27頁 「旅と共に生きること。行きたい場所に、辿り着く美しさ【ペルー・マチュピチュ/クスコ】」
――言葉にしたら
目にした風景とずれてしまうことに ためらった
できることなら 胸の風景を そのままで 見せてあげたい
だから 変わらないように 言葉を探した
空を見て、彼方の山と雲と
目には見えない時間の流れが、こうしてあること
旅に出るのは簡単さ
決めるのが難しいんだ
Ⅰ
世界は美しい
目に見えるだけが 世界の姿じゃない
思っているよりもずっと 思いもしないくらい ここは広いんだって
変わらない日常と
変わってしまった未来は 思っているよりもずっと近くで 揺れている
独り旅
そうじゃない
自分と 旅している
自分一人と 自分が 旅をしている
離れてたくなくても
止まるわけにはいかない
ここはまだ旅の途中
だからこの先はまだ続いていくと信じている
忘れても大丈夫
雲の上はいつだって晴れている
Ⅱ
これだけ心が動いて私が文章を紡ごうとしないのは、本当に、本当に珍しかった。感動や感情が文章やことばで出てくるタイプなのだ。けれど今回動いたのは写真だけだった。
ペルーの空を見てみていた時間を惜しむようにいつも降ってきた言葉のまま
標高3,400の山々に落ちる雲の影壁を白く塗る青年ゆったりと歩くリャマ
雑誌や旅の写真集を見ては憧れのため息をついた旅に出るぞマチュピチュへ
決めたのはもうとても前なのに来られたのはやっとの今でついにと私は想う
小さな村鮮やかな装い誘う小道目に入る香る歩むもうどうしたらいいのと涙
お祭り騒ぎカラフルな衣装広場に集い踊り飛び跳ね抱き合い消えていく夜
石畳に響くフォルクローレの音色犬が吠える虹色に光るクスコの市旗
どうしたらいいだろう沈没してしまいたいオーストラリアバイロンベイ以来
行きたい場所が胸に秘めた土地があるなら訪れる一瞬は数日は人生を変える
だからこの世界は美しい
厚い雲が覆う空に晴れの待ちの時間と思うかずっと晴れないと決めつけるか
世界は私が笑えば笑う信じてもらうのを待ってもきっと誰も信じてくれない
行けると決めたら行けるいつだって旅と明るい未来に連れていくのは自分
そして「私が選ぶ」と決めた次の瞬間に出会う仲間たちもう好きだペルー
まだ止まるわけにはいかない人生は長いと信じたいもう一度またこの地へ
どうかまたそのままの笑顔でいてと心から願いながら雲の上は晴れている
人生はいつだって 続いていく
人生とは そういうもの 出会いながら 別れながら 繰り返して
私の中で 誰かの中で 見えない糸みたいに結びながら繋がっていく物語
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