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しゅくだい おばけ

ながいながいなつやすみがおわって、二がっきがはじまりました。
「おい、おまえんち、でたか?」
いじめっこのけんじがよわむしのひろしに小さなこえでききました。
「ううん。ぼくはちゃんとしゅくだいやったもの。しゅくだいおばけなんて、でなかったよ」


けんじとひろしはおなじクラスでした。
なつやすみのはじまる前の日、たんにんのまり子せんせいは、けんじとひろしにこう言いました。
「なつやすみのしゅくだい、ちゃあんとしなきゃ、しゅくだいおばけがでるぞ」
それをきいたけんじは、ぎくっとしました。
でも、よわむしひろしのてまえ、こわがるわけにはいきません。わざとへいきなかおをして、
「へん。そんなのちっともこわくねえやい。もしおれんちにでたって、からてチョップでかてるぜ」
けんじは、はっとして口をおさえましたが、もうまにあいません。
ひろしはにやっとしてこう言いました。
「ふうん。じゃ、けんじくんはしゅくだいをしないんだね。ぼくはちゃんとするよ。もしおばけが出たって、ぼく知らないよ」
つまらないやくそくをしてしまったけんじは、とうとうしゅくだいをせずに二がっきをむかえてしまいました。


まり子せんんせいは、いつものにこにこがおでこう言いました。
「みんな、げんきだった?あら、けんじくんはすごいわねえ。かおがひやけでまっくろじゃない」
けんじはちょっとはなをこすって、
「へへへ。おれさ、プールへ毎日いって、海には四回いったんだぜ」
まり子せんせいは、おどろいたかおで、
「それでしゅくだいはできたの?」
とききました。せんせいは、けんじのかおをじろじろみています。
「やっぱり。けんじくんち、しゅくだいおばけ、でたでしょう」
ぎくっとしんぞうがなりました。まだでていないけれど、ひょっとしたらこんばんあたりかな。しんぞうの音が、でる、でる、といっているようにけんじは思いました。
「じゃあ、しゅくだいやったひとはこっちへもってきてね。けんじくん、あとでせんせいのところへいらっしゃい」
そのあとのけんじは、いったいどうなったのでしょう。


しょくいんしつでせんせいにたっぷりしぼられています。
「なんだ。これがしゅくだいおばけだったのか。いててて」


ゴツッとけんじのあたまに、げんこつがおちました。

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これは私が中学1年生のときに、新聞に投稿したお話です。
夏休みの宿題にてこずった体験を童話にして書いたところ、採用してもらったものです。

城戸圭一郎さんのかわいいお話を読んで、私も何かできればと思いました。


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