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劇場版少女☆歌劇レヴュースタァライト 感想と考察ともろもろ(ネタばれあり)

ヘッダーの画像は、劇場版の過去回想で度々登場するカットのGoogleEarthキャプチャです。どうやら六本木方面からの眺望のようです。

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GoogleEarthと地理院地図、優秀です。

さて、劇場版の素晴らしい考察やら感想やらは既にネットに出尽くしているのですが、それらを踏まえつつ私も感じた事や考えをつらつら書いていきます。ネタばれ有りです。

冒頭

映画冒頭で華恋とひかりが「別れのレヴュー」を演じたのは確かな様ですが、これは「ロンドロンドロンド」で大場ななが​仕掛けたものなのでしょうか。だとすると、とんだスパルタお母さんですね、大場ななさん。
劇場版の終わりに演じられるお別れ、「最後のセリフ」と対になる重要なパートです。

弾けたトマトに驚いて、スクリーンを凝視する観客の視線が華恋の瞳に吸い込まれていく演出に毎回「おおっ」てなります。劇伴に流れ続ける再生産のテーマ、溶鉱炉とキラメキ、塔に絡みつく東京タワーの赤い紐(華恋?)、崩壊する塔、線路になる影など、メタファーだらけで、初見さんを含め我々にこの映画を見るにあたっての心得みたいなものを提示された気がしました。時間軸をバラバラにして再構成しているのはTV版の4話、華恋とひかりの電話での対話のシーンと同じですね。
終始カッコイイひかりの口上、「愛城華恋」の呼び掛けとタイトルロゴ掲出で鳴る、低弦とピアノの「ダーーン」がめちゃくちゃしびれます。

スティグマータ

ここで映画クライマックスの「華恋の死と再生」を見出している方がいました!うひゃぁ。

列車に跳ね飛ばされる華恋

2022年4月18日の舞台挨拶にて監督より、華恋は「受けれたくない現実(ひかりとの別れ)」という列車にはねられた、といった説明がなされました。近づく列車の走行音、不安げな華恋…そういう事だったんですね。

進路

ここではっきり「〜します!」と述べるのは真矢とまひるですね。双葉は「挑戦します」だから微妙。そして純那と華恋の実習風景で奏られる音楽で涙し、華恋の「なぜ、なぜ〜」で涙し、大場ななの「友よ…」で「ああ純那よ」ってなり、華恋の瞳に浮かぶ涙を見て、観客自身も泣いていることに気付かされる(泣きますよね?)…この一連の流れが素晴らしいです。ななの「友よ」はダブルミーニングでしょうか。【追記】華恋と純那の武器、「華恋とひかり」を象徴してたのですね…

ところでこのシーン、実際にはその場にいないはずの香子や双葉も、まるで華恋と純那のやりとりを観ているような演出がなされます。離れていても共感できる仲間であること(どこかで監督が言っていたような…)、あるいは、各エピソードはあちこちで展開される劇で、互いにそれらを観劇しているのではないか、とも思わされるスタァライトらしいギミックで大好きなところです。TV版でもありましたね。

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HMSベルファスト

尚、ひかりが台詞を読み上げているシーン、テムズ川に浮かぶのは大戦中の軽巡HMSベルファスト。ひかりは多分一ミリも興味ないでしょう。「征かねばならない、あの大海原へ」という台詞は係留中の彼女(艦)の言葉なのかもしれません。

華恋とひかり

幼少期の華恋について描かれます。ひかりの天然ぽい無邪気さと引っ込み思案な華恋が意外ですが、カスタネットを通してひかりが華恋のスイッチを入れるシーンが好きです。「カスタネットの上側が青」っていう点を考察されている方がいました。華恋の笑顔、何かが降りてきた感じがしませんか?

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2人が遊ぶ公園「区立わくわく公園」、実際は「のびのび広場」なのですが、そこはほら、「ひかりが華恋をわくわくすることに誘う場所」っていうことです。ロロロから「わくわく広場→わくわく公園」と名前が変わっています。この辺りは滑り台のシーンが変わっている事等考察のネタになっていますが、私は「同じ舞台はない」ということで片付けています(笑)。監督が描きたい事に合わせて舞台のセッティングを変えるのはよくあることで、それは演劇でもアニメでも同様なのでは、と。スタァライトってそういう作品ですよね。

2人仲良く手を繋いで保育園から帰るシーンとお手紙のシーンで、あの「スタァライトのテーマ」が流れるって反則だよ。涙出ちゃうじゃん。(テーマについてはこちらも参考に)

