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【おはなし】REFLECTED LIGHT(ホラー)

窓際の席でカーテンがフワリと揺れているのを見ていた。
キラっと目の前が一瞬明るくなる。
今にも閉じそうな瞼を押し上げると、またキラっと光った。
カーテンを開けると中庭を挟んで向かいにある教室の窓から光が届いていた。

次の日。
またあの光がオレの所へ届く。
カーテンを開けて向かいの教室に目をやる。
すると光が発せられている窓に二人の男子学生の姿が一瞬見えた。

オレが顔を出したとたんに、わーっと声を上げて窓の奥に引っ込んだ。

チッ。下級生か?たちの悪い悪戯しやがって。


次の日、友達の中島に話をして、あの教室に行ってみようと誘った。

今日は少し雲も出ているが、時々日も差している。また悪戯を仕掛けてくるかもしれない。

オレたちは退屈な授業を抜け出してあの教室へ向かう。

そこは物置になっていて、誰もいない。
窓際に立って覗くと、オレたちの教室のカーテンが、いつものようにフワリと揺れていた。

その時、一瞬だけ日差しが差し込んだ。
すると、眺めていた向かいの教室のカーテンに、キラっと光が当たったのだ。

あっ
オレと中島は、ほぼ同時に声を上げた。
その後すぐ太陽は雲に隠れ、光も消えた。

オレたち何もしてないのに、あそこに光が届いたということは…
教室の中に、なにか反射するものがあるんじゃないか?

改めて見回してみた。
雑然と備品が置かれた部屋の片隅に、
鏡を持ったカラクリ人形がある。
高さは130センチほどあって結構でかい。

あれじゃない?鏡の反射ならあそこまで届くだろう。
そう言いながら窓の方に近づいた。
その時、また光が差し込んできて、二人の顔の間から反射光が向かいの窓に届く。
ほらっやっぱりそうだ!
うっとおしいし、あれの角度変えちゃおうぜ。
そうだな。


男子学生の事は少し気になったけど、まぁ、反射光が届かなければオレはカーテンを開けることも無いわけだし。

二人は次の日差しを待った。
オレは窓の近く、そして中島はカラクリ人形の隣でスタンバイした。

しばらくしてオレの顔の横を通って反射光が向かいの窓に届く。
おいっ中島。来たぞ!向き変えろ
そういいながら後ろを振り返ると、なぜか中島はカラクリ人形の横で腰を抜かしている。

こ…これ見ろよ…。
中島は床を指差した。

窓から差し込む光は、教室のちょうど真ん中あたりまで来ていた。
カラクリ人形まではまだ1メートルほどある。
鏡どころか、カラクリ人形にさえ日光は当たってなかったのだ。

オレは中島を無理やり立たせ窓のところまで来て向かいのカーテンを見た。
やはり二人の顔の間からは反射光が発せられている。
するとカーテンがフワリと開いた。


そこには目をシバシバとさせこちらを睨んでいるオレが居るではないか。


わぁぁぁぁ


後ろも振り向かず出口へと向かうオレたちの後ろから、乾いた音が近づいてくる。



カラカラカラ……


(1138字)


素敵な企画に参加させていただきます。