大野弘紀「自分を語るということ」

セルフレビュー第二弾

前作が全く分からずに編集者に丸投げして作ったのに対して
今作はすべてにおいて拘った作品だった。
そういう意味では、こちらの方が、好きだったりする。
でも、過去の闇もまた私自身なのだから、目を背けて蓋をする必要もないな、と思った。そっと置いておいて、ここにあるねって、分かってあげるだけでいいかと、思った。
そういう意味では、前作は出版した時点で、既に意味を成し遂げていた。

そうして、二作目。

続いていると思った。
というか、引き継いでいる。

作風は全然違うけれど、確かに何か受け取って進んでいる。

全身全霊で語りかける
訥々と――生きる意味を

私は作り手だから
読んでも、共感しかしないし、既知でしかないが

前作で語った生きる苦しみに
生きにくさがあるのではないかと考察し
さらにそれは人間関係や社会の在り方にあるのではないかと示唆していて、当時の私を確実に救っている。

それだけ分かれば十分な作品でもある

一作目も二作目も、まるで点だ。一点の心情をすくいとるためだけの言葉であり、窓口が全く広くない。極端に狭い。

そういう意味では、この生きづらさについては、まだ決着はしていないのかも、しれない。

自分だけの苦しみは、まだ誰にも、共感できうるものではないのだから。

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