ひかりちゃんが華恋の家に迎えに来るところ、映画「未知との遭遇」ぽい。華恋の髪にはこの時点にはあるはずのない王冠がついていて、完全にあっちの世界の人になっていました。
【追記】なんと、BDは作画ミスとして修正されることに。個人的にはあのままでも良かった気がします…

wi(l)d-screen baroque 皆殺しのレヴュー

ランドリーや談話室の様子などクロディーヌと香子が良い演技をします。Twitterの情報によれば純那のスマホバッテリーが77%らしく(後で私も確認しました)、既に大場ななの用意した小道具と化している?


電車では皆がエルドラドや進路など思い思いの事を喋っていますが、ななと華恋の会話は「スタァライト」のようです。後のシーン「あの日、舞台少女、愛城華恋が誕生したんだね」に続く会話なのでしょう。

電車が変形し出して、TV版履修済み観客が「そうだこれスタァライトだったんだ」と思い出します。ななが刀を抜くと風が止み2本の赤い旗(二つ星?)のはためきが止まる演出が好きです。列車は走り続けており、風圧があるはずなのにこの物理法則を無視した演出、大道具係さん大変ですよ。そして大場ななの軽やかな動き、素晴らしいですね。彼女、TV版OPから宙を舞っていましたからね。遅れてやってきた本差(輪)を迎えて皆の星を落としていきます。純那には視線も合わせずスパッと…

既に舞台に立つ女、天堂真矢と刃を合わせるシーン、悲しそうな表情の大場ななと後ろで座り込む純那が印象的です。真矢の目が「大場なな、また何かしでかしたのですね」と語っていました。

大場ななは分裂したのか

Twitterで見かけたこの解釈、個人的にもかなり推してます。電車が変形し出した時には既に大場ななと華恋はいなかったので、別の場所で劇を続けていたのでしょう。先程の華恋とななの「スタァライト」についての会話に続くシーンですね。まさにワイドスクリーンバロックです。ただ、これは大場ななが分裂できる特殊なキャラだ、というよりは、同時に別の場所で演じていたシーンをつなぎ合わせたスタァライトらしい構成、と私は解釈します。いや、別の場所で同時に演じること自体特殊なんですけど。

ところで「wi(l)d-screen baroque」、よく聴くと冒頭のななが歌うメロディーが舞台少女心得を連想させて、ああ、これは大場なな版「舞台少女心得」なんだと納得しました。

ななは少女達を大人にしたのか

「私たち、まだ未成年…」
「お酒が飲めるなな=再演を繰り返した大人」という解釈は既に知られていますが、この言葉を「思春期 - 大人」との対比で解釈したツィートがありました。
純那の言葉を受け、大場ななは彼女達に出血を強いてまで成長を促したのでしょうか。
劇のエチュードみたいなやり取りの裏にある多層的解釈がスタァライトらしいです。

最後まで生き残るのはー

天堂真矢!なな!
クロディーヌのセリフと歌詞がシンクロしてるの、気持ちいい!


決起集会

生徒達が次々と台詞を読み上げるシーンで毎回泣いてしまいます。「舞台少女心得 幕間」の始めの音がピアノでポーンと鳴る。直前にしれっとサビが提示されているので観客は「あ、あの曲だ」と記憶を蘇らせる事ができる、この仕掛けが憎いですね。
劇伴の後半、再生産のテーマやwi(l)d-screen baroque、ki-ringtoneから引用される旋律が印象的です。「wi(l)d-screen baroque」は、やはりキリンとななが仕掛けているのでしょうか。

「共演者はあと2人」で幼少期の華恋とひかり、別れのシーンが提示されます。TV版とは異なる演出ですが先に述べた通り、そもそも別の劇なので気にしません。東京タワーの先が滲んでいますね。華恋の涙で滲んでしまったのでしょうか。実際の東京タワー、雨や曇りの日の夜に見上げるとライトアップされた先端が滲んでいて非常に幻想的です。
追記:コメンタリー付上映において、古川監督が「ここはTVの映像をそのまま使いたかったけど、せっかくの劇場版なので」といった内容の事をおっしゃっていました。この事からも改変に大きな意味は無いのでは、と考えます。

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中学までの華恋

中学までの愛城華恋はひかりとの約束の為ひたすら努力を積む少女でした。ちょっと頑なすぎる気もします。そんな彼女を聖翔音楽学園へ押し上げるマキさん、素敵すぎやしませんか。舞台で登場する「青嵐」も作品設定を厚くしていて良いと思います。それにしも小6華恋のキャラクターデザイン、高校生と幼児期との中間の何ともよい顔ですね。

そしてスタァライトでは珍しい男子登場。私は少しイラッとしましたよ。でも華恋パパの姿が見えないのは父親として寂しかったり。

怨みのレヴュー

セクシー本堂の香子の描写がエロくて…わかります?

