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存在を受け入れられない

風の時代の腫瘍取り扱いLabo1


普通の日常が無くなった始まり


2023/7/27前半

「大腸のS状結腸に腫瘍があります。」

“S状結腸”という何度も聞いたことある
単語だけスッと耳に入った瞬間、
ドキッと胸が脈打った。

“お父さんと同じ場所…”

「大学病院を紹介するので
詳しい話しはそこで」

状況が全く飲み込めない。

腫瘍? 大学病院? 紹介状?
何? 一体どういう事?

今まで全く縁の無い言葉だったから
頭に入ってこないのだ。

理解不能な聞いたこと無い
言葉を投げかけられてる?
という感覚だった。

「自分で行きたい病院はありますか?
こちらで紹介出来るのは
A病院です。」

そんなところある訳がない。
だって、これまで風邪もひかない
2020年からの感染症に家族がかかっても
私はかからなかったほど


病気とは無縁の健康体
だったのだから。

「A病院で良いなら紹介状を書きます。
優しくて良い先生ですよ。」

やはり良くわからないまま、反射的に
“お願いします”とだけ言えた。

ポリープから大きく育った腫瘍


 数年前、父は突然、大腸が破裂し
救急車で運ばれ緊急手術し
人口肛門となった。
(今は大腸を繋ぎあわせる事が出来、
有難い事に日常生活が送れている)
  
一家にとって本当に大事件で、
母は執刀医に破裂したS状結腸を
見せられたと言う。

当時、母が父に言ってたセリフは 
“S状結腸が無いんだから
腸に優しい食事をしようね”


以来、
元々、健康志向の強かった私は
更に健康意識を高めた。

30代に突入した頃から
手作り人参&リンゴジュースを
飲むのが毎朝の習慣となっていて
20年以上たった現在だって続いている。

食べる事は大好きで
スイーツやお酒も飲むけど、
野菜や肉、魚、乳製品など
バランス良く、ほぼ自炊で
快腸の便秘知らず。
  
トイレに入ったら1分で用を足せる
スルリ、スッキリお通じなのだ。

  
今回の検査も、
たまに胃が張る不快感があり、

ピロリ菌がいるだろうから
除菌して貰おう、

ついでに年齢的に、
そろそろ一度は大腸検査を
しておこうか…

昔からたまに血便はあるけど
母が痔だったから、多分、痔はあるかな。
腸壁に傷があったりはするのかもな。

程度に思っていた。

先に済ませた胃カメラ検査では
「とっても若々しいピンク色の胃で
ピロリ菌もいません」と結果が出ていて

“そりゃ、そうでしょう🎵”

と自信満々に思ってて

大腸に腫瘍!だなんて!
0.01ミリも
頭に浮かんだ事はなかった。
  

腫瘍って、
味付けの濃い外食やコンビニ弁当、
ジャンクフードばかり食べている人が
出来るものじゃないの!?
  

健康には絶対的な自信があって、
ダイエットや筋トレ、
身体お手入れが趣味な私。

長年セラピストとして、
人の身体を施術し
健康アドバイスをもらう側ではなく
する側の立場の私。
  
大腸に腫瘍。。。
が出来る訳ないのだ。。。
  

無言でポカンとしてる私に

「ショックでしょうけど、、、」

ショックでしょうけど…って?

まだショック受けていないし
どう言うこと?

ようやく少し事態が飲み込め

「ガン…ということですか?」
とだけ質問出来た…

我ながら弱々しい声だった…

「大丈夫!
ここから出ていった人は、
皆、元気に帰ってきてるからね!」

やっと…

ショックのかけら⚡
みたいなものが降ってきた。
    

“先生、私、健康で元気なんだけど?
もう帰って良い?”

心の中で生返事をして
口では「わかりました」と言って
待合室へ出たら


初対面の時から陰気で笑顔なく
出来れば“会いたくない”と
感じていた事務の女性が
物凄く憐れんだ眼差しでジッと見て、


それが無性に腹立だしかった。


“何で、あなたにそんな目で
見られなければならないの?”
  
  
検査のために絶食し、
飲みたくもない下剤も沢山飲んで、
腸は空っぽ。

お腹も空いてるから、
病院を出た後は
検査に耐えたご褒美に
お気に入りのカフェでランチをする!

もちろん、お供は
前回の胃カメラ検査と同様
キレイな大腸の画像

、、、の予定だったのに。。。


頭の上を素通りした
無機質な励ましのセリフと
憐れみの眼差しを浴びせられ

私のハートは凍り付き
無表情に冷静に

事務の女性よりも
酷く感じの悪い人間となった。

突然、突きつけられた
冷たい現実。

晴天の霹靂とは、
こういう事をいうんだな。。




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