詩集2-2 返答詩集2-2 日記詩集2-2 おまけトーク(循環的な人間関係に身を置くということ)


詩集
「歩み」

どうすれば大切にできるだろう

受け取った言の葉を
両手に包んで差し出せたら

伝わるのだろうか

返答詩集
「光が照らす雨夜の月」

夜空に消える流れ星のような

胸に抱き続けて
叶わない夜空に零した光

孤独と夜を愛した星の空

朝陽の眩しさに目を背けて

夜空の星が照らしてくれる道を――信じることができたから
朝陽の光に導かれるように――歩んでいた

世界という洪水に飲みこまれて光が見えなくなって
行き交う鳥たちの鳴き声に分からなくなって
右を見た途端に風が旗を左に凪ぐような場所で

耳を貸さなくなっていた
聞こえなくなってしまった

押し寄せる日常に
落とした宝石が
幾億の砂粒のような出来事に
埋もれていくように……

空を覆っていた雲の隙間から
光が射し込むように
道が拓けることがあるかもしれない

忘れてしまっても
報われなかったとしても
奪われることはない

失ったものが蘇ることはなくても
欠片を取り戻すことはできる

この道を歩むという決意が
残した想いだけは

歩み続けたからこそ
生きていたからこそ

出逢うための
道なのだから

日記詩集
「石碑」

過去になくしたものはどこにあっただろうか

山を越えて 谷を彷徨い 森に倒れて 海に沈んで
太陽に溺れて 砂漠の幻影に迷い 辿り着いた草原
緑の大地 空の海 棚引く雲と淡い月

オーロラも 流れ星も 咲き乱れる花も
彼方に躍動する山脈も 全ては地平に還っていった

世界はすっかり変わってしまった

立ち尽くして 寝転んで 空に手を翳す
心に言い聞かせようとしても

忘れることなんてできなくて
願わずにはいられなくて
何も考えず ただ呼吸して 生きて

蝶がひらひらと舞い
雲が流れて姿形を変えて
風は唄のようだった

虚しくても 悲しくても
寂しくても 諦めようとしても

見えない星を探して
歩み続けている

伸ばした手が明日を描き
歩んだ道が今を形作ってきた

指先は星に触れそうなのに
空はあんなにも遠い

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