衣ずれ音や吐息、香水の香まで想像できてしまう。そして「おい」「表でろや」でかみさんとの喧嘩を連想しました。

歌詞と台詞・演技のシンクロが素晴らしくて、これから展開されるであろう劇場版各レヴューへの期待が一気に高まりました。ここにきてデコトラが活躍するアニメに出会うとは!2人の口上が独立したのも良いですね。小学生の頃アオシマのデコトラプラモを作ったのを思い出しました。

「わかってますんや、そんなこと…ほ?」の香子がまたかわいい。TV版〜劇場版を通じて一番かわいい香子でした。「もう一緒には行けない」とか言いながら香子の薬指に鍵、って双葉も双葉だよ。全く。
デコトラのコンテナの中身は花弁だったんですね。贅沢な荷物だぜ!

割れた鏡で紐を切る双葉、「得物の距離は心の距離」という古川監督のツィートをしっかり踏襲していました。

競演のレヴュー

ひかりVSまひるという組み合わせ、舞台#1ではあったそうですが、#1を知らない私には意外でした。でも同じ部屋の華恋との関係を考えれば確かに避けて通れないですね。レヴューの曲調が多彩で面白いです。本来オリンピックの翌年に公開される予定がオリンピックが延期され、作品公開も延期され、と、拗れに拗れたレヴューです。こちらも歌詞と映像のシンクロが楽しいですね。

ミスターホワイト、ちゃんとひかりを守れるかな?と思ったら一撃でした…

メイスの地響きで観客をビビらせた後のまひる、どこまでが演技で本心かはいつか本人が同窓会で語ってくれるでしょう。ひかりちゃん同窓会から無事に帰れるかな。

サイケデリック・ロック

レヴュー曲「MEDAL SUZDAL PANIC◎○●」でエレベーターシーン後に流れる部分がこれに似ている、と子供に教えてもらいました。ジェファーソン・エアプレインのホワイトラビット。

"White Rabbit" by Jefferson Airplane

で、最近出たのマトリックス4のトレーラー(笑

マトリックスの緑色がまひるのイメージカラーなのも面白い。

まひるがひかりにメダル(ボタン)を懸けて髪をぶわってしてあげるところ、TV版3話で真矢がレヴューに臨む時の動作と重なって、大好きなシーンです。
そして独り舞台に残ったまひるが高らかに口上を述べる場面が強く美しくて、またまた観客の涙を誘うのです。

ミスターホワイトのふわふわ感、菓子パンにしたら売れると思うのですが、いかがでしょう。

狩りのレヴュー

学校という檻の舞台で、大場ななが純那ときちんとお別れできるか、のレヴューです。陸軍風軍服のななと海軍風軍服の純那。なな自身、口上を与謝野晶子から引用したりとかなり混乱してます。自害を迫られながらも傍にトマトが用意してあったりとアフターケア万全だったのに逃げ出す純那…そして、ななが巨大な矢を両断するシーンはめちゃくちゃカッコいい。五右衛門との対決が見たい!

あと、怯える純那を写真責めにするの性癖に刺さるわ。

まぶしかったよ、純那ちゃんがっ
ここでピアノが、シーシーシーソーと運命の動機を鳴らしてるように聴こえるのは自分だけでしょうか。

そして、
殺して見せろよ、大場ななっ」と立ち上がる純那

初めて手にした近接武器でぶつかってくる純那に狼狽えるなな。傷ついたななの本差(輪)が純那の抵抗の激しさを物語っています。「お前は何者だ、星見純那!」って台詞、面白いですね。何度も再演を繰り返してきた(何度も純那を見てきた)大場なな特有の表現かも知れません。

舞台が切断され、一方の舞台とともに下がっていくななに上段から斬りかかる純那。12話で華恋が作ったスタァライトの逆をやっていて興味深いです。劇場版のレヴューでは舞台から落ちる(塔から降りる)シーンがあるという考察を見ましたがこのレヴューも例外ではないようですね。

