23頁「変わりゆく切なさを内包したカラフルな町並みの中で【キューバ・ハバナ→メキシコ・カンクン】」
Ⅰ
変わらないものがあると立ち止まりたくなる
通り過ぎたものたちと もう一度 出会えたような
懐かしい気がして
知らない場所で 知っているものに出会う時に
自分の中の大切なものに出会える
すべて 変わっていく
私も あなたも この 町も
それを寂しさと呼んでも いいのかしら
どこか遠いところにいるひとも
それはもう会える距離
「好き」に出会わせてくれて ありがとう
その時 私は一人ではなくなる
何処にいても 独りでいても
Ⅱ
言葉が一番降ってくる瞬間は帰り道キューバのハバナ空港の途中午前10時
皆とたった5日間の旅空気を吸い御飯食べ街角曲がり海泳いだ写真は足跡
早く行かなくてはだって国が変わりゆくからけれどひるんでいた一人で
でも「ひとはすぐに絶えてしまうから」
命がどこまで続くかなんて世界がいつまで平和かなんて誰にもわからない
「じゃあ、一番どこへ、行きたい?」私の心は中米と言ったその時
仲良しの子が「どこかで会えそうだね」という距離にいた地球の裏側
町並みは可愛かったボロボロの建物は愛らしかった
モヒートやピニャコラーダキューバ生まれのビール「クリスタル」は夏の夜
言葉を操りながら生きているのでしょうけれどキューバは表し難い好ましさ
「今まさに変わりゆく国と街」刻一刻変わってゆく切孕んでいた切なさ
便利を求めて慣れたらそれはもう基準テレビもトイレも通信も食事も
そうじゃない国は「なんだか懐かしくて」私たちは快適さに溺れている
キューバが変わることは「さみしい」ことではない懐かしさは正義ではない
一人が良いなんて言い続けるのはやめよう「誰かと一緒の方が、楽しいよ」旅を続けるけれどきっと「ひとりきりではない」カリブ海を飛びながら想う
旅はどこへ行くかじゃない(そうかもしれない、いや、でもさ)
誰と行くかなんだ(やっぱりそうなんだ)
だって景色は誰かと見たら二倍楽しめる
誰かと分け合った分だけ楽しさは温かくなる
懐かしくて暖かくてまだ終わらないで続いてほしいと願う日に似ていたから
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