「胸の中で咲く薔薇のような」


それはバラの囁き
一輪のバラがかつて歌ったのは愛の言葉

胸に秘めた花一輪を枯れないように守りながらどこまで行けるだろう
これはそんな挑戦の物語をうたった 誰かの歌

夢は現実の中に埋もれていつか咲く時を待っている
それは決してかけ離れたものではないことは愛の詞で誰かが歌った

未来は両方に広がっている
歩き続ける限り それは同じ場所できっと出会う

なにも捨てない
置き去りにしない
過去にも戻らない
すべてを抱いて次の場所へ
ここで得たものを何も失わないままで

鬱になったことも
「都落ち」したことも
人生のデッドエンドを決定付けたと思っていた

でも そうではなかったみたい
物語は まだ 続いていた

あの経験がなかったらこの場所に辿りつけなかった
花が美しいことさえ知らずにいた

過ぎてしまえばいろんなことが「大したこと」ではなくなる
東京もモード誌も一度手にした権力や肩書きも
世界のすべてだと錯覚した環境も正しいことでなかったことも

誰かが言った
人生は冒険だ

きっとそうだ
これは明日へ向かうための一つの準備だ
そして私はこれからも何度だって旅に出る
私の行くべき道で生きて行く

すぐそばで花が揺れて
甘い香り
心に深く沁みていく
雫のようなそれは 











返答詩集「どうか その優しさが あなたのもとへ」収録
https://note.com/poet_ohno/n/nb591c815e8ff?magazine_key=m9f4e03d273ef

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