最後の別れのシーン、元々劇伴がない予定のところ「やはり必要でしょ」と追加されたそうですが、その曲調と相まって涙無しでは見られません。大体この作品、こっちが泣くと必ずキャラクターも泣いているシーンが被ってきて「ずるい…ずるい…ずるいっ」てなります。純那が「泣いちゃった」の台詞の後に一瞬眉を寄せて泣きそうになるのを「きりっ」と律して前に進み出す演出でさらに観客を泣かせにきます。もうななに駆け寄って優しく声をかけたりはしないんですね…純那。

レヴュー曲冒頭、中東風の曲調、監督が「メフテル」みたいのがやりたかたったから、だそうです。「メフテル」って何?って調べてみたら、トルコ軍楽隊の音楽だそうですね。


ちなみにレヴュー曲の終わりの方のメロディー、私の頭にはTV版エヴァの綾波レイのテーマが蘇ってきました(笑)。

魂のレヴュー

お待ちかねの真矢クロです。歌唱力のあるお二人に相応しく、クラシックをベースにしたゴージャスなレヴュー。まさに主役級です(違うけど)。TV版で「結構自分を認めてくれていたのね」と思っていた真矢に「ライバルの役」とか言われて「ふざけんな」とクロディーヌ。真矢に「自分自身が可愛い」と言わせるまでが凄いですね。クロディーヌが長剣で自らの腹を突き刺して再生産するシーン、これは純那にはできないだろーな、と思いました。そういえばレヴュー中に再生産するのはこの2人だけではないでしょうか。さらに、互いの口上を奪ってディスりまくるんなんて、やることが高度で、さすが首席と次席です。

ボタン(の絵)を燃やして真矢が舞台に迫り上がってくるところで「誇りと驕り」が「ワルキューレの騎行」風に引用されます。レヴュー曲には珍しく3拍子だし特徴的ですね。そして皆殺しのレヴューと同様、闘いが始まる直前風がぴたりと止みます。結婚式場なのに西部劇の決闘シーンみたい。この静寂の後の怒涛の展開がこれまでの素晴らしいレヴューをさらに超えてきて観る者を圧倒します。そんな中で互いに「可愛い」「美しい」を連発していて、こっちは泣きながらニヤニヤするというなんとも形容し難い感情に包まれてしまいます。
それにしてもこのシーンのクロディーヌの美しいこと…
また涙出てきたと思ったら、機械の鳥が溶けて、真矢の目にも涙が…(だからそれ、ずるい演出だって)。

スタァライトのテーマ

このレヴュー曲は藤沢さん作曲です。なので、ちゃんとスタァライトのテーマが引用されています。
クロディーヌの「俺と賭けをした相手は誰だ?」で聞き覚えのある「スタァライトのテーマ」が!
また「展覧会の絵」からの引用自体が「ki-ring tone」にも聴こえますね。最後、十字架が燃えがるシーンでは、吠える金管楽器の裏で木管楽器により「スタァライトのテーマ」が奏られます。テーマの生みの親である藤澤さんのレヴュー曲だからこそ、2人が落ちていく様がこのテーマで表現されたのではないでしょうか。


スーパー スタァ スペクタクル

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カンカンカンと600段の階段を上がってきた(?)華恋、ななに促され、せっかく「私だけの舞台」を探していたら何故かひかりと再会して「私にとって舞台はひかりちゃん」になってしまいました。でもひかりは「次の舞台へ」行くと言い放つ。独りで立つ舞台、スクリーン越しに見つめる私達の視線に気がついて怯える華恋。まひるとは対照的です。華恋が死んでしまう瞬間、無音になる演出がとても印象的ですね。

ひかりが華恋(回想では、華恋がひかり)を抱き上げる構図が美して大好きです。ジーザス華恋の復活を願うひかりの演技(←舞台ではどんな奇跡だって起こせる、と何方かが書かれていました!)、そして「舞台で待ってる」と見送るひかり(11話とは逆ですね)、灰色の奈落へ落ちる華恋、夜明け前の砂漠、美しすぎてずっと涙が出っぱなしです。あ、さっきから「美しい」を連発していますが、それほどまでにこの一連の流れは色彩、演出、音楽がうまく絡み合っているのです。

ロケットエンジンが12年間の過去を燃やす(あのマキさんまで燃えちゃった)…劇場版で華恋の過去をしっかりと描いてきたからこそのシーンです。何度かひかりが華恋を呼びよせる演出がありますが、これ、死者の魂を呼び寄せる儀式みたいで興味深いです。死者の魂は列車に乗って帰って来るのです。

バミリの棺桶が開くシーン、ここが音楽的にも演出的にもクライマックスです。ファンファーレからの流れはネタばれもされている「Jesus Christ Superstar - Superstar」ですね。磔のバミリから復活!ベタな演出に見えるけどそれがいいのですよ!

