大人の発達障害〜仕事につまづいたら
私は福祉の相談員をしています。
最近は、発達障害の方の相談も多いです。
大人の発達障害で1番多い相談は、仕事が続かない、職場の人間関係がうまくいかなくて、うつになった、自分の適職を知りたい、など就労に関する相談です。
若い人もたまに来られます。高卒の18歳や大学4年生です。
発達障害の人が使える就労関係の福祉のサービスとしては、
・就労移行支援
・就労継続支援A型
・就労継続支援B型
・就労定着支援
などがあります。
発達障害の人が仕事でつまずいたとき、利用希望が多いのは、就労移行支援です。
今日は、就労移行支援に関して、利用条件や現状、私の思いについて書きます。
発達障害の人に人気の就労移行支援って?
就労移行支援とは?
就労移行支援とは、仕事のための訓練をし、就職につなげることを目的とした福祉サービスで、最近は発達障害の人向けのプログラムを用意している事業所も増えてきました。
例えば、パソコン関係の学習(ワード、エクセル、プログラム)や、資格取得、動画編集の技術などが学べたり、コミュニケーションの練習、ストレスに関する対処法、といったプログラムです。
もちろん就労の実習や、職場体験、面接の練習、履歴書の書き方などの講義もあります。
どの事業所も素敵なホームページがあり、ここに行けば、自分の適性がわかり、自分も変われて、よい会社に就職できるのではないかと、思ってしまいそうになります。
就労移行支援は、人生で1回しか使えません。しかも、2年間です。
利用条件は?
利用するには、次のいづれかがあればOKです。
・障害者手帳
・自立支援医療証
・診断書
手続きは?
手続きは、お住まいの役所の障害福祉課でまずは問い合わせ、その後、申請をします。
簡単な聞き取り調査があり、福祉サービスのプランを提出すれば、受給者証がもらえます。
プランに関しては、自分で書く「セルフプラン」と、相談員に書いてもらう「計画相談」があり、市町村で異なるので、問い合わせてください。
受給者証を持って、就労移行支援事業所と契約し、利用することができます。
申請から利用までは、市町村によってかかる日数が違うので、きいてみてくださいね。
利用料は?
毎月の利用料は、前年度の収入で、決まります。
上限が、0円・9,300円・37,200円の3パターンです。
ほとんどの方は、0円か9,300円でした。自分はいくら利用料がかかるかは、役所にきいてみてください。
なお、事業所によっては、交通費の補助があったり、昼食のお弁当を用意してくれる、あるいはお弁当が安価で買える場合など経済的に負担が少ない配慮をしてくれるところもあります。
就労移行支援は、甘くない。
実際、就労移行支援を利用して、就労できるのでしょうか?
私は今まで何人も就労移行支援に通う発達障害の人たちを見てきましたが、残念ながら、2年後、就職した人は少なかったです。
就労移行支援は週5日間、9時半頃~16時頃まで通所するわけですが、それすらできない人が多くいました。
逆に言えば、毎日2年間通えば、体力も精神力も自信もつき、就職が近くなると言えます。
事業所に通所してくる人は、なんらかの生きづらさを抱えておられ、人間関係が苦手な場合も多いですね。
ですから、同じ生きづらさを抱えている仲間がいるので安心する反面、行くのが嫌になってしまうこともあるようです。
就職できた人は?
就職できた人は、自分で自分の課題を把握し、目標を持っていた人でした。
事業所が何とかしてくれるのではないか、という曖昧な気持ちのままでは、結局また挫折してしまいます。
そして、もちろん就職はできず、また相談に行った結果、A型やB型で就労訓練をすることになってしまうのです。
大切な2年間。私は、挫折で終わる人を見たくありません。
就労移行支援に行くなら、自分できちんと目的と目標を持って、利用して欲しいです。
「毎日休まずに、通う」
でも、いいです。
「ストレスの対処法を身につける」でもかまいません。
そうすれば、きっと、就職できる可能性がグーンと高まります。
私は発達障害の人を応援しています。
一人でも多く、「働きたい。継続したい」という願いをかなえてほしいです。
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