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昼明け

 不意に窓を見ると茜色に染まった雲が浮かんでいた。
  戸惑った顔で空を見ているだけなのに哀しくなる。
 茜日は崩れ落ちるように身を横たえて濃紺の幕が覆い包んでいく。
 包まれる安心感を羨ましく思ってそっとため息を吐いた。
 画鋲の様に星は夜幕を空に差し止め始めその数を増やしていく。
 集い離れを繰り返しては心を消耗させるばかりの日々。
 茜日を探し求める様に月は幕の上をゆっくりと独り通り過ぎる。
 
 

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