いまはなくなったらしい、「青春基地」の女子高生記者さんへの手紙。

 きょう、なにを勘違いしたのか、サラリーマン人生から落伍した私にビジネスマナーを教えよという話(笑)がありすったもんだしていたのだが、ふと思いついて「ビジネスマナーの真髄って、やっぱ謝罪ですかね〜」と口にしたら、それをやれということになってしまった。


 そこで、急に態度をえらそうにして、この件について語る。


女子高生記者さんへ
 このたびはお気の毒でした。しかし、最後に運営がいやいや公開したと思われる、あなたの謝罪文は素晴らしかったと思います。あなたが、最後まで自分で状況をコントロールし、自分の責任を果たそうとしたことが伝わって来るからです。これが最初に出ていれば、事態は変わっていたと思います。気持ちを表に出すことを運営から禁じられたあなたの心の中はいかばかりだったでしょう。

 きちんとした謝罪ができる大人は、実は少ないのです。それどころか、若者がなにか失敗したときに、よってたかって、それまで彼、彼女が積み上げてきたものを奪いに来ます。失敗をいいことに、それまでの手柄を自分のものだと主張したり、培ってきた人間関係や人脈を横取りしたり、自分は知らないと裏切ったり。社会に出ると、そんな大人がうようよしています。今回の件も、あなたの意図や気持ちを外部にきちんと伝えるべき大人が、自らの保身で謝罪をねじ曲げたと言え、「奪う大人」のひとりであったのだと私は思います。

 その意味では、早いうちにこういう経験ができたあなたは「よかった」と言えるかも知れません。今度はきちんと一緒に謝ってくれる、あるいは謝り方を教えてくれる大人の指導を仰いでもいいし、自分ひとりで情報を発信し、起きたことには自分で最後まで対処することにしてもいいと思います。

 そのときには、①事実を明らかにし、②なにがいけなかったのかを分析し、③いまできる、できる限りの言葉で謝る、という「過去・現在」を明らかにし、④今後、再び起こさないために自分がどう努力するかをきちんと示す「未来」を相手に示すことができれば、仮に怒らせた相手がいる場合はその人も、「炎上」と言われるコメント集中状態現象を結果的に作るネット空間の人たちも納得すると思います。

 さらに、①〜④の前に、相手の気持ちになってみて、この手紙の第一段落の末尾のように、その気持ちに寄り添った言葉を探してみると、これらの作業はもっと確かなものになるでしょう。

 もしかりに、誰かと議論になることがあっても、きっと、うまく着地することができるようになるでしょう。まさにそのとき、あなたの表現する力はロケットを飛ばしたように伸びるのだと私は信じています。

 あなたの、文章を書いて表現したいという「志」を、曲げないようにしてください。

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