26頁 「crybaby」



探している 涙の理由を
溢れ出た感情が 消えないように

涙脆いのか
脆いのは心の方か

月日が経つほど 変わっていく
思ったようにも
思ってもない方へも

好意は理想の裏返し
履歴が休日を侵食する

重さのない言葉がこんなに重くなるなんて
ばかみたいだなって 思った

心は 形がなくて 思った通りにならなくて
所有物にさえもなってくれない 形のある体と 交差して
流れていってくれない なくなってもくれない
なんて残酷なの

愛することも
愛されることも

都合よく無責任な言葉は風みたいに軽くて
その軽さが私をほんの少し 確かに傷つける
期待を蹴落とすように孤高になっていく
信頼と確信があんなにも遠くて 遠い月に泣いた

波の音がうるさい
涙と同じ味のする海が
満ちては 引いていく
まるで心みたいだって 思った
海も泣いているの

この手で 何を大切にできるだろう
何を 手放せるだろう
何を 決められるというのだろう


最近気付いたら泣いている目をこすった指についたマスカラ
分からない痛みに弱くなったのか浴びせられる痛みが増えたのか

男の人に好かれれば好かれるほど素敵だと思っていた十代
左手の人差し指の切り傷を伸びた爪でなぞる22歳
好かれるのに幸せになれない理想と本当の私の差に泣てしまう
お誘いを片っ端から断り履歴を消した指が好きな男の名前で止まってしまう

抱きしめたり頭を撫でたり頰を掴んだりするくせに所有物にはしてくれないあなたの気まぐれに散々付き合わされて訪れた2回目の冬

誰も信じない数字だけ出そうと泣きたくなって一人で職場の裏口で泣く孤立
「俺のことだけ信じてたらいい」ひどい人、それでもあなたはわたしの全て

すこし疲れてしまったみたいどうやってみんな決めるんだろう潮時について

どうしてわたしはまだ泣いているんだろう
私の手を幸せにしてくれるものに 私が不在であるなら
それはどうしようもなく悲しくて寂しいのでしょう

あなたはあなた自身のために 幸せになるべき 素敵な女性


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