↑ 背景のライトの演出とかニヤリとしますね

ひかりの「おかえり」がTV版1話の華恋の「おかえり」と対になっているようで面白いです。新しくなった華恋の口上に私たちが感激していると、ライトが一斉に切り替わって今度はひかりを照らします。先攻の華恋を圧倒するような「私に見惚れろ!」の口上に、TV版12話の2人の口上がなんとお上品だったことか、と思い知らされました。

あなたの目を焼くのはひかり(ピカーっ

ここ、眩しいですよね。私たちにも「綺麗で、眩しくて、痛くて、悔しくて」という気持ちがシンクロして涙が出てきます。華恋は自らの剣『思春期の可能性』を砕き、迫り来る列車に立ち向かいます。そして、、

わたしもひかりに負けたくないっ

華恋の涙、「ズバァー」と吹き出すピンク色に輝くバミリ、この構図と音楽がこれまた私の性癖に刺さりまくって本作で一番好きなところです。ひかりとの舞台の為だけに費やしてきた12年間がひかりに止めを刺された傷口から吹き出していく、と考えると、華恋の中に詰まっていたものがいかに重く切ないものであったかが伝わってきます。約束と運命で2人を縛っていた髪飾りが外れる演出もグッドです。【追記】剣は砕けたのではなく、自ら砕いた、と最近考えています。別記事参照
ここで列車に立ち向かう(ひかりに立ち向かう)シーンは、映画冒頭の列車に跳ね飛ばされるシーンと対になっていますね。

ポジション・ゼロ!(にっ

なんていい笑顔(笑)。清々しく無邪気さも混じるこの顔、わくわく公園でお手紙を渡す時の「決まりーっ(にっ」が重なって、ひかりの「やったー」という気持ちが伝わってきます。

一番オーディションに拘っていた香子が上掛けを外し、皆もそれに続く。卒業していく彼女達への「おめでとう、そして次の舞台で会おう」の気持ちと、「ああ、もうオーディションとか無いんだろうな」と何とも言えない気持ちが半々です。そう言えばあのシーン、大場ななも少し寂しそうでした。

「探しに行きなさいよ、次の舞台を」のシーンでも風が止むことを指摘されている考察があります。これまでのレヴューと同じですね。「風が止む=次の舞台を探す」と考えると、なるほどーってなりました。

通常の映画ならエンドロール中にこっっそり涙を拭うのですが、なかなかそうさせてくれない本作のエンドロール。純那よ、結局あの大海原を超えたんかい!そして大場ななの少女ぽい服装が意外でしたね。あと…ひかりと同棲でしょうか。どうだろ…

そして…華恋も次の舞台へ!

砂漠に置き去りにされた華恋の剣『思春期の可能性』、風に飛ばされてゆく上掛け(進路の決定同様に、華恋の上掛けが一番最後です)、遠ざかる列車の音。意味深ですね。12話で砂は星屑の象徴、砂漠はスタァライトの象徴でもありました。

「ディスカバリー!」の歌詞に

向かい風のふもとで 夢を繋ぎ止めるボタン

「世界を灰にするまで」の歌詞に

向かい風にひどく煽られ

「スーパー スタァ スペクタクル」の歌詞に

向かい風に煽られても

と謳われる部分があります。先の風についての考察や飛んでゆく上掛けを踏まえると、この最後のカットは「スタァライト」その世界全体が彼女達の過去となって置いていかれたように感じました。

このスタァライトという映画、観賞後の感覚、帰宅後の感情、数日経ったあとの考察、何度も楽しめる素晴らしい作品でした。まだまだ分からないことだらけですが、円盤が出たらまたじっくり観て聴いて諸先輩方の考察を読みながら考えていきたいと思います。

追記

Blu-rayのジャケットデザインが発表されました。砂(スタァライトの星屑?)を払ってるの、エモってなりました!ネットの情報によれば靴底の日付がアニメ開始日と劇場版公開日だそうです。うひゃ!


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