25頁 「幸せだって言ってんだから、みんな私を祝えバカ」



一人なんて当たり前
最初からそうだった

きっとこれからもそう
一人が寂しいなんて

それではいけない?
生きることなんてそういうものでしょう?

幸せはひとそれぞれ
私にとっても あなたにとっても
誰もが いつの間にか 忘れてしまう

不幸は幸せでないことではないの
自分の幸せを信じられないことなの

誰かと生きて行くのも
自分と生きて行くのも

結局は一緒 引き受けるものが違うだけ
どちらにも不安はあるし どちらにも幸せな瞬間はある
どちらも それなりに

どちらというわけでもなく
どんな人生でも
生きていることに祝福を
「今日を生きていてくれてありがとう」

重いものは明日に預けて
それだけでいいやって 笑って歩いていけたらいい

今日の私は 昨日まで続いていた私が作ったものだから


胃から悲しい寂しいを咀嚼して嗚咽電柱で鼻血酩酊してトランス状態
家に帰るとやっぱりホッとする誰もいない
リュックを置き上着靴下服を脱ぎ下着を外しベッドで充填ベッドへの道のり

さみしいなぁ、さみしいさみしい。

毛布をたぐりよせてギュッと握り笑ったこの世で一番幸せを感じる瞬間
酔って孤独を抱き眠る夜が愛しい恋人おらず孤独こそ理解ある最強の恋人

誰かの寝息を聞き眠りたい孤独が手に負えない夜は引き受けるべき幸せ

聞き飽きてヘドが出そうだ「早く幸せになれるといいね」
寂しさにかまけてうっかり適当な結婚をしないよう気を付けている幸せ

でも私、けっこう幸せなんですよ
毎日楽しいし、結婚は今のところいいかな
「幸せの形は人それぞれだけど」「あと3年はまだ大丈夫だよ」
フォローされる要素がない同じ言語なのに空を切るコミュニケーション

信仰の自由は保障されているのに生き方を選ぶ自由は保障されてないらしい
「あなたのことを想って言っているのに」

祝福されるのは“正当な”ライフコースだけだと相場が決まっているらしい
ありがとうございます受け止めました開封せずに棚に仕舞ってゴミ箱へ

私のことを想っているならそのままの私を祝福してくれ
至近距離で刺す実感もない年齢経験立場を盾に未来を人質に想像力がない

どうして結婚する人が祝福されるのだろう独身は祝福されないのだろう
幸せにすらなる必要だってないと思っている不幸さえも自由

家で開けた包みに寿司10貫小さく拍手「独身おめでとう」泣きながら
他人からの祝福は明日を生きる活力になる24時間365日幸せな人間はいない

迷いながら幸せだと思う方向に歩みを進めようとする人間に必要なのは祝福
折れちゃいけない前に進んでいかなきゃいけない幸せは小さな選択と祝祭

自分を信じているなら大丈夫
揺らいでも大丈夫 また同じ場所に戻ってこれるこれが私の生きている道
この一歩一歩を祝福しよう 人生讃歌は毎日心の中で歌われていい
「私の人生だ」それはもっと愛されていい私自身の手によって
私の選んだ生き方は毎日の積み重ねでそうだから 私が信じないでどうする
幸せは未来にあることを信じるものじゃない 今この手にこそ必要なんだ
(そして私はそれを選ぶことができる自分の信じたこの手によって)

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