴いて
見えない景色を見て

集めた花束 大地の欠片 星の塵 虹の墜ちた涙
夢の潰えた雷の瞬き 信じた月が墜ちた闇 再び昇る太陽の光
全てを湛える空の色彩

拾い集めたものは散っていってしまった
この世界には自分の居場所はないのだろうか

出会えるだろうか もう出会えないかもしれない
心はいつも揺れている

この旅路は孤独に終わるかもしれない
歩む意志も揺らいでいる

もう旅をやめてしまおうか

最初から信じなければよかったのかもしれない
目を閉じる

夢のようなものだから

今まで抱えてきたものを
全て捨てようとした

夢の彼方から
風のような出会いが訪れる

雲に空いた穴から差し込む光のように

舞い散る言の葉のように 突然微笑む虹のように
緩やかに満ち欠けして出会う満月